市販されている趣味級のDJIドローンは、爆発物などの余分な重量を持ち上げられないように、新商品になるほど、搭載余力を削る努力を、メーカーが続けている。
だが他方では、滞空時間は伸ばさねばならぬ。これは重い電池を積めることを意味するので、プロの改造技師が、小容量の電池と取り替えてしまえば、いつでも、搭載力の余裕が復活するだろう。
また、手持ち資金に余裕のあるテロリストは、最初から、馬力十分な、業務用のドローンを入手するだろう。
さらに、「水素バルーン」や「ヘリウム風船」の揚力を利用することもできる。
固定翼機の無人機の尾部から、軽量のナイロン紐を曳航させる。そのナイロン紐の末端に、数mの長さの金属ケーブルを結びつけ、さらにその金属ケーブルの終末端に、金属ケーブルの重量よりもわずかに揚力が勝るバルーンを結びつける。
こうすれば、固定翼機の無人機が、自力だけでは持ち上げられない重さの金属ワイヤーを曳航して、短距離を水平に飛行し、そのまま変電所へ上空から「特攻」することが可能になるかもしれない。
クォッドコプターとバルーンを組み合わせる場合には、話がむずかしくなる。
たとえば、投下したい金属ワイヤーよりもわずかだけ揚力が小さいバルーンを使い、そのバルーンごと、ナイロン紐によってドローンが垂直に持ち上げ、短距離を水平運搬するという技法が、まずは思いつかれるだろう。
ドローンの下にバルーン、その下にワイヤーという、三段重ねの、串団子飛行態である。
しかしこれはとても厄介だ。
揚力がちょっと変動すると、小さなドローンではコントロールできなくなってしまうだろう。
ローターとバルーンの接触による不意のバルーン破裂も、生じやすいだろう。
そこで、特攻兵器スペシャルとして、「マイナス揚力」のクォッドコプターが開発されるだろうと思う。
すなわち、いちばん上にバルーン、その下に高導電性のタフな金属ワイヤーが数m。そしてその下に、負の揚力を発揮するクオッドコプターを吊るす。
このクォッドコプターは、プラスの揚力は発生せず、マイナスの揚力によって、バルーンとケーブルを「牽引」する。
つまり、バルーンの揚力は、「ケーブル+クォッドコプター」よりも大なのだが、クォッドコプターの「牽引力」=「下向きの最大推力」は、バルーンの揚力よりわずかに大きい。それによって、水平飛行を可能にするのだ。
攻撃標的である変電所の上空に来たら、バルーンとケーブルの接合部を切断すれば、特攻は成功するだろう。
次。
Matt Korda and Hans Kristensen 記者による2021-11-2記事「A Closer Look at China’s Missile Silo Construction」。
この夏、世界の一般人が知ることになった、中共のICBM新基地。玉門、ハミ、オルドスには「東風41」の多大サイロ基地が。そして、吉蘭泰鎮には小規模な、サイロ式「東風41」の訓練基地が。
すべてにおいて大拡張工事は今も進展中である。
これまでに解析できた特徴。
まず、サイロ工事全体を、敵の偵察衛星から仔細に観察されないように、工事する場所に大きな天蓋シェルター構造をつくって覆い隠し、しかるのちにその下でサイロを構築するパターン
最初に吉蘭泰鎮でこれをやり、ついで、3箇所の巨大基地工事に応用している。
中共は、このシェルター養生工法を1970年代から軍事工事で採用している。衛星写真では、それは底面が長方形のドーム式テントのように写る。最近は、円形のものも。
まずサイロの場所が選定される。
その周囲の邪魔な物が廓清される。
そこに巨大ドームテントが架設される。
その下で、穴掘り作業が始まる。
このシェルターの目的は、サイロの基礎部分の構造を敵に教えないことにあるようで、サイロが半成すると、ドームテントは除去され、露天で残りの工事が仕上げられる。
ドームテントは、展張も撤去も、2日あればできてしまうようである。
吉蘭泰鎮のある内モンゴルでは冬はマイナス25度になる。この気温でコンクリートを打設するとクラックが入ってしまうので、ドームで覆うことには保温の意義もある。
コンクリート養生中に砂塵が吹き込むのも防止できる。
春の洪水にも気をつけねばならぬ。サイロは土地よりも高く土盛りしてあり、防水柵も巡らしてある。
ドームテントはあきらかに、内部を与圧してある。西側諸国で、臨時スポーツ興行設備に使われるものの応用だ。外形には数種類がある。
どれも、作業員用の出入り口と、工事車両用の出入り口があり、出入り口はエア・ロック構造である。
外部には空調設備がある。これによって内部の気温も調節ができ、通年、最速で工事を進めることができるのだろう。
謎のトンネル構造物はハミとオルドスで見られるが、玉門には見られない。