炭酸飲料に環境終末論者の矛先が向かうのは時間の問題だから、炭酸類似の人工味覚を研究する価値がありそう。

 The Maritime Executive の2021-11-18記事「MOL Reports Collected Microplastics Can Become Energy Source」。
   日本の「三井O.S.K.Lines」社は、汽船が巡航するついでに海中のマイクロプラスチックと微少藻類を集め、それを新燃料に換えてしまうという試みに進捗があったと報告している。

 ※馬鹿じゃねえの? なんでこういう発表をCOP26の前にしない? それで自社株も上がるだろうに。経営陣にこんなドジしかいねえからテスラ如きに会社価値で負けるんだ。

 この研究は「エコ・トリニティ」という。水を浄化すると同時に燃料になる資源を取り出す。「シー・ユニコーン」という大きな研究の一環である。

 MOLいわく。木質ペレットに比肩し得る燃料ペレットが、回収マイクロプラスチックからできあがる。
 マイクロプラスチックが、新燃料源になり得るのである。

 MOLは昨年、企画を発表している。ウッドチップを運搬するばら積み貨物船の、バラスト水調節装置を利用して、その航海中に海中からマイクロプラスチックを集めてみると。

 試験成績は有望であったので、2022に就役させる新造の木材チップ運搬船には、最初からこの濾過回収装置をとりつけてみる、と。

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 Jesse Klein 記者による2020-10-7記事「Are the bubbles in your beer made from sustainable CO2?」。
    ビール製造業者は、これまで必然的に二酸化炭素を大気中に放出してきた。
 イースト菌が発酵するとき、二酸化炭素が作り出される。だがこれは、大気中に逃げてしまう。
 そこでビール製造業者は、わざわざ外部の工場から純粋な二酸化炭素(エタンの製造過程で副産物として集められる)を買い求めてきて、その圧搾ガスをあらためて原液に注入して、3日ぐらいで炭酸ビールに仕上げていたのである。

 近代以前には、2週間ぐらい樽に放置していたら、ビールの液体に自然に発酵副産物の二酸化炭素が混じってくれた。しかしビールを工業的に大量生産したい現代米国の業者は、その2週間が待てないわけである。

 さすがに今日の業界の課題としては、ビール酵母が発酵するときに出る二酸化炭素を大気中へ逃がしてしまわずに、それを集めて原液に混ぜ、商品のビールを完成させるというプロセスを開発するのが、現今の時代の要求だとは自覚されている。

 しかし現実的には、そのような設備投資が必要とするコストが大きすぎて、ビール醸造大手にも、手が出せないでいた。

 このたび「アースリー・ラブズ」というベンチャーが、家庭用大型冷蔵庫サイズの器材の追加だけで、その工程を実現できるように考えたという。

 醸造樽から集めた二酸化炭素を、液体ガスの形で貯蔵する。これなら場所も取らず、後で自在に再利用ができる。

 パンデミックは二酸化炭素の値段も吊り上げている。これはベンチャー会社にとっては追い風だ。

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 2021-11-19記事「Thermal energy storage could play major role in decarbonizing buildings」。
    「脱炭素ビルディング」は可能だろうか?
 水に代わる、蓄熱媒体を開発したら、それは可能だと、「バークレー研究所」の面々は考えている。

 米国では、全エネルギー消費のうち40%が、ビルディングにおいて消費されている。

 その40%のうちの半分は、「暖房+温水給湯+冷房+冷蔵庫」用のエネルギーなのである。

 言い換えると、全米のエネルギー消費の20%は、ビルの中の「暖房+温水給湯+冷房+冷蔵庫」のために消費されているのだ。

 これまで、蓄熱媒体としては、専ら「水」が使われてきた。
 水よりも効率で勝る蓄熱媒体があれば、ビルの省エネ化は、半ば実現したようなものである。

 液体相が固体相に、あるいはその逆に変化するときに、吸熱したり放熱したりする新物質。これが、研究されている。
 たとえばビル壁の中にその媒体を満たしておけば、もうエアコンは要らなくなる。

 バークレー研は、電池でもあると同時に、蓄熱媒体でもあるような物質を、見つけたという。
 これで、地域のソーラーや風車で発電しすぎて余ってしまった電力を、いくらでもビルの中に一時蓄積することが可能になる。電気の形で充電しにくくなったら、こんどは熱に変えて溜めればいいわけだ。深夜電力も合理的に活用できるようになるだろう。