ガスプロムが火曜日にポーランドのガス公社に通知した。ヤマル・パイプラインのガス圧は水曜日の朝にゼロにすると。

 これはロイターの26日報道。遮断の理由は、ポーランドがルーブルでの支払いに応じないためらしい。

 ポーランドには、ヤマルの他にもガス輸入路(スロヴァキア経由など)があり、備蓄もあるので、当面、消費者へのガス供給は続けられる。

 ドイツから、ヤマル・パイプラインを逆向きに、ガスを送ってもらうこともできるのである。
 5月1日からは、リトアニアの天然ガスをチェコ経由で輸入する新パイプラインも稼動する。
 10月になれば、ノルウェーからのガス直送パイプラインも稼動する。

 ポーランドの Swinoujiscie 港には、天然ガス・タンカーからの荷揚げができる設備がある。

 雑報では、カットは水曜日の未明2時ちょうどを予定すると。

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 Brennan Deveraux 記者による2022-4-22記事「Loitering Munitions in Ukraine and Beyond」。
   ロシア軍がロイタリングミュニションを初使用したのは2021年のシリアであった。「ランセット」というシステム。
 滞空40分で、レンジは40kmというところだった。メーカーは「Zala アエロ・グループ」。

 目標特定と攻撃決断をかんぜんに機械任せにしているので、倫理問題も提起した。しかしこの「ランセット」がウクライナで使われているという証拠はまだ得られていない。

 露軍がウクライナで使っていることが確かめられているロイタリングミュニション「もどき」は、「KYB」である。
 メーカーはZala。だが自律判断式のロボット特攻機ではなく、リモコンもしない。これは、建物のような、座標が既知でしかも動かない標的に対して、その座標を入力して飛ばす、いわば、誘導砲弾の無人機版なのだ。
 しかしその弾頭はすこぶる非力である。

 ※驚くべき事実がまた確認された。いまやロシアの兵器産業は、無人特攻機に関しては、イランにすら、劣後しているのである。イランがフーシに手渡してサウジアラビア/UAEの空港や精油所を攻撃させている無人特攻機の方が、はるかに長射程だし、破壊力も大なのだ。しかもそれは何年も前から実力が誇示され、ロシア人にはじゅうぶんな、イラン製品を輸入したり、イラン人に教えを請う時間もあったはずなのに、敢えてそれをしてないのである。ロシアのプロ軍人は、予算の再配分に後ろ向きであるだけでなく、「戦術眼」と「研究心」をなくしているとしか思えない。まるで日本の陸幕と同じ病気に罹っているようだ。

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 「Barrage Balloons Can deny Russian aircraft safety at low altitude」という記事。
    阻塞気球はWWIで登場したが、WWIIでも有効だった。バトルオブブリテン中、102機のドイツ機が気球から垂らしたワイヤーに引っかかり、そのうち66機は墜落しているのだ。

 また「V-1」号巡航ミサイルのうち231発が、やはり阻塞気球にかかって、堕ちている。

 WWII中に英国は気球を2000機、展開した。それらは常時同じ位置ではなく、素早く要所に集中させていた。
 米国本土防衛省によると、35立方フィートの小型気球でも、半ポンドの荷物を吊るして、高度1000フィートに昇騰させることができる。繋留索は最近はケヴラー繊維の綱である。

 これはピックアップトラックで運搬でき、人手は数名しか要しない。
 げんざい、地面スレスレの超低空飛行を守っているロシア軍のヘリコプターが、1000フィート以上で飛ぶことを余儀なくされれば、MANPADで遠くから照準しやすくなる。

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 ストラテジーペイジの2017-4-26記事。
    米国がウクライナへ供与した「センチネル」は、半径75kmの敵UAVや巡航ミサイルを探知できる。そして敵に傍受されない無線を使って、それが向っている味方部隊に自動的に空襲警報を送信する。

 これとMANPADを組み合わせる。

 また同時に供与されたはずの、対砲レーダーの「ファイアーファインダー」。
 敵が加農砲を撃ってきたら、瞬時にその射点座標に対して味方の自走砲からお返しの砲撃をさせることができてしまう、高度な自動システムである。
 この計算実行スピードは露軍は実現できていない。ただし弱点があり、敵がおもいきり接近して迫撃砲を撃ってきた場合、「ファイアーファインダー」は機能しなくなる。

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 Howard Altman 記者による2022-4-26記事「Raytheon Is Unable To Make Stinger Anti-Aircraft Missiles Quickly Enough」。
   レイセオンの社長が告白。スティンガーの急速増産は無理だ。サプライチェーンが凍っている。いままで18年間も調達してくれなかったペンタゴンが悪い。

 18年のうちに、部品を製造してくれる下請けがなくなってしまっているのだ。

 かたわら、スティンガーのシーカーヘッドの改良研究は社内で続けてきた。だから、旧型の増産ではなく、新型の生産注文をいただけることが、願わしい。
 ただし最速でも製造は2023スタートとなる。ジャヴェリンもおいそれとは増産できない。

 スティンガーの生産工程は、ほとんど「手作業」だ。そしてまた、訓練済みの工員はほとんどが、トマホークやAMRAAMの製造ラインに貼り付けられている。簡単に増産なんてできない。

 ※スティンガーを急速量産できないなら、古いTOWシステムを、対NOEヘリ専用のミサイルとして改造できるのではないだろうか? それをオートバイ牽引のリアカーに搭載すればいいだろ。ヘリが現れないときは、VT信管付きの対陣地用誘導砲弾として使えるだろ。