Opinion: A next-level container unloading system with no cranes on pier 埠頭上のクレーン類を必要としないコンテナ荷捌きシステムは、可能だ。

 新概念の中型コンテナ船と、地方港の《Ro-Ro埠頭》化整備事業の組み合わせで、港湾荷役の待ち時間は半減され、ターミナル港の滞貨&渋滞の問題が解消されるだろう。

 仰山なコンテナ荷物を、ただA港からB港まで届けるだけなら、コンテナ船は、サイズがマンモス化すればするほど、商船会社としては営業コストが合理化されるはずだった。

 だが、これは罠だった。

 世界の特定の巨大ターミナル港ばかりに、巨大コンテナ船が集中豪雨的に押し寄せる事態を招いてしまった。しかもこの豪雨は、「止み間」がないのである。

 トラックドライバーの成り手が減ったのも、あたりまえである。港のコンテナヤードに入る前の何日間もの待ち時間や、荷物の届け先倉庫前での数時間の待ち時間が、給料に反映されないのだ。しかもそこではトイレも貸してくれないという(米国の話)。やってられるか!

 トラックドライバーたちがうんざりするような「待たされ時間」を減らせないならば、現下の物流の渋滞は、流通の諸段階におけるコストのラッチアップによってしか調整されない。それは貧乏人には辛いインフレ経済を意味するだろう。

 解決策があるはず。

 「擬似《RoRo》」設計だ。

 中型のコンテナ船の、吃水線上4・5m前後のデッキの中央に、船首ランプから船尾ランプまで縦通する「トラック廊下」を設ける。

 この縦通路こそは、《待たないの廊下》である。

 空荷のトレーラートラックが、船尾ランプから船内に入り、「廊下」を、船首ランプへ向かってゆっくり走らせると、途中で、船内施設のミニ・ガントリーが、適切なコンテナを車両荷台に積載してくれる。もちろんガントリーは半自動のロボットである。

 ようするに、ドライブ・スルーのトレーラートラック積み取りシステムだ。

 この方式だと、山積みされたコンテナのいちばん上にあるものからどけて行く必要もない。下の方から積んだり卸したりもできる。

 逆に、この新型貨物船にコンテナを積み込むときは、トラックは船内に入る必要はない。
 船尾ランプ前で、トレーラーの荷台を切り離し、「チェーン・ドライブ」に荷台を拘束させる。すると、あとはチェーン・ドライブがトレーラー荷台だけを船内に引き込んで「廊下」を前進させ、船首ランプに至る前に、コンテナを摘み取る。
 トラックドライバーは、シャシを船首ランプの位置に動かして暫時待機し、出てきた空荷のトレーラー荷台を、じぶんで結合すればよい。

 このようなシステムにするなら、埠頭上、岸壁上には、「ガントリークレーン」も「ジブクレーン」も、設備としては、もう無くともOKだ。

 こうしたコンテナ荷役のための大型クレーンは、初期投資もメンテナンスもコストがかかっていた。それも1基だけだと故障したときに目も当てられないから、バックアップが必要で、地方の貧乏港湾には、アフォーダブルでもリーズナブルでもなかった。

 ところが、この新システムにするなら、地方のすべての中小港湾が、たちまちにして、使い勝手のよいコンテナ荷役港に機能変貌するのである。

 中型貨物船にとっては、岸壁の水深もそんなに必要ない。大型トラックの「ロールオン&ロールオフ」=自走乗船&自走退船 ができる高さ・広さの岸壁となっていさえすれば、十分だ。

 中型貨物船が、最終届け先に最も近い地方の港湾に、コンテナを荷揚げできる。トラックドライバーは、待ち時間ゼロでそれを積んで走り出せる。
 トラックの走行距離も、従来よりは短くなる。
 どこにも渋滞は起きない。

 これぞ、真正の「モーダル・シフト」と言うべきだ。

 新型中型コンテナ船は「デュアル・ユース」である。
 チェーン・ドライブと台車を使い、この後部ランプから、40フィートのドライコンテナを次々に、離島の沿岸に投入する。
 40フィート・コンテナの中身が30トン以下なら、コンテナは余裕で水に浮くであろう。
 それを、島嶼の守備隊が、ケーブル・ウインチ類でたぐりよせ、岸に引き揚げる。

 こうすることにより「ガダルカナル島」の二の舞は、二度と起こらないのである。

 海自は、このような新タイプの「輸送艦」を、造船所に発注できるはずである。