こんかいはトレヴィシック記者まつり かい。

 Joseph Trevithick 記者による2021-11-4記事「Likely Drone Attack On U.S. Power Grid Revealed In New Intelligence Report (Updated)」。
    ペンシルベニア州で昨年、DJIの市販ドローンである「Mavic 2」を使った、変電所を狙ったテロ攻撃があったようだ。さいわい、不成功だったようだ。

 1機の「Mavic 2」から細いナイロン紐を垂らし、その下端に、短いが太い銅線を吊るして飛ばす。それによって施設に短絡を起こさせようとした。

 この部内リポートは、先月、提出された。

 ウェブサイト『ウォーゾーン』でも、このタイプのインフラ・テロが起きる恐れを、過去に繰り返し、警告してきたところだ。
 たとえば2019にアリゾナ州のパロヴェルデ原発(米国最大の原発)に対して、幾度もドローンが接近した事案。いまだに詳細は解明されておらぬ。

 特だねはABCニュースが報じた。2021-10-28に、本土防衛省DHS、FBI、国家対テロセンターNCTCの三者が合同でまとめた『統合情報速報(JIB)』の内容だ。
 ABCが入手したそのコピーによると、ペンシルベニア事件は2020-7-16に発生したらしい。

 ペンシルベニア事件の現場は、リメリック原発である。
 使われたDJIのクォッドコプターからは、カメラと内部メモリーカードが除去されていた。本体を軽量化し、そのぶん、銅線を吊るして飛べるようにし、発進点やユーザーに関するヒントを警察に教えないようにする改造である。

 このドローンから、2本のナイロン線を垂らし、そのナイロン線の両端を、銅線でつないであった。

 犯人は、1991年の湾岸戦争で、米軍が発射したトマホーク巡航ミサイルの中に、高導電性のカーボンファイバーがぎっしり詰めてあって、それをイラクの変電所の上を航過しながらばら撒いたことにより、イラク全土に停電を起こした作戦から、ヒントを得ているに違いない。

 また1999年には米軍のF-117ステルス攻撃機がセルビア上空で、グラファイト・フィラメントをぎっしり詰めた「BLU-114/B」クラスター爆弾を投下し、やはり全土を停電させた事例も、公知である。

 「マヴィック2」の価格だが、今だと、2000ドルから4000ドルで、誰でも通販で買える。

 ※2018年にPHP新書で出した『日本転覆テロの怖すぎる手口』の中で書いたかと思うが、テロリストが原発を停止させようと思ったら、その出力の高架送電線路の真下で、2個の水素風船を金属ワイヤーで結んだものを、何個も昇騰させれば、高圧線は短絡し、安全装置によってシャットダウンが起きる。わが国の山間僻地の高圧線路を46時中巡回警備することは至難なので、すべての鉄塔上に監視カメラを備えるべきであるというのが、小生の主張である。この投資は、電力会社にとってはささやかな金額にすぎないが、誘拐犯罪者等の林道利用を不自由化し、またたとえば航空機が奥山に墜落したときに、視覚的にその位置をただちに把握するのにも役立つので、社会を安心化する意義は著大なのだ。

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 Joseph Trevithick 記者による2021-11-4記事「Marine Corps Rejects Reports That It ‘Surrendered’ To British Forces During Exercise」。
    米本土でさいきん実施された米英軍の部隊対抗演習において、英ロイヤルマリンズが、米海兵隊を大敗させたという噂がかけめぐっており、米海兵隊はそれを打ち消そうとしている。

 この噂の元は英本国の複数の新聞。

 この合同訓練は「グリーン・ダガー」と称されるもので、加州のモハヴェ砂漠の演習場を使う。すぐ近くに海兵隊の「トゥエンティナイン・パームズ」基地がある。

 「グリーン・ダガー」には、カナダ、オランダ、UAEからも部隊が参加する。このたびは9月下旬~10上旬末に実施された。

 「グリーン・ダガー」は、それ自体が、予行演習のようなものなのだ。この予行演習を済ませたあとで、同じ面子で、10月に、本格的な大演習「マリン・エア・グラウンド・タスクフォース実戦演習」に臨むわけ。

 演習の目的は、多国間でのインターオペラビリティの確立と、高度な実戦準備態勢の維持である。

 UAEから派遣されてくるのは「大統領護衛隊」で、これは米海兵隊をモデルにした部隊だという。

 海兵隊の広報いわく。一連の招待訓練は練度を高めるメニューになっており、勝者も敗者もないのである。まして「降伏」など発生しない。

 SNSに英人が投稿している内容を見るに、米側は海兵隊の「レイダー」連隊だったらしい。英側は歩兵が40名で、それに若干のCASと砲兵支援が付けられていた。
 CAS機も、英国からはるばる持ち込まれていた。

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 Alex Wilson 記者による2021-11-5記事「Navy base in Japan adds a third floating barracks to ease living-space shortage」。
     米海軍は、軍港の埠頭に横付けして、「水上の兵舎」として使用ができる「補助宿泊艀(Auxiliary Personnel Lighter)」を複数、保有している。このたび、最新の「APL 67」号が、横須賀にやってきた。

 ドライドックで船体整備中である軍艦の乗員の水兵が、ここでしばらく寝泊りするのだ。

 艀は全長269フィート。537人の水兵・兵曹と、44人の准尉、28人の将校を泊める。
 繋留される場所は、整備中の軍艦の船渠に近いため、緊急時にも便利である。

 このバージ、単なるタコ部屋とは違う。家族の子ども用の学校、大食堂、コンビニショップ、床屋、病院、小規模なトレーニングジムも、艀内には併設されているのだ。

 これ1隻を建造するのに、4000万ドルかかっている。自力航行はできないので、航洋タグボートで曳航してもらい、7月にサンディエゴを出港。36日かけて太平洋を横断して、10月19日に横須賀へ入港した。

 居住区はさすがに狭い。水兵は、15人から24人が、一部屋に押し込められる。各コンパートメントに、トイレは1~2箇所、ついている。

 本艦の入渠の期間によって変わるが、最短で4ヶ月、最長だと9ヶ月、水兵たちは、ここで暮らさねばならない。

 横須賀には、この他にも『YRB30』と『APL40』という、浮かぶ宿舎がある。どちらも1945年に建造された老朽艀だ。ただし自航する必要のない強みから、どちらもあと10年は使えるという。

 この、もとからある2杯のバージが、このたび、満杯になってしまった。4隻の軍艦の入渠メンテが重なったため、この2杯のバージに、それらの乗員がすし詰め。

 そこで、あらたに『APL67』が到来したことで、さらに3隻の軍艦を入渠整備させてもよくなった。それらの3隻分の兵員を、『APL67』で収容できるのだ。

 また、これは3年先の話だが、佐世保にも、新しく1杯の「バーシング・バージ」が配備される予定。

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 Marine Matra News の2021-11-4記事「United States Navy exercises torpedo loading to submarines in Saipan waters」。
    サイパン沖の米領海にて、サブマリンテンダーの『USS フランク・ケイブル』が、ロサンゼルス級SSNの『ハムプトン』に対して、M-48魚雷を補給している訓練映像が公開された。
 この積み込みは10-22に完了したという。

 『フランク・ケイブル』が2012年いらいの常駐基地たるグァム島を離れて洋上補給をしてやるのはとても珍しいという。同艦は1978年に就役した。

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 Joseph Trevithick 記者による2021-11-3記事「China’s New Ballistic Missile Subs Could Strike The U.S. Without Sailing Into The Pacific」。
   SLBMの「巨浪2」のレンジは正確には不明だが、8000kmと9000kmの間(=5000マイル前後)だろうと見積もられている。
 この「巨浪2」を発射する『094』型SSBNは、海南島の基地に多数所在するのだが、そこからアラスカまででも5000マイルあるし、ハワイまでは6000マイルある。さらに米本土西海岸からは7000マイル離れている。つまり、海南島近海から発射しても、ハワイや西海岸名には届かない。

 より射程の長い、すなわち7500マイル届く「巨浪3」が完成してくれれば、事態は変わる。
 次世代SSBNの『096』型が、渤海湾の奥に隠れながら、米西海岸を打撃できるようになる。

 じっさい中共海軍は2018に、「巨浪3」の試射を渤海からやっている。

 海南島は外洋に暴露しすぎていて、SSBN基地としてはまったく具合が悪い。だから将来はSSBNの主たる基地は渤海に移されるはずである。ここなら米海軍のSSNも手を出しにくいので。

 渤海なら、潜水艦長に対して、北京の党中央から、間違いなく指令を伝えたり、連絡を確保することができる。

 あとは、「巨浪3」と『096』型のコンビがいつ、登場してくるか。それだけ。
 既報では、その組み合わせは、2025年までは、実現すまいという。
 そうなると、シナ海軍は、なんとか古い『094』型にあたらしい「巨浪3」を運用させられないか、考えるはずである。

 ペンタゴンの中共リポートは、中共軍は「空中発射式ICBM=ALBM」を整備することで「三本柱」の完整を急ぐだろうと指摘している。



日本転覆テロの怖すぎる手口 スリーパー・セルからローンウルフまで (PHP新書)