動いていない軍艦に、地上から発射した抛物弾道の地対地ロケット弾が直撃した、最初の戦例ができた。
米海軍の廃艦撃沈演習では、HIMARSを使ってそれを実証済みなのかもしれない。非公表だが。
中共軍や北鮮軍、イラン軍に至っては、「対艦弾道弾を持っている」とフカすだけで、実艦に当ててみせたことが、一度もない。繋止標的ですら、それを為し得ていないのだ。イスラエルと韓国は、繋止標的に当てている。特にイスラエルは400km先で直撃させている。
それをウクライナ陸軍が最初に実戦&実弾でやってのけた。すごい。
これでますます、専用の大型「揚陸艦」などというものが「分散の原則」に反した馬鹿な投資であることが理解されるだろう。「拡大しらね型」のような機敏な護衛艦型に、上陸戦担任機能を分散させるしかないのだ。
あらためて、先島群島の陸上から尖閣諸島の海面までリーチできる射程200km超級の地対地ロケット弾を導入しようとしてこなかった陸幕と防衛省の、過去二十年間の不明が、厳しく問われなければならないだろう。それがあれば、北方四島に対しても無言の圧力が及び、とっくに領土問題は解決したかもしれないのである。
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ストラテジーペイジの2022-3-24記事。
米国がウクライナ軍に援助した「スイッチブレード300」はレンジが10kmである。総重量2.7kg。トラックを破壊できる。
おなじく「スイッチブレード600」は重さが23kgに増え、レンジは倍以上に増え、戦車も破壊できる。
スイッチブレードを何に使うかというと、補給線の攻撃である。
これまで、国境のすぐ内側の幹線道路に露軍コンヴォイが大渋滞していることがわかっても、ウクライナ軍の歩兵がそこまで近寄ることができなかった。
露軍は幹線の側面をしっかり警戒しているので、素人級のウクライナ兵では潜入接近もできなかったようだ。
スイッチブレードなら、10km近く離れたところからトラックを楽々と破壊できる。さすがの露軍も幹線道路の両脇を10kmにわたって廓清することなど不可能だ。
ポーランドも、その国産のロイタリングミュニション「ウォーメイト」をウクライナに供給している。全重5.3kg、弾頭重量1.4kgでレンジは15km。本体の組み立てには5分必要。ただし、発進させるには、別あつらえのカタパルトか、滑走離陸できる道路が必要。
ウクライナも独自にロイタリングミュニションを2019年に開発していた。「サイレントサンダー」といい、全重9.5kg、弾頭重量3.5kg。レンジ30km。しかしこれも、スイッチブレードほどには実用的でないようだ。発進までに手間がかかりすぎるのだ。
スイッチブレードは、歩兵が「擲弾筒」のようにして、潜入姿勢からただちに発射させられるので、特殊部隊の挺進攻撃に最適なのである。携行姿勢も、まったく目立たない。敵が偵察用のUAVによってもしその歩兵の姿を探知したとしても、まさかUAV攻撃要員だとは認識ができない。ここが重要である。
ロシア軍のロイタリングミュニションは「ザラ」という。2017年に開発し、これまではシリアで試用していた。ウクライナ戦線にも当然投入している。弾頭重量2kg。偵察用として使う場合はペイロードが3kg。発進はトラック荷台のカタパルトから行う。時速130kmで30分飛翔できる。
※世界の三流軍隊でも装備しているロイタリングミュニションをひとつも装備していないわが自衛隊。もう四流か?
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Charlotte Jee 記者による2022-3-24記事「Ukraine claims it’s using facial recognition to identify dead Russian soldiers」。
ウクライナは、死んだロシア兵の個人確認のため、顔認識AIを使っている。これはウクライナの副首相・兼・デジタル化担当大臣のミハイロ・フェドロフが、「テレグラム」への書き込みで認めた。
目的は、ロシア政府の嘘宣伝を補正することである。ロシアは、戦死者は少ないと言っている。
具体的にどうするか。その兵隊本人がSNSにUpしていたじぶんの顔写真を、ソフトウェアが探し出してくれるのだ。そのアカウントを媒介にして、戦死者の係累や知人は、ロシア政府による戦死公報よりも早く、ウクライナ政府が確認した戦死の事実を、知らされることになるわけ。
使っているソフトウェアサービスは「クリアヴュー AI」といい、提供会社はNYCにある。会社は今月前半から、ウクライナ政府が無料でそのソフトを使うことを許可しているという。