最新の《続・読書余論》は、メーチニコフ著『回想の明治維新――ロシア人革命家の手記』・ほか です。

 https://note.com/187326mg/  を ごらんください。

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 ドイチェヴェレの記事「Ukraine is using Elon Musk’s Starlink for drone strikes」。

   2月下旬、ロシアがウクライナに攻め込んだ直後、ウクライナのフェデロフ副首相がツイッター上でイーロン・マスクに対し、ウクライナでスターリンクが使えるようにしてくれ、と頼み込んだ。

 イーロン・マスクはすぐにツイッターの返事を書き込んだ。「ウクライナでスターリンクのサービスが開始されました。追加の地上送受信端末器材は発送済み」と。

 トラックでどっさり届けられた、このターミナル器材には、強力なバッテリーも付属していた。さすがはイーロン。

 英紙『デイリー・テレグラフ』の報道によれば、ウクライナ軍はこのスターリンクとUAVを組み合わせて活用している。

 すなわちスマホが使えなくなっている戦場環境で、長距離の情報連携をスターリンク経由で迅速化している。具体的には、UAVが偵知した露軍のAFV部隊の位置と動きを、最寄の味方のATGM部隊や砲兵部隊に連絡し、地上からの火力指向を速やかに効率的にコーディネイトするのだ。

 ウクライナの砲兵部隊は、スターリンク経由で、UAVが捉えている敵車両のサーマル映像を、リアルタイムで受け取ることができるという。それを見れば、弾着修正もできるから、もはや、地上のFOは必要ないわけである。

 『ロンドン・タイムズ』の取材によれば、ウクライナ軍は専ら夜間に、この砲兵観測用のUAVを飛ばしている。夜間であれば、露兵はまったくこのUAVを肉眼で見つけることができないからだという。

 ※しかも物陰に隠れて停車している敵車両のエンジンの熱が、昼間よりも強いコントラストで目を惹くだろうからな。

 3月に端末が配送され始めるやすぐに、イーロン・マスクは、ユーザーに対して使用上の注意を助言している(ツイッターで)。いわく。必要な通信をする時以外は、スイッチを切れ。使うときも、アンテナを、ユーザーからできるだけ離した場所に置け。

 これはどういうことかというと、ロシア軍は電波発信源方向探知機を持っているから、同じ場所から延々と対衛星通信電波を輻射しているアンテナの位置を、一定時間後には特定できるのである。そしてその座標に対して多連装ロケット弾を撃ちこんで来る。万一そうなっても、アンテナとユーザーが離れていれば、ユーザーは被弾しないで済むかもしれないわけ。

 ※わが陸上自衛隊には、この着眼があるように思えない。アンテナと指揮所(部隊長)の位置が近接しすぎてはいないか。70m以下では危険なはずなのだが、本管通信小隊の徒歩伝令が楽をしようとすれば、距離はゼロに近づく……。さすがイーロン・マスクのレベルになると、プロ軍人以上に行き届いたアドバイスができると見える。

 なお、マスクによれば、ロシア軍がスターリンクを電波でジャミングしようとしても、無駄だそうである。ソフトウェアにより、それを回避できるそうだ。

 ロスコスモスの長、ロゴジンは、マスクの対宇支援は民間人の活動を逸脱し、侵略行為加担だと罵っている。マスクはそれに対し、ウクライナの民間インターネットの調子がな~んか悪いみたいだから、弊社がそのメンテナンスを手伝っているのさ。通信状態の悪い原因は悪天候かな? ……とうそぶいて挑発している。

 ※『ドイチェヴェレ』の写真特集でハッとさせられたこと。ウクライナでは、バックパックやアクセサリーを製造するのが本業であった民間職人が、今、自発的に「防弾ヴェスト」を縫製して、ウクライナ軍に納めている、と。そうなのだ。べつにケヴラー素材や超硬セラミック素材が入手できなくても、金属鈑とナイロンとで、簡易型の防弾ヴェストは「自作」できるのである。何もないより、ずっとマシじゃないか。

 ※さらに雑報。かたや露兵は、1978年製の戦闘被服を、支給されているという証拠写真が、SNSに上がっている。

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 Yolanda Monge&Elias Camhaji 記者による2022-3-26記事「US general: Russia has more spies deployed in Mexico than in any other country」。
   米軍北米コマンドのグレン・ヴァンヘレック大将いわく、GRUの工作員がいま、世界中からメキシコに集中されてきており、なんとか米国世論に影響を与えようと、そこでうごめいている、と。

 メキシコ政府が麻薬カルテルの取り締まりに関してまったく無能であるため、米墨国境をスパイが浸透するのはわけもない。中共もロシアも、そこを利用していると。

 ※在メキシコのロシア「難民」もだが、ウクライナ難民の中にもGRUが混ざっている可能性は、大アリだね。

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 Elliot Ackerman 記者による2022-3-25記事「Ukraine’s Three-to-One Advantage」。
   記者は元海兵隊の情報将校で、イラクにもアフガンにも行っていた。

 じつはジャヴェリンには知られざる機能がある。それはミサイル飛翔体の方ではなく、ラーンチャー(CLU=コマンドラーンチユニット)に付いている暗視センサーだ。深夜に、なんと1マイル以上も離れた場所から、敵のゲリラがこっそりIEDを仕掛けていないか、克明に監視することができる凄いモノ。ここに数千万円の価値があるわけだ。だからイラクやアフガンで、敵は戦車なんか持っていやしないのだが、われわれ米兵は、必ずCLUをひっかついでパトロールしたものであった。

 ※援助するなら、暗視用の強力双眼鏡か……。兵器じゃない、とも言えるしな。


兵頭二十八 note

★《続・読書余論》メーチニコフ著『回想の明治維新――ロシア人革命家の手記』・ほか

(管理人Uより)

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