シンセンからロシア向けの輸出の貨物量が、ウクライナ戦争の勃発によって、それ以前よりも3割ほど、減っているという。

 ストラテジーペイジの2022-4-18記事。
   米国や欧州諸国は、すでにウクライナ軍に対して、9万発もの、個人携帯型PGM兵器や対戦車ロケット弾を供給した。
 しかし、これらは各国の常備部隊の即応体制に影響しないのか?
 大丈夫。
 いずれも「War Reserve Stockpile」(戦時予備用集積兵器)の分を、対宇の緊急供与に回しているから。

 これらは主としてロシアとの本格戦争に備えた、平時の弾薬蓄積なのである。
 いつかロシアに対して使うつもりで貯蔵していた分を、今、まさに、ロシアと戦っているウクライナ軍に、使ってもらっているわけなのだ。

 この「ウォー・リザーブ」の貯蔵量だが、とつぜんに大戦争を仕掛けられたときに、最初の30日から60日を、そのストックだけで持ちこたえる、という考え方がある。60日以降は、後方の大工場で、兵器弾薬の本格量産体制が立ち上がることも、前提しているわけだ。

 大戦争勃発時の即応分のストックであるから、その倉庫のロケーションは、予想される最前線に対して、すみやかに搬送できるようにも、考えておかなくてはならない。

 イランは無誘導ロケット弾とSAMをロシア軍に供与したらしい。しかしその数量は多くなく、また、巡航ミサイルは渡していない。

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 ストラテジーペイジの2022-4-18記事。
   人口800万人のイスラエルでは、その人口の2%が現役兵であるが、それとは別に、人口の5%ちかくが予備役である。

 若年時に徴兵期間を勤め上げて、現役任期満了除隊となった予備役は、その後も、壮年期を通じて、定期的に「訓練召集」を受けて戦技をブラッシュアップし続ける。だから一朝有事の暁には総兵力を3倍化できるのである。
 この予備役システムは200年前に欧州各国が創始した。

 今日、予備役システムを高度に維持しているのは、イスラエル、スウェーデン、フィンランド、スイスである。
 今から40年前、イスラエルは、このシステムにより、人口の15%を軍隊に動員した。しかしさすがに今日では、7%に抑制しているわけである。

 動員率をあまり上げると、長期持久戦争は不可能になる。短期決戦を企図する場合のみ、15%も動員できるのだ。なぜなら、その予備役動員が解除されないうちは、国内経済はすべてストップしているのだ。
 これが7%だと、なんとか国内経済を回しながら、戦争を続けることができる。

 イスラエルの予備役は、毎年、その30%が、訓練召集を受ける。一回の訓練召集期間は、長くて2週間。短くて数日である。

 イスラエルでは、予備役の40%は、女子である。さすがに後方勤務が多い。
 予備役は男女とも40歳までとなっている。しかし人によっては51歳まで登録できる。

 スウェーデンは90年代に徴兵制をやめてしまった。しかしそれでは有事に即戦力の予備役をほとんど動員できなくなることが痛感されて、また徴兵制を復活させて今に至る。

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 Andrew Erickson and Gabriel Collins 記者による2022-4-18記事「Eight New Points on the Porcupine: More Ukrainian Lessons for Taiwan」。
    台湾は、浅海面用の機雷である、ロシアの「PDM」シリーズをただちに量産するべきである。
 これは敵が上陸しようとする海岸に即座に撒けるものである。

 台湾には、30日分の政府の石油備蓄がある。1日の国家需要量は100万バレルだと計算している。これは60日分に増量し、且つ、タンクを分散して地下化する必要がある。

 台湾の火力発電所への液体燃料の輸送は、全電力が喪失した場合でも「重力」によって持続できるように、「高地」に燃料配給基地を設けるべきである。もちろん、そこから発電所までのパイプラインも、地中へ埋設しなければいけない。

 石油を陸揚げできる港湾は、もっと分散させなければならない。

 台湾国内の、人口5000人以上のすべての自治体は、攻囲軍から砲爆撃を受けても機能を維持できるような、非常時の給水用の「井戸」をもっていなければならない。動力ポンプは地下化し、そのポンプ用の燃料タンクも地下になくてはならない。

 ※滅菌サービスまでは無理でも、飲む前に煮沸することを前提とすれば、これで戦時には上水の代用になる。