中共は、高速旅客鉄道で「東風41」を機動させるのが合理的だという、堂々の大学論文。なるほど!

 The Maritime Executive の2022-3-28記事「Two More Drifting Mines Found and Neutralized in the Black Sea」。
    月曜日、トルコとルーマニアでさらにまたソ連時代の古い繋維機雷が黒海を浮流しているのを発見。処分した。

 1個はルーマニア海軍基地のあるカプ・ミディアの40海里沖でみつかり、掃海艇からゴムボートで処分隊が近づき、爆薬をしかけて処分した。

 その150海里南方のトルコ領海でも1個の浮流機雷が発見された。トルコ海軍のSASがこれを無力化した。

 土曜日に最初の浮流機雷がトルコ領海(ボスポラス海峡)で見つかっているが、それと同型のようである。つまりソ連時代の古い設計の機雷。型番は「YaM」もしくは「MYaM」であろう。触発式で、大河にも仕掛けられる。

 ロシア側の宣伝によれば、ウクライナ海軍が、オデッサ沖など4箇所に、計400個の機雷を敷設していて、それが浮流したのだと。

 それに対してウクライナ側は、責任を否認している。

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 indomilitary の2022-3-28記事「Hwasong-17 Missile Launch Response, South Korea Develops Naval L-SAM, Anti-Ballistic Missile Defense System on Warships」。
   韓国は、国産のKDDX駆逐艦に、海軍用の対弾道弾ミサイルである「L-SAM」を搭載する計画を明らかにした。

 組み合わせるレーダーは、地上型と同様、SバンドのAESAレーダーだという。

 L-SAMは、水平距離150km、射高100kmまで対応可能。地上版の試射は2022-2-23に成功している。

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 indomilitary の2022-3-29記事「Russia Invents Cockpit Glass “Stealth Glass,” Fighter Jet’s Stealth Ability Increases by 20 Percent」。
    ロシアがステルスコーティングの新技術を開発したと宣伝している。真空状態で、磁電管を使って、金属と酸化金属を、〔非導電性の〕物体の表面にスパッタリングして被覆する。このようにして被覆された物体表面は、電気抵抗が著減する。

 ロシア企業は、このコーティング技術を、戦闘機のコクピット内の「ガラス」部品に使うのだという。
 それによって、従来、対レーダーのステルス化が難しかったキャノピー内部のステルス性を向上させられるはずだと。

 光学的な透明を損なわずに、厚さ0.25ナノメーターから0.3ナノメーターの金属被覆を200層、重ねられるという。

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 indomilitary の2022-3-28記事「RGW-90 Matador ? Disposable Anti-Tank Rocket, Sent Thousands by Germany to Ukraine」。
   ドイツはすでに「パンツァーファウスト3」の発射機を400、ロケット弾を1000発、ウクライナにプレゼントしているが、それに加えてさらに、完全使い捨ての対戦車ロケット弾「RGW-90 マタドール」を2650発、追加で贈った。

 すでにそれは3-26にウクライナに届けられたようだ。
 だがまだまだ終わりじゃない。マタドールの第二陣、2450発も、3月末までに届ける予定だと。

 ※やはり援助用としては、「完全使い捨て式」の方が合理的なのか?

 「マタドール」のメーカーは、ディナミット・ノーベル・ディフェンス社である。イスラエルとシンガポールも、この開発に加わっている。

 西ドイツ時代に、シンガポールと共同で「アルムブルスト」という対戦車ロケット弾を量産していたのだが、それを洗練したものだ。ちなみにインドネシア軍もこの弾薬は買った。

 「RGW-90」は1999年に設計された。弾径90ミリ。
 全重はたったの8.9kgである。
 弾頭は、HEAT(成形炸薬)とHESH(粘着榴弾)のコンビネーションで、発射前に機能を切り替えられるという。
 後方爆風は抑制されており、狭い室内から発射しても射手は安全だ。

 イスラエル軍はマタドールをガザで2009-1に使っている。建物の壁に75センチ以上の円い穴をあけて、そこから歩兵が突入できるようにする、専用の弾頭も、このロケット弾のバリエーションである。

 マタドールのチューブにはピカティニーレールがついているので、もし暗視照準が必要なときは、それを取り付ければよい。
 弾頭は1秒で250m飛ぶ。有効レンジは500mである。

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 Dino Garner 2022-3-28記事「SURVIVAL and the Dumb Things Russian Soldiers Are Doing in Ukraine」。
   今次戦役の露兵の動きを観察していると、ひとつの重大な秘密に気付かざるをえない。彼らは「サバイバル術」を教えてもらっていないのだ。これは米軍文化を基準にすると、ゆるされぬ教育欠陥である。

 記者が現役レンジャーだったとき、バイブルは『フィールドマニュアル 21-76』だった。これは今では『FM 3-05.70.』に改訂されている。ダウンロードもできるぞ。知らない人はこれでサバイバルを学べ。

 いっしょに行動する仲間のうち、誰が、地図やコンパスを持っているか、承知しておけ。そいつが戦死したときに、確実にその地図やコンパスを継承するためにだ。

 未知の土地を進んでいるときでも、自己の現在位置と、これからとるべき進路については、常にじぶんの頭で計算をしていること。これを仲間任せにしていると、サバイバルはできなくなる。

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 Alison Bath 記者による2022-3-29記事「Open source intelligence observers gain growing role in how war is viewed」。
    民間でOSINTをがんばっているひとり、ヴァン・ロケリン氏は、露軍の水陸両用部隊はアゾフ海でせいぜい400人以下の陸戦隊しか運べないことを指摘し、露軍は上陸作戦をまったく実施していないのに嘘発表をしているのではないかと疑問提示。

 ロシア海軍は、民間人のOSINTの威力におそれをなし、軍艦の番号ペイントを塗り消し始めた。

 たとえばH.I.サットンが3-22にツイッターに動画投稿した8発のカリブル巡航ミサイルの洋上発射は、露軍にはとても意外だったようだ。※カリブルがウクライナ西部に着弾するより早く、ツイッター経由でその飛来が警報されてしまう。

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 Seth Robson 記者による2022-3-29記事「Pacific security stakes raised with leaked China-Solomons military agreement」。
    中共の警察がすでにソロモン諸島にやってきて現地の警察に暴動鎮圧術などを訓練してやっている。

 中共の「病院船」はフィジーには頻繁に寄港している。

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 ストラテジーペイジの2022-3-29記事。
  イスラエルは、低速かつ低空飛行で国境を越えて襲来するドローンや風船焼夷弾を早期警戒するため、繋留気球搭載レーダーである「スカイ・デュー」を採用し、まずそれをイスラエルの北部国境に展開する。

 イスラエルがプレゼントした野戦病院が、ポーランド国境から150kmのリヴィウにオープン。値段は650万ドル。数百人のイスラエル人ボランティア(一部は元ウクライナからの移住者)が運用する。150床、10張の大型テント などからなる。病院を爆破されたウクライナ人医療スタッフもここに合流する。

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 Tom Brown 記者による2021-6-15記事「The Dark Underworld of Brezhnev’s Kremlin」。
    レオニード・ブレジネフは、今のウクライナで、労働者階級の家に生まれた。まだ帝政時代であった。

 十月革命でソ連が誕生したので、ブレジネフは共産党の青年部に1923に加わり、1929には正規党員になった。
 1941の対独戦争勃発で、赤軍の政治将校に。
 急速に昇進して、終戦時には少将であった。

 党中央委員会には1952に入り、フルシチョフ時代にポリトビューロ(共産党の最高政治局)の常務委員となった。

 1962のキューバ事件以降、失脚過程にあったフルシチョフは1964に、ブレジネフを党第二書記に抜擢した。すなわち、ソ連のナンバー2である。

 フルシチョフはブレジネフが味方だと思っていたのだが、実はブレジネフは1963から、フルシチョフ下ろしの一派に加担していたのであった。KGBが陰謀の中心だった。

 反対派にも2勢力があった。フルシチョフの書記長職を解任するだけでいいと考えたグループと、フルシチョフを中央指導部からかんぜんに排除しなくてはならぬと信じたグループである。
 ブレジネフは後者であった。

 ブレジネフは、方便として当面米国と「共存」しつつソ連の体力をつけ、世界への影響力を扶植すべきだという斬新なプランを持っていた。〔フルシチョフは自家宣伝中毒にかかり、今すぐに米国と対決しても勝てると妄想してキューバ事件を起こした。〕

 「プラハの春」は東欧の現状変更につながるとKGBが判断し、その進言を信じて、ブレジネフはソ連軍をチェコスロバキアに進駐させ、自由化改革運動をぶっ潰させた。

 東欧諸国がソ連から離れようとすればいつでもロシア軍を送り込むという「ブレジネフドクトリン」は、ゴルバチョフが指導者になるまで、放棄されなかった。それが放棄されたことで、ベルリンの壁も消滅した。

 ブレジネフは中共を牽制しながら北ベトナム支援を継続し、これによって米軍を泥沼にひきずりこみ、米軍の対ソ軍備拡充ペースを遅らせ、戦略核の対米対等を確立した。しかも南ベトナムはけっきょく共産化され、ソ連は中共を南北から挟み撃ちできるようになった。

 アラブvs.イスラエル戦争では、ブレジネフはアラブ側を後援したが、こちらは、ベトナムと違って、成功しなかった。※イスラエル軍が有能すぎた。

 1980のアフガニスタン進駐もブレジネフの決心だったが、こちらは10年間の泥沼作戦となり、ソ連軍の直接的な敗退という最悪の転帰を迎えた。

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 Stephen Chen 記者による2022-3-29記事「Could China use a high-speed ‘doomsday train’ to launch nuclear missiles?」。
    成都市にある「南西交通大学」の土木科の助教授が、対米用のICBMの「東風41」を、旧来の低速な貨物列車ではなく、高速旅客鉄道で機動させるのが合理的だ、という驚きの提案を公表した。

 中共の高速鉄道は、走行速度が350km/時。客車は16両編制で、1両の重さは60トンくらいである。
 そこにICBMを納めることは可能なのだが、想定される懸念は、ブラストで路盤が傷むこと。

 論文は木曜日に大学の学術誌に掲載された。

 高速鉄道がICBM向きというよりは、旧来の貨物線の線路のバラスト(小石礫層)が、ICBM発射に向いていないのである。ICBMの発射衝撃は、枕木の下の砂利層を8mも侵徹する。そんなに厚い鉄道のバラストなどありえないから、もし貨物列車からICBMを発射したければ、バラストが吹き飛ばないように特別に保護した、発射専用の「臨時駅」か「待機線」でも用意しておくしかないわけである。

 しかしこの助教授いわく。中共の高速鉄道は、バラストではなく、直接にコンクリートの基礎にレールを乗せているので、ICBMの噴射ガスで線路が崩壊する心配はしなくていいのだ、と。

 ※ここでネットで調べたところ、日本の新幹線のうち、東北新幹線が、バラストを使わずに直接にコンクリート上にレールを敷いているようだ。どうりで郡山の宗像和広さんが、あれが通過するときはすごい音がする、と言っていたわけだ。それに対して東海道新幹線は、オーソドックスなバラストを敷いているので、比較的に走行騒音は抑制されているそうだ。

 東風41は、自重80トン。長さ20mである。径2m。
 中共鉄道の一般的な客車は、長さ27m、幅は5m以上ある。