★《続・読書余論》 の最新号は、「トンネル・坑道・横穴 特集」です。

 《note》 https://note.com/187326mg/  をごらんください。

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 Paul Roderick Gregory 記者による2022-2-11記事「A retired Russian general’s criticism may signal a larger problem for Putin」。
   78歳の元露軍の上級大将、レオニード・イワショフが、「プーチンは辞任せよ」と声明。
 英語で「Colonel-General」という階級なのだが、これは元帥の次に偉い。いま露軍には元帥はいないから、彼が最先任の将校ということになる。

 イワショフはプーチンによって2001年に退役させられた。※とうじ58歳だったら恨んで当然か。

 2011にはイワショフはロシア大統領選挙に討って出たが敗れ去っている。
 彼がプーチンに辞任を迫るのは今が初めてではなく、前々からなのだ。

 イワショフのスタンスは対NATOの宥和派ではない。あくまでプロ・ロシアのタカ派である。

 イワショフはNATOは敵陣営だがコントロールされており、ロシアを侵略しようとはしていないと見ている。彼はソ連時代にはNATOとの交渉に幾度も臨んでいて、NATO内部の空気を知っている。

 ところがプーチンは敢えて「NATOが攻めてくるぞっ!」というフィクションを宣伝してベラルーシやウクライナ国境に露軍を動員し、プーチン自身の失政によるロシア国内の経済的破綻から、ロシア国民の目を逸らさせようとしているのである、とイワショフは非難する。

 イワショフいわく。プーチン体制が続くうちに、ロシア国民は「世界の不可触賎民」になってしまった。
 ロシア国家の声価も、2014以来「ならず者国家」の仲間入りだ。

 イワショフは警告する。対ウクライナ戦争が始まると、トルコ軍がウクライナを直接応援してくる可能性がある、と。それは大戦争を意味する。グルジア戦線も再開するだろうからだ。

 イワショフは、今もしプーチンを辞任させられないなら、戦争を始めようとしている犯罪的政治のかどで逮捕して刑務所に入れるべきだと言う。

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 Joshua Underwood 記者による2022-2-7記事「Phantom Power:Russia’s Neo-Covert Operations in the 2008 Georgian and 2014 Ukrainian Conflicts」。
   ロシアは、ソ連時代のジョージアとウクライナを、みずからの帝国領土だと考えており、ここがNATOに組み込まれる流れをゆるしたくない。
 そのために、記者の造語である「ファントム・パワー」を駆使している。

 CIAがやるような「陰の工作」では、外国政府を倒すことまではできても、そのあと傀儡政府を樹立できるかどうかの保証はない。

 ところがロシアが2008年のグルジアでやってみせた「幽霊部隊」作戦、すなわち無徽章軍服の工作部隊を、平然と無制限に送り込む流儀ならば、ほぼ確実に傀儡政府を樹立してしまえるのである。

 そのテクニックは2014のクリミア併合でも使われ、またしても成功した。

 ロシアは、転覆させようと図る隣国の内部に「Nashi」と呼ぶ、新しい趣向の親露スタンスのグループもあらかじめ育成しておく。

 「スティッキー・パワー」戦術は、開戦前に隣国へのエネルギー供給(パイプライン経由)を支配してしまうことである。2008グルジア軍事干渉の前には、ロシアはもうそれを実践できていた。一方的にエネルギー価格を上昇させて、グルジア国内の光熱費や交通経済コストを左右することが可能であった。

 2007年1月にガスプロムはジョージア向けの天然ガスの値段をいきなり2倍にし、同時に、グルジア産のミネラルウォーターとワインの輸入を、衛生問題を名として禁輸した。

 ウクライナは自国民の消費するエネルギーの輸入代金すら工面できないようなダメ経済であったので、まんまとロシアにつけこまれた。セバストポリをリースすればガス代金を3割負けてやるといわれて契約。そのカネすら払えなくなるという体たらくであった。

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 星条旗新聞の2022-2-15記事「Russians claim they chased a US submarine out of Russian waters in the Pacific」。
   土曜日、ロシア軍は、ヴァジニア級原潜を千島列島のロシア領海から追い出したと発表。
 追い出す前に浮上命令を出したという。

 モスクワでは米国大使館附武官が呼び出された。

 現場の海域ではロシア海軍が演習中だった。


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