雑報によると、Buk、Kub、およびトゥングスカの3種類のSAMを製造している工場で、西側製部品不足から製造がストップしてしまい、従業員の給与を支払えなくなっていると。
そこで工場労働者には、二つに一つの道が示されたそうだ。
一。給料を貰わずに、このままミサイル工場で働き続けるか。
二。ロシア軍に志願して、ウクライナへ行くか。
また、ドンバスでは仲間割れが起きている。
ロシア系住民の組織は、自治権(=自主判断作戦権)を得ているつもりでいるのに、ロシア政府はそれを許さず、FSBによって、現地ロシア系武装軍の幹部を次々に逮捕しているのだ。
つまり、おまえらは、ロシア正規軍の前衛の手駒(弾丸吸収材)となって、ハリコフ市またはマリウポリ市の外縁陣地に突撃しろ――というわけだ。それが嫌ならシベリア送りだと。
さて、今後の展開を予想しよう。
長期消耗戦となったら、最も豊富に使える資源を活用することを考えねばならない。
ロシアの場合、こんご、豊富に使えそうなのは、「人」と「石油」と「古い砲弾」ぐらいだ。
野砲の砲弾を、むりやりに、簡易量産型の「臼砲」か、旧日本軍が大戦末期に工夫した「爆弾投射ロケット砲」によって近距離から休みなく撃ち込みまくる。そういう戦法に転ずるのではないか。
露軍のトラックは、涸渇して行く。これがWWIIとの大きな相違点だ。WWIIのソ連軍は米国から援助された無尽蔵の新品トラックで勝利したのだ。その歴史を戦後ソ連政府が抹殺してきたことが、これから祟るだろう。西側の経済制裁効果によって肝腎な部品がなくなり、トラックの製造も修理も思うように行かなくなるだろう。
その場合、露軍としては、戦場に簡易レールを敷き、エンジン付きのトロッコで、弾薬推進を図るぐらいしか手はあるまい。もちろんロシア西部の民間車両は総徴発される。文句を言うなら地域選抜徴兵の伝家の宝刀で黙らせる。
しかしそれでも、西側がウクライナ軍へ援助してやるトラックの効率に、太刀打ちはできないだろうと考えられる。集中点のイニシアチブもなくなる。
ウクライナ側が今、検討しているのは、いつ、露領内の鉄道に対する攻撃を開始するか――だろうと思う。