《note》 https://note.com/187326mg/  最新Upのコンテンツは『日本の禍機』および『大海令 解説』。

 明治人による「クライシス」の訳が「禍機」だったんでしょうね。
 しかし満州事変の時期になると、スチムソン論文は「極東の危機」と訳されるようになった。併載してあります。

 朝河がイェール大で東洋史の講義をしていた明治末に米国を見てきた黒板勝美のリポートも貴重です。やはり摘録を併載してあるので読んでみてください。黒板は、米国の図書館は欧州を凌いでいると見抜いた。それは情報共有システムなんですよ。検索をいかに合理化するかという。

 このシステムがないので日本海軍は大作戦を成功させられなくなった。それが『大海令 解説』を読むとピンときます。
 あと自画自賛ですが、なぜ1945にモロトフが佐藤大使にしたように、1941において東京において東郷外相からグルー大使に「交渉打ち切り」文書を手交するという開戦流儀を大本営が選びたくなかったのか—に、遂に答えを出しました。

 対英開戦計画中の武藤章は陸軍省の軍務局長(予算の元締め&ドイツ大使館のお友達)ですから大本営陸軍部(参本)の所属とはちがっていますが、陸士同期であった田中新一が開戦前夜から参本第一部長(作戦の元締め)で、その人事も含めて田中が「武藤のパペット」です。

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 Marcus Weisgerber 記者による2022-1-11記事「US Navy May Put Autonomous Tech on Crewed Ships to Prevent Collisions」。
    米海軍は、軍艦の平時の衝突事故を予防するため、無人船艇に使われているのと同じシステムを、有人の軍艦にも装置させたい意向。
 これで、見張りが居眠りしていても、民間船との衝突をロボットが回避してくれる。

 ※居眠りしながらもウォッチができてしまう「VR仮眠カプセル」というのがブリッヂにあってもいいんじゃないか?

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 Kim Chae Hwan 記者による2022-1-11記事「N. Korean General Staff Department colonel allegedly stole 200 tons of oil over several years」。
  北鮮の参謀本部内で、給油車部隊を仕切っていた大佐が逮捕された。
 長年、すこしずつ燃料をちょろまかして、闇で販売して私利を得ていた。

 北鮮の機械化部隊には、20トンの軽油を搭載したタンクローリーが3台、随伴する。この給油チームは大佐が指揮監督する。

 ※トラック3台の指揮官が連隊長並に偉いとは、北鮮でいかに燃料が希少物資であるかを表している。

 つかまった大佐は、ひそかにストックした燃料を市価よりもやや安く、横流し。その総量は過去数年で200トンだという。

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 The Maritime Executive の2022-1-11記事「EPRI: Floating Nuclear Powerplants Could Decarbonize Shipping」。
  洋上マイクロ原発で水素やメタノールやアンモニアを製造しようという提案がまたしてもなされている。

 ※ただの浮かぶ発電所にするのではなく、水素系工場もフネにして隣に浮かべればいいのか。

 ちなみに先行しているロスアトムの船上原発は70MWeの発電力で、ペケフ港に繋留され、同町に、電力と温水を供給する。

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 Howard Husock 記者による2022-1-11記事「How to Rein in the Teachers’ Unions」。
   シカゴで教員労組による大規模ストライキ(オミクロン絡み)が起きた。すでに終わったが、米国第三の巨大都市だけに、社会的動揺は甚大。

 ※シカゴなんとかというくだらないTVドラマの新機軸として「シカゴセンセイ、別名、シカゴコブラカイ」はどうだ? 毎回、学校で、銃撃、放火、救命処置がある、というね……。

 このシカゴ教組のストは「違法」であるので、バイデン大統領かさもなくばライトフット市長はこのスト参加者を解傭すべきではないかとの声が、反民主党筋から上がっている。
 それは過去に先例がある。
 レーガン大統領は1981年に、航空管制官が違法ストを打ったので解雇した。
 カルヴィン・クーリッヂがマサチューセッツ州知事だった1919年、ボストン市長がスト参加警察官を解雇した措置を、支持している。

 「学区」がでかいため、ひとつの学区の教員労組がストを決めるとその破壊力が大きい。
 だから「学区」を細分化しようという議論も始まっている。

 ちなみに「スクールバス・ドライバーのユニオン」というのもある。NYCのような巨大都市ではこれまた巨大組織だが、学区が細分化されれば、こうした付随組織によるストの破壊力も局限できる。

 米民主党の党大会では、代表者の10%は教員組合員である。米国の教員組合は、民主党に対して、毎年、5000万ドルも献金しているのだ。


★《続・読書余論》朝河貫一著、由来君美校庭『日本の禍機』1987、原・明治41年刊・他

★《続・読書余論》(財)史料調査会ed.『大海令 解説』昭和53年刊

兵頭二十八 note