やはり「ハーピィもどき」が活躍中だった! これが噂の「フェニックスゴースト」?

 「ハーピィ」と見られる無人特攻機のサウンド付きの突入動画が複数、撮影されている。
 SNSの投稿者はそれを「ハロップ」と書いているが、違う。先尾翼がついていないから。これは「ハーピィ」である。
 ハーピィとハロプについては兵頭二十八の2021-3刊本を参照されたい。値段がまるで違うので、ハロプだと、簡単には自爆させられないのである。

 SNSで初めて承知できたこと。ダイブにともなってプロペラ回転速度が(おそらく能動的でなく受動的に)上がり、シュトゥーカの効果音風車のようなサイレン音が地上まで響き渡る。ロイタリングミュニションではこのような現象が起きるとは知らなかった。

 ちなみに、WWII中の有人のプロペラ機が急降下爆撃するときには、エンジン回転数は極小に絞るので、むしろ「音が消える」ように、地上からは錯覚される。無難な引き起こしを考えないでよい無人機だから、動力降下が可能なのである。

 残る問題は、これがIAI社オリジナルの真正ハーピィなのか、それとも、第三国製の「ハーピィもどき」なのかということだ。わたしは、米国が供給した謎のUAV「フェニックス・ゴースト」だと疑う。今イスラエルはロシアを刺激したくないはずだから。

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 Sibel Duz 記者による2021報告「Unpacking The Debate On Turkish Drones」(PDF)。
  ウクライナ兵はDJIのMavicを用いて、戦犯証拠動画を撮影した。3月16日にテレグラフにUpされたやつ。

 トルコ製のマルチコプターで、何かを投下できそうな製品としては、KARGU がある。クォッドコプター型で、ペイロード1.3kg、滞空30分可能という。全重は不明。

 ドローンに期待されている「3つのD」。Dull=ダレてくる。 Dirty=汚れ仕事。 Dangerous=危ない橋。

 TB2の外国軍への納品済みの機数は次の如し(アゼルバイジャンが不明)。ウクライナには2020までに28機。リビアのGNC側には、12機を2019までに売った。モロッコには、2021までに6機売った。カタールには、2018までに6機売った。トルクメニスタンには、2020までに3機売った。※TB2は基本、6機で1セットなので、その半分というのは、よほど貧乏なバイヤーなのである。

 バイラクタル社が2023に完成を予定するジェット無人機の「キジレルマA」は、エンジンとして「AI-25TLT」を使う。また「キジレルマB」には「AI-322F」を使う予定。そのエンジンメーカーはIvchenko-Progress 社である。※ウクライナの国営企業だ。

 ※ロシアは以前に撃墜したTB2の機体残骸を別な場所に並べなおして撮影、「また撃墜した」と宣伝したのだが、すぐにネット上で、それは同一機体だぞと指摘されてしまった。

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 ロイターの2022-4-24記事「Germany to buy 60 heavy transport helicopters from Boeing, Bild am Sonntag reports」。
   ドイツ軍は、古くなってきた「CH-53G」の後継とする大型輸送ヘリとして、CH-47Fを選ぶ模様。これを60機、2025年から26年にかけて受領する。

 総額は50億ユーロ=54億ドル。

 この買い物は、今次ウクライナ戦争を承けてショルツ政権が国防費を増額させたので、支出できるようになった。

 候補機としてはCH-53Kもあったが、値段が高すぎると判断された。CH-47Fなら、他の欧州NATO軍とも共通化できる。

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 雑報。
 国連事務総長が記者会見している同時刻に露軍のミサイルがその町に着弾した。もはや国連とも対決する気満々である。

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 復興支援には「耐地雷デザイン」の農耕用大型トラクターが必要になりそうだ。地雷密度が逐次に高くなっているので……。

 たしか、アパルトヘイト時代の南アフリカにそういう改造トラクターがあったと思ってネットを調べたが、まったく出てこない。ひょっとして、当時の白人政権関連のモノはすべてネットから削除されちまうのかい?

 いずれにせよ、当時得られている知見の上に、今日の技術を役立てて、人が乗らなくても作業ができるシステムにすることが、きわめて望ましいと思う。

 というのは、4月26日に「PTKM-1R」(現物はロシア文字表記)という、地表から飛び上がって戦車をトップアタックする高性能な散布地雷が発見されているのだ。こんなのが道端にでも残っていたら、南ア型のトラクターでも危ない。

 ポーランド国内に工場を建設するとよいだろう。

 あと、陸自や海保が使っている35ミリ砲弾は、ゲパルトのために融通はできないのか? ブラジルが供給できるということは、日本からも供給できるのではないのか? そのへんを、急いで調べるべきだろう。総理大臣が外遊するとき、いちばんインパクトのある土産になるから。輸送は海保の巡視船でポーランドの港へ陸揚げすればいいだろう。



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