120ミリ迫撃砲弾の直撃でT-72/80は破壊できるのか?

 どうもわからない。先の大戦で81ミリ迫撃砲弾が軽戦車の天板に直撃してもほぼ無被害だった。迫撃砲弾は、弾頭信管のついている弾丸の真正面に対しては、アーマーピアシング力は無いのだ。

 しかし今次ウクライナ戦争では、120ミリ迫撃砲弾の直撃で露軍の戦車が仕留められているという解説文付きのUAV空撮動画がSNSに上がっている。

 ここで複数の疑問がいちどに生ずる。

 まずひとつ。それは爆発反応装甲を反応させているだけじゃないの? そうでないとしたら、今の120ミリ迫撃砲弾は、弾丸の真正面へも穿貫破壊力が及ぶような、HEATとHEの複合型になっているのか?

 そしてもうひとつ。重迫撃砲で戦車にダイレクトヒットさせられるくらいに、いまやUAVを使った弾着観測修正は進化しているのか? ひょっとして、UAVからは目標のGPS座標を砲側に知らせており、砲側では、GPS自律誘導砲弾を発射しているのではないのか?

 つまり、ウクライナ陸軍がいまや最前線で120重迫を駆使できるようになっているのだとしたら、NATOとしては、GPS誘導砲弾を援助してやるのが、妙手になるはずなのだ。なぜなら、それはATGMよりもずっと安く、レンジはATGMの何倍もあるのだから。そして、大量に援助するのに、とても向いている。今から工場で増産するまでもなく、誘導デバイスの在庫は米国内にはうなっているのだ。アフガンで需要があったがために。

 迫撃砲用のGPS誘導砲弾がウクライナ軍に引き渡されたという報道はどこにもない。しかし、されていても不思議はない。というか、しなければ阿呆だろう。特殊部隊員もそのために派遣されたはずだ。

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 The Maritime Executive の2022-3-30記事「Ukraine Accuses Russia of Setting Stolen Mines Adrift in the Black Sea」。
   ウクライナ外務省が非難。ロシア軍が、機雷をわざと浮流させていると。
 ※これは国際法違反である。詳しくは拙著『封鎖戦』を参照されたし。

 その繋維式機雷は2014年にセヴァストポリ軍港の倉庫で押収したもので、もともとウクライナ軍の所有物だった。
 機雷の設計は、旧ソ連である。

 ※2014年にクリミアを侵略されたとき、徹底抗戦しないで停戦合意したのが、今に祟っているわけ。

 現在、ウクライナの商業輸出港は、すべて、ロシア海軍によってブロケイドされている。したがってウクライナの農産品は、貨物船によっては輸出することができなくなっている。

 そのためウクライナ政府は、ルーマニアの農業省と協議し、ルーマニアのコンスタンツァ港をウクライナの輸出港として使わせてもらえるよう、交渉中。

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 indomilitary の2022-3-30記事「Russia Uses “Medallion,” New Seismic-Based Anti-Personnel Mine in Ukraine」。
  ロシアの「見た目ハイテク」な対人地雷。名を「メダリオン」という。この不発弾や未使用キャニスターがハリコフ前縁の戦場で多数、撮影されている。

 「POM-3」ともいう。2021年から製造されている新顔。信管は、振動センサーである。
 人の接近を地面の振動で感知すると、弾頭を空中にポップアップさせて、そこで起爆する。
 炸裂破片は半径16mの人畜を無差別に傷つける。

 この対人地雷は、専用のロケット弾「ISDM ゼムレデリエ-I」によって5km~15km先に投射し、散布する。このロケット弾も2021年に公表されている。ゼムレデリエとは「農業」の意味である。

 5km以内に撒きたいときには、トラックから、別な仕組みで撒くようだ。

 いちおう、数時間から数日で無力化する機能もついていると謳われている。だが、農作業を長期間妨害してやるイヤガセラの置き土産にも、使えるのだ。

 ※卑怯者が一生正体を隠し通すことは稀である。ロシアに早く降服すればいいんだと言う者は、シベリアへの強制移住にも快く応じたらいいじゃないかと勧める。みんなロシア人民になったのだからロシア軍に徴兵されるのは当然だよねと説得する。占領税を払い続けるのは法律できまっていることで、時に私有財産を略奪されるのも仕方ないと演説する。こうしてロシアの次の世界侵略に、日本人の最後の血の一滴までも貢献させる。モスクワからのご褒美は、ロシアの勲章。運が良くば、犬の大統領にしてもらえるだろう。尤も彼はその出世ゲームのスタート時点から、犬の大統領と見分けがつかぬことが多いはずだ。

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 雑報。
 SNS写真によると、ウクライナ軍が保有している化学偵察車の「RKhM カシャロット」がハリコフで1両、破壊された。

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 『ドイチェヴェレ』の2022-3-30記事。
    げんざい、「ガスプロム銀行」は西側からの制裁対象となっていない。ドイツはユーロで「ガスプロム銀行」にガス代金を振り込むことが可能である。ドイツ政府の発表。

 ショルツがプーチンに電話して確かめた。「ガスプロムバンク」が、振り込まれたユーロ/ドルをルーブルに交換するので、問題ないと。

 ショルツはこの手順に同意したわけではない。そして、手順についてロシアが〔口頭でなく〕文書で知らせるように求めた。

 この問題についてはロシアとドイツの専門家同士でさらに話を煮詰めるであろう、とクレムリン発表。

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 Maria Temming 記者による2022-3-25記事「50 years ago, scientists thought a desert shrub might help save endangered whales」。
   マッコウクジラから得られる油にまさる高性能潤滑油はいまだにない。かろうじて性能が近いのが、ブラジルの椰子からとれるワックスだが、非常に高価。

 しかし最近、北米の砂漠にも生えているありふれた潅木の一種から、マッコウクジラの油と分子構造がよく似た同格品質の油脂が得られることが発見された。



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