我々は 偽善につきあわなかったから 今日がある。

 Craig Rucker 記者による2021-11-2記事「COP26 Eco-Imperialism Threatens the World’s Poor」。
    気候終末論者たちは、世界の貧乏人民が窮乏のままに人生を終わることを望んでいる。

 COP-26に先立ってローマ法王とバイデンが会談した。そして、努力は世界人民の尊厳重視をベースとせねばならず、貧民のケアも進めなければならないと合意。

 しかるに現実には石炭敵視政策のおかげで世界中の燃料と食料品の需給が緊張し、貧乏人の生活を直撃しつつあるのだ。

 北半球が厳冬を迎えると予報されている。ますます燃料代は世界的に値上がりし、それに連れて食料品価格も暴騰するだろう。

 これまで化石燃料のおかげで先進諸国の経済は発展し、仕事が創出され、人々の健康状態が向上し、生活の水準が底上げされ、寿命が延びてきた。グラスゴーはこの進歩を、現在貧乏な集団に対して禁じようとする。

 国際エネルギー機関IEAが数字で警告している。化石燃料から、クリーンで持続可能なリニューアルなエネルギーへの転換を進めれば、これまでの数倍の、金属や鉱物の採掘・加工・流通が必要になる、と。

 すなわちEV車を1台作るには、ガソリン車の3倍の「銅」を消費せねばならない。地上設置式の風力発電塔は、天然ガス多段発電機(Coジェネ)にくらべて、同じメガワットあたり、9倍の原材料を投入しないとできあがらない。海上設置式の風力発電施設だと、その比率は14倍まで跳ね上がるのである。

 つまり化石燃料を掘らない代わりに、他の地下資源を今の十倍も掘り出すことになるのだ。その鉱山の近郷の自然はもちろん大破壊される。それにともない、おびただしい量の「不要物」が地上のどこかに堆積されねばならぬ。不要物は、採掘、加工、製品化後のすべての段階で爆増するから。
 人類がかつて体験したことのない規模の地表汚染が、これから進行するのである。気候終末論者が主導する偽善のおかげで。

 米国のアラスカ州やミネソタ州には、銅、コバルト、ニッケルといった、リニューアブルエネルギー産業が需要する地下資源が豊富である。グラスゴーまで押しかけてデモしている連中は、それらの採掘が環境汚染と撞着することにどう対応して行くつもりか、見ものだ。

 こうした連中の多くは、中共から北米に輸出されてくるナイキのスポーツシューズがウイグル人の強制労働の産物でないかどうかは気にしても、中共がアフリカで濫掘している地下鉱物には目をつぶる。それがクリーンエネルギー実現のためには不可欠だから。
 いやそもそもNBAは中共体制とビジネスすることに熱心なので、ウイグル人のことも本気で気にかけたりなどしてはいないのだ。

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 2021-11-1記事「‘Saved by coal’: Far from COP26, another reality in India」。
    インドのある貧民夫婦。国営炭鉱の「こぼれ石炭」を拾い集めては駕籠に背負い、仲買業者に売る。1日、歩いて2往復。それで、3ドルになる。夫婦で1日3ドルの稼ぎだ。

 また、改造自転車を使って、いちどに200kgの「こぼれ石炭」を運搬している男。夜の涼しいときに、16kmを輸送して仲買業者に届けると、2ドルになる。

 このようにして、インドの炭鉱近くでは、数千人がたつきをたてているのだ。

 げんざい、典型的な米国人は、典型的なインド人の12倍もの電力を消費している。
 そしてインドには、2700万人の、電力をまったく供給されていない貧民すら存在する。この人たちは、煮炊きに安価な石炭を使えるおかげで、生存できているのである。

 これから20年、インドにおいて、最も急激なエネルギー需要の増大が起きるであろう。

 世界最大の採掘企業体である「インド炭鉱」は、2024年までに年産10億トン以上にもっていく計画だ。

 インド全体で、400万人近くが、その生計を、石炭産業に関係して成り立たせている。

 製鉄だけでなく、「煉瓦」を造るのにも、石炭が熱源として燃やされなければならない。
 インド国鉄の収入は、半分が旅客輸送だが、残りの半分は、石炭輸送で成り立っている。

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 Dan Goure 記者による2021-11-3記事「The A-29 Super Tucano Is Transforming the Way Nations Fight Violent Extremists」。
    2018年時点で、アフガニスタン政府軍空軍による対地攻撃の三分の一が、「A-29 スーパーツカノ」によって実行されていた。

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 ストラテジーペイジ の2021-11-3記事。
    北鮮で「くず鉄拾い」が推奨されており、6歳の子どもまでが、ガタロになっているという。

 じつは北鮮には「税金」がない。制度として定まっていないのだ。
 そのかわりに、現物上納や、労役奉仕をしなければならない。租庸調だ。

 財政難を埋めるため、2019からは、30~60歳の有職女性から新税を取り立てるようになった。これは田舎には適用されていなかったのだが、げんざい、地方の女性にも同様の課税をしているという。

 11月2日、中共と北鮮の間の鉄道が、ついに再開された。
 その前の週から中共国境の駅に貨物が堆積されていたので、再開の予兆であると見られていた。

 新コロ流行に応じた鉄道遮断は、22ヶ月にしておわったわけである。
 北鮮内でも新コロ流行は止まっていないけれども、背に腹はかえられなくなった。

 ※なぜ北鮮政府はいっそ紙幣を廃止して「デジタル通貨」に切り替えてしまわないのだろうかと、堤未果氏著の『デジタル・ファシズム』(NHK出版新書)を読みつつ、いぶかしんでいるところだ。やはり国境の密貿易商売は、紙幣(通用するのは人民元)が媒介になるからこそ、可能なのであろう。

 2003年のイラク占領作戦のとき、米陸軍は、その車両や重装備の67%を鉄道によって輸送した。※米本土の各駐屯地から港/空港までの輸送だろう。

 しかしその後、米陸軍は鉄道貨車に投資をしてこなかったため、老朽化がいちじるしい。2015年時点で米陸軍は1300両の、自前の鉄道貨車を保有していたのである。
 今日、そうした鉄道貨車を新調しようとすれば、1両につき15万ドル以上かかる。

 米国防総省は、米本土の民間鉄道会社にカネを払い、自前の分とは別に、4500両の重量物積載可能貨車をいつでも借りることができる。それは戦車の輸送ができる無蓋車である。

 2003年にわかったこと。1個機甲旅団の動員には、600両の重量物対応貨車が必要である、と。
 また2020には陸軍は図上演習して、米本土内での鉄道動員の問題点を洗い出した。

 陸軍は、特別な貨車ではなく、ふつうにありふれて存在している、民間用のレギュラーな無蓋貨車で、M1戦車を輸送できぬかどうかを、ずっと研究し続けているところ。



デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える (NHK出版新書)