ジョン・スペンサー氏は米陸軍に25年以上勤めた市街戦のベテランで、イラクに長かった。
以下、ウェブ上に公開されている氏のPDFの内容を私流に摘録しよう。
2016に1万人弱のISが籠もったモスル市を陥とすのに、10万人が9ヵ月攻める必要があった。
都市の抵抗力は、山林とは比較にならず強大なのである。
市街戦(防禦)は、兵士単独ではダメ。必ず3人から5人のチームで活動すること。
戦闘員であるマーキング(ウクライナの場合なら黄色の腕章)は必ず着装せねばならない。敵がそのルールを破っているとしてもだ。
一時たりとも怠けずに陣地は補強し続けよ。現に交戦中であるときも、チーム内の誰かは、穴掘りや壁積みを続けなさい。
頼れるのは、コンクリート建造物とコンクリートのガレキだけだ。
土嚢も、防弾の頼りにはできない。丸太もダメ。
理想的なのは、鉄筋や鉄骨で補強されている流し込みのコンクリートだ。
ビルの谷間にはタープや筵等を張り広げ、上空からの敵による視認を不可能にせよ。これだけでも敵は、そこを恐れ、近寄らなくなる。
地下のインフラ(下水道など)はすべて利用すべし。なければトンネルを掘るべし。
そのためにも複数人のチームである必要がある。
すべての窓にこちらの狙撃手が隠れていると、敵をして疑わしめよ。
オープンな場所に居るべからず。まして、オープンな場所で戦闘しようとするのは、市街の防禦では、自殺行為である。
ゲリラはぜったいに、建物より出るべからず。
常にエスケープ・ルート(穴)を確保し、またそれを念頭に行動せよ。
ビルの外壁にも仕切り壁にも、味方ゲリラが通り抜けできる小穴が必要である。マウスホール(鼠穴)という。それを事前にブチあけろ。
チームの「三分の二」以上を同時に睡眠させてはならぬ。警戒を弱くすれば、敵から奇襲攻撃されておしまいだ。
浄水を身近に置け。水さえあれば、食わずに3週間生きることもできる。じぶんの小便は、黄色もしくは茶色なら、飲んでOKだ。
喫食の前には手を洗え。便所から100m以内で飲み食いするな。赤痢は敵の砲弾よりも確実にゲリラを殺す。
コンクリートのビルにも強弱があると知れ。公共のビルなら鉄骨が太く、コンクリートも厚い。
カーテンウォールのビルは拠点とするな。ガラス破片でひどいことになる。
木造家屋は、焼かれておしまいである。拠るべからず。
戦闘しつつも、全周を警戒せよ。そのためにもチームでいることが必要なのだ。
都市全体を陣地化すること。
円周状に、隙間無く、陣地ラインを構築し、かつその環を、多重化せよ。
道路に障碍を設ける工事は、まず、活きている橋からスタートせよ。バスやダンプを密集させて乗り捨てるのが手っ取り早い。そのバッテリーは外しておくこと。
レイザー鉄条網が使えるときは、そのコイルを3束、ピラミッド状に積み上げる。そしてところどころ、鉄杭に絡めて固縛しておく。この障碍帯で、大概の車両は止めてしまえる。
街路は1本のこらず、クリアなままにしておいてはならぬ。すべての通りにジャマ物を並べろ。それで敵車両のスピードが落ち、敵兵のストレスがMAXになり、こちらの攻撃は有効になるから。
出入り口の検問は、あやしい車両と、あやしくない車両を、分別したレーンに強制誘導する。あやしい車両は、こちらの装甲車の真正面に停めさせてチェックするようにする。その装甲車は半分地面に埋め、周囲にはコンクリートの壁を積んでおく。
弾薬はたくさん必要だ。田舎のゲリラよりも、都市ゲリラの方が、弾薬の需要は4倍。
ビルからの射撃は、高いフロアほど有利。敵の戦車の火器は、高角反撃には向いていないからだ。
※このマニュアルを読んで、以前にこのブログで提案した「小型スコップ型の重手榴弾」の必要をますます確信した。それを壁に貼り付けて起爆させれば、たちまち「マウスホール」があくだろう。また、その一面に金属デブリを貼り付けて、外壁に立てかけるようにして隠蔽擬装下に固定すれば、そのまま「クレイモア」になるだろう。「小型スコップ型の重手榴弾」の木柄は、末広がりのテーパーがついていなくてはならない。紐で吊るしたり、濡れた手で掴んだときに、すっぽ抜けてはいけないからである。
※遠投用HE手榴弾について。身体を鍛えていないアジア人のゲリラが最も遠くまで投げることのできる重量は何十グラムなのか、急いで体力統計をとることだ。そして、その値に全重を合わせて、外径が3センチ未満の球状のミニ手榴弾を、ゲリラ専用に量産しておく。それを台湾援助にも使う。なぜ3センチ未満かというと、旧ソ連規格の30ミリ機関砲の砲口内に落とし込んでやることができるからである。またこのくらい小型であれば、タイヤ爆弾などのIEDの起爆装置(コア・デバイス)としても最適であろう。なにより、女子供が隠し持ち易く、最後の自衛手段に役立て得る。たとえばピンを抜いて敵の首筋に突っ込んでしがみつき、敵兵の身体の反対面で爆発させた場合、敵兵の肉体がシールドとなって、こっちは傷つかない。