露兵は町を占領すると、一戸建て住宅の地下室を当面の寝床にしようと考え、手榴弾を使って地下室からまず住民を追い出すという。

 この段階で、防戦者側には「爆薬戦」の準備が必要になるわけである。
 あらゆる形状の、「すぐに使えるクレイモア」が、あらかじめ配布されていなければならないだろう。しゃもじ型の扁平手榴弾が、ユニバーサルで好いはずだ。

 また多層階ビル内部の戦闘では、下から上を攻撃するのに使いやすい、特別なデザインの手榴弾が必要だ。その設計を今からいろいろ考えることで、次の侵略は抑止しやすいだろう。

 次。
 Kamil Galeev 記者による2022-5-2記事「Who is fighting for Russia? Part 1. Russians」。
   ロシアの徴兵制は不公平で、「貧民の血税」の色が濃い。米国では、大学へ行く学資稼ぎに、若者が軍隊に入隊する。ロシアでは、徴兵を逃れるために、若者は大学へ進学するのである。ロシアで大学へ進学するには、家が金持ちであるか、さもなくば政府の奨学生になるほど優秀でなくてはならない。

 大学生の身分があるあいだは、ロシア人は徴兵されることはない。

 というわけで、ロシアの大学は、徴兵忌避者が上納するカネで成り立つ産業のようにもなっている。
 大学に入学後も、もしすべての授業で、試験に合格点が取れなかったら、その学生は放校され、徴兵されてしまう。

 ロシア軍の一定割合は志願兵である。しかし考えてみよ。目の前に徴兵制があって、それから逃れられそうにない者(頭脳が平均以下で、家にはカネもない17歳の青年)は、徴兵される前に志願してしまった方が、軍隊内での給与も処遇も良くなるのである。徴兵された場合、事実上、任期満了まで「タダ働き」に等しい名目的な賃金(こづかい銭程度)しか貰えない。しかし志願すれば、任期は長くなるが、間違いなく「有給」の仕事にありついたことにはなるのである。

 徴兵された者が、その任期の途中から、志願に切り替えることも、制度上は可能である。それは建前では、本人の自由な意志によることになっているが、じっさいには、脅し、すかし、騙しがあって、頭が悪くて気骨も無い者たちが、こころならずも、その志願書に署名してしまうのである。

 軍隊で下級兵になっている者は、その時点で、FSB職員になる資格はなくなったも同然である。
 FSBは、金持ち階級、頭脳エリートからしか、人材を採用しない。すなわちそやつらは、カネの力で徴兵を免れた者たちである。

 ロシアは今日でも、「農奴」と「貴族」の2層構造となっているのだ。家にカネもなく、頭も悪ければ、その者は自動的に「農奴」階級であり、軍隊の下級兵として服役させられる。

 ロシアでは、FSBやFSOの「大学校」で研修中のエリート候補生は、その期間、徴兵入隊して軍務に服していたとして、年金計算のうえで、みなしてもらえる。

 ロシア政府は公式には、陸軍の将兵を栄誉ある者として讃える。しかしロシア人は誰も、陸軍が高級な社会だとは思っていない。心の中で、見下げているのである。

 ワグネル・グループは、プーチンのお友達のプリゴジンが組織した傭兵会社組織である。シリアで彼らはすごいビデオを撮った。アサド軍から脱走した一人の男をハンマーで処刑し、銃剣で斬首し、円匙を使ってその両手を切断し、死体を燃やした。確かめたい人は、『ノヴァヤ・ガゼッタ』を視よ。

 興味深いのは、ロシアでは志願兵は正式に「コントラクター」と呼ばれる。「契約軍人」なのだ。そこには国防の正義も義務もへったくれもない。露骨に「傭兵」。ワグネルの以前に、国防軍が傭兵なのである。

 今、ウクライナでは、貧困な地区からやってきた部隊の死傷率が、露骨に高い。すなわち、ダゲスタン州(コーカサスの北部)とブリヤート州(シベリアの南部)の部隊だ。貧乏人から先に戦死させられているわけだ。モスクワやサンクトペテルスブルグ付近からやってきた部隊は、人口比ではロシアの12%を占めるはずなのに、ほとんど戦死者を出していない。

 ※大都市近くの連隊から戦死傷者が多くでると、銃後の都市暴動が起きる。これは日露戦争で日本政府が経験したこと。

 少数民族が、憎まれ役を押し付けられている。
 ブリヤート族はロシア人口の0.3%を占めるだけだが、今次戦役では露軍戦死者の2.8%がブリヤート人である。

 田舎部隊は「タマ避け」に前に出され、都市部隊は総予備として後方で眺めているのである。

 ※ロシア人には白人中心主義が牢固としてあり、その視点から見るとウクライナ人は純粋白人ではないため、差別の対象なのだという。ガリーフ氏は専門がロシアの少数民族問題で、このテーマになると異常に詳しい。そして本人の顔写真を公表してないことが、わたし的には、ちょっと気になる。

 次。
 SOFREP の2022-5-3記事「Chechen ‘Kadyrovtsy’ Unit in Bucha Killed Wounded Russian Soldiers along with Civilians」。
  チェチェンからブチャに回されたカディロフ部隊の悪行の数々。
 なんと野戦病院にロシア軍負傷兵を集めて来たはいいが、治療が難しそうな重傷者は、カディロフ部隊がその場で楽にしてやったという。究極のトリアージ……!

 ※その負傷兵は少数民族部隊なのだから、辺境民族が辺境民族を虐殺するという、モスクワ白人には都合のよい構図になっているわけだ。この世の地獄かよ。

 住民の子供まで拷問して手足を切断して殺した証拠が次々に出てきている。〔その他の悪行は、書くたけで疲れるので省略。〕

2000年代前半に露軍はチェチェンで、「zachistki」という戦法を完成したのだという。これは市街地の住宅を一軒一軒しらみつぶしにして抵抗者を抹殺して行く技術体系なのだという。