Ben Connable 記者による2022-2-3記事「Troop-to-Task: A Russian Invasion of Ukraine」。
いちばんあり得る侵略は、ドニエプル川より東側を占領し、いまは孤島状態であるクリミアを露領と陸地でつなげてしまうこと。ドニエプル河が自然防衛線になるのと、ドニエプル左岸はロシア系住民を頼りにできることが利点である。
※すなわち市街戦の焦点はハリコフであってキエフではない。キエフ方面に対しては陽攻がなされるのみ。
この想定ケースの場合でも、露軍が占領する地区の面積はシリアより少し狭いくらいとなる。シリアは18万3000平方km、想定ケース占領面積は17万平方km。フロリダ州に匹敵する広さだ。
この作戦でNATOとの間の「戦線」の長さは1750kmになるだろう。それは米国とメキシコの国境線3145kmの半分であり、また、アフガニスタンとパキスタンの国境2640kmの「三分の二」である。
なにを言いたいかというと、それたけの占領区を安定させ、ゲリラを戡定しようと思ったら、途方も無い人数の停戦ライン警備部隊を常続的に貼り付ける必要があり、ロシア財政はその負担に耐えられない。
占領維持に必要な兵力は8万3000人だろう。
それはもっかのロシア地上軍総兵力の四分の一である。
ローテーション交替要員も必要なので、トータル16万人がウクライナ新占領区に拘束される。
2014の「クリミア切り取り」の時との違い。
ウクライナの総面積の三分の一というのは狭くない。これを、プーチンが2014に成功させた「リトルグリーンマン」によるだけでは平定維持できない。正規軍が必要だ。
プーチンはこんかい、15万人の兵力をかきあつめたようだ。
これらの一部は、半独立行動可能な、大隊戦術グループ「BTG」(750人規模)に小分けされて作戦する。
それ以外は、連隊や師団として作戦する。
キエフに対しては現政府転覆のための特殊部隊が送り込まれるだろう。
米軍がイラクで出した結論。住民の数の2%の兵隊を置かないと、ゲリラ跳梁地域での治安は保てない。
ドンバス1700万人の人口を支配するためには、露兵は34万人必要な勘定になる。
露軍の1個師団は9000人なので、これは38個師団を意味しよう。
ソ連軍のドクトリンでは、防御局面においては、1個師団に、対峙線のうちの25kmの正面幅を担任させる。今もそうだろう。ドニエプル河に沿って、全長720mの西部対峙線に、この防備を敷くだろう。
記者の予想では、露軍は無理をすれば1個師団で40km幅を警備できる。土地が平坦なところでは。
露軍の宣伝によると、最新の「クレド1E」という対人レーダーは、距離15kmでの人の動きを探知できるという。
※仲間の兵隊の散歩も探知しちまうから、けっきょく警報は無視されることになるよ。それより連中が頼るのは対人地雷だろう。
露軍の師団、または旅団は、以下のような大隊~中隊から構成される。通信大隊220人。偵察大隊130人。電子戦中隊120人。工兵大隊300人。NBC防護中隊70人。補給整備大隊300人。
露軍が占領する地区の主要幹線道路は、端から端まで440kmの長さ。これもゲリラから防衛しなくてはならない。
ちょうど、カンダハルからカブールまでの距離に相当する。
おそらく主要道路には40kmごとに「チェックポイント」を置かねばなるまい。哨所と哨所の間には車両動哨が巡回する。この1単位に、63人の兵隊が必要である。
ハリコフ市は、人口が173万人。露兵がてこずったチェチェンは人口35万だった。
※この記者はRANDにいたことがあるので大量の数字を出してきた。狙いは、ウクライナ侵略は人的負担だけでも膨大になるぞと予言してプーチンを怯ませようとするところにある。まさにこれがRAND一派の限界だ。プロスペクトの政治的な焦点がわかってない。プーチンは東條と同じなのである。長期泥沼戦争になれば、徴兵権を有する陸軍大臣/陸軍省の権限が最大化し、国民はそれに誰も逆らえなくなるのだ。だから、人的負担をいくら強調しても、プーチンは怯まない。怯ませるためには、天然ガスを二度と西側には輸出できなくなると悟らせるしかないのだ。パイプラインとポンプステーションを、あらゆる手段によって、破壊し尽くすという計画をじっさいに始動させるべし。ここが、ロシア上層部にとってはいちばん痛いのだ。ゲリラがガスパイプラインを爆破するためにはどんなIEDがあるのか。そういう記事を出してくる論筆家が、これからは、いちばん注目に値する。
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SOFREP の記事「This Is The Reason Why Soldiers Have Dog Tags」。
兵隊が首からさげる「ドッグ・タグ」。歴史記録上、これの起源は、スパルタ軍が早い。彼らは木片に自分の名前を書いて、左の手首に縛り付けていた。
ローマ兵は召集されると、鉛製のドッグタグを受け取った。「シグナクルム」と称す。円形で、皮紐によって首からさげた。名前の他に、所属するレギオンが書かれていた。
シナでは19世紀の太平天国の叛徒が初めて個人認識票を採用した。それは木製で、姓名、年齢、生地、部隊、徴兵された日付が記され、制服のベルト部分にとりつけた。
米国では南北戦争で大量動員がなされたが、ドッグタグの制度は未だ無く、そのため、無名戦士の集合墓に抛り込まれてしまうのをおそれた北軍兵士たちは、ベルトの裏側などに、各人で工夫して個人識別情報を注記した。住所がとくに大事な情報だった。
1899年、従軍牧師の提言により、フィリピンにおいて、「個人識別ディスク」が米兵に支給される運びとなった。
1913年、識別タグは全米兵の制式として制定された。
米国がWWIに参戦した1917年、出征兵たちはアルミ製の円盤をチェーンで首からさげていた。
英国陸軍はその1年前に公式タグを兵士に支給している。素材は、石綿(アスベスト)を厚紙状に加工(ヴァルカナイズ)したものだ。金属にしなかった理由は、そのほうが熱地において、着け心地が良いからだという。
認識票のことを「ドッグタグ」と最初に呼んだのは、プロイセン軍であったと考えられる。
1870年の普仏戦争で支給された認識票が、犬の鑑札に似ていたので、兵たちが「フンデマーケン」と呼んだのだ。当時ベルリンで犬を飼うためには登録して税金を納める必要があり、その証明として、首輪にとりつける金属タグが発行されていたのである。
第二次大戦初期の米軍の認識表には、血液型、宗教、死亡時等に連絡する相手の住所などが刻印されていた。しかし戦争後半には、緊急連絡先の情報は省略された。
ドッグタグに「T」の刻印があれば、それは、破傷風ワクチンを打っていることを意味する。ただしこれも省かれることがある。
第一次大戦中の米海軍水平のドッグタグには、右手人差し指の指紋がエッチングされていた。偽造や悪用を防止するためであった。
現代のドッグタグには、兵隊の社会保障番号が刻まれていた時期があるが、これも2015年に、個人情報保護のために取り除かれた。
次。
SOFREP による2022-2-3記事「C4 Explosive: Real Life vs Video Games」。
プラスチック爆薬の「C4」は、「C-4」と書くこともあるし、「コンポジション C-4」ということもあるし、「M112 爆破ブロック」と呼ぶこともある。
爆薬としてはRDXの親類である。1898年にドイツで発明された。
このパテントを1921年に英国と米国が買った。
WWII中の英国では「PE-4」と言った。「プラスチック・エクスプロージヴ・ナンバー4」である。
この「プラスチック」は「塑性」の意味の形容詞。展性があるので粘土のように人の手の力で形状を変えられるから。
米国では「コンポジションC」と言ったのが、1943年にC-2ができ、1944年にC-3ができた。
改善されたわけである。
C-4になったのは1956年である。
C-4は貯蔵中は安定していて、運搬中も安全。そこに、発破用の雷管を差し込むと、確実に轟爆する。
しからば、雷管をとりつけずに、火の中に投じたらどうなるか。
燃える。
火力を調節しようと少量ずつ燃やした場合がベトナムの最前線では実際にあった。
ただしC-4は人体には毒なので、これを調理に使うことは歓迎されない。
中毒成分でもあるので、わざと病気になって後送されたい兵隊が、C-4の切れ端を飲み込んだケースもある。
C-4の塊に、ライフルの銃弾が当たっても、轟爆しないとされる。轟爆させるには衝撃波が必要なのである。それは デトネーター/ブラスティングキャップ で発生させることができる。
とうぜん、床に落としても爆発はしない。
※雷管がないと起爆ができないプラスチック爆薬は、レジスタンスのIED向きではない。雷管なしで轟爆するカーリットをウクライナに援助し、今から全土に分散的に地中埋設して隠匿させておくと、対露抑止になるだろう。テレビを分解して抵抗器から得たニクロム線をカーリットの塊につなぎ、そのカーリットの塊の周囲に硝安肥料と油をまぜたものを置く。これで、あとは電池と電線があれば、陸上のパイプラインは破壊できる。