露兵がもっているSIMカードの位置情報をマッピングすることで、露軍の集結重心と次の動きが読めてしまう。

 もっかのところ、ハルキフ南東に最大の集中点があるとわかる。

 次。
 Alison Bath 記者による2022-5-12記事「Ukrainian strikes against Russian vessels are more than just lucky hits」。
   黒海海戦の目的は、「ブロケイド」vs.「ブロケイド破り」である。

 露海軍は初め、大型艦によって、沿岸近接封鎖することを狙っていたが、旗艦が60浬沖で対艦ミサイルにやられてしまったため、小型高速艇に沿岸近接封鎖させるしかなくなった。ところがそれもバイラクタルにやられてしまった。
 露海軍艦艇による沿岸近接封鎖がまったくできなくなれば、ウクライナは随意に沿岸港から農産物を輸出し、代わりに軍需品を搬入することもできる。そうなればもう戦争の行方はハッキリする。

 露兵による蛇島(オデッサから70浬)の占領は、ドナウ河下流域を支配するための布石だった。尤も、占領しなくとも軍艦が健在なら、沿岸封鎖はできたのだが……。
 ウクライナは今のところ、蛇島を奪回しようとしておらず、たんに、蛇島への海上補給を遮断しようとしている。

 ウクライナの軍艦が港から出てこないのは、黒海の露軍の潜水艦を警戒しているためと思われる。だから Berdyansk 港でむざむざと大量に破壊された。

 ※雑報によるとスウェーデンは単装40ミリのボフォース高射機関砲まで宇軍にプレゼントしている。牽引式で、旋回俯仰は手動だと思われる。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-5-12記事。
   露軍が2-24に侵攻開始したときは、上級司令部からの略奪許可は出ていなかった。
 しかしウクライナ人はロシア軍を歓迎しないということが判明したので、3月前半に、部隊司令官が、略奪許可を出した。

 これは最初は糧食の不足に直面してとられた措置だったが、食料品の略奪は、かならず酒類の略奪をともなうので、軍隊の規律はその瞬間からまったく崩壊へ向う。※これが昭和12年から15年の支那戦線で起きたこと。特に中年応召兵(赤紙で召集された予備役兵)は軍隊も世間も知っているので、無能上官のいうことなど聞く耳もたない。

 いらい、露兵は民家のあらゆるモノを略奪して、凱旋・帰郷に備えることに熱中している。
 ある兵士は500kgの略奪品の山とともに帰郷することに成功している。ベラルーシ経由。

 博物館の収蔵品も略奪されたが、これは国際機関が、違法盗品として世界の買い手に警告を出すので、表のオークションではぜったいに売ることはできない。ロシアの富豪か、中共のバイヤーでも探すしかないだろう。もちろん、違法品だから、買い手から値切られてしまう。

 次。
 Jeanne Whalen 記者による2022-5-12記事「Sanctions forcing Russia to use appliance parts in military gear, US says」。
   レイモンド商務長官いわく。米国による経済制裁、特にコンピュータチップの対露禁輸が、絶大な効果を発揮すると。皿洗い機のような日用家電品から、大型軍需品まで、もうすぐロシア国内では製造ができなくなる。

 ロシアとベラルーシはいまや技術禁輸対象国になっており、この米国の政策に数十ヵ国が同調している。

 もっか発動中の対露経済制裁の眼目は、デュアルユースのチップの輸出にも投網をかけたこと。露軍装備の多くが、西側の家電部品レベルのチップを大量に使っている。それを入手できなくしてやったので、ロシア国内での戦車の生産は既に止まった。

 ※わかっていない人が多いようなので解説すると、本番パレードで1台故障した穴埋めもできないくらい、「T-14」は「量産以前」の段階にあるのである。モスクワ以外の大都市のパレードにもT-14は出てない。あのパレードで動かしたのがすべてに近い。したがってT-14が戦場に出てくることはないです。

 次。
 Howard Altman 記者による2022-5-11記事「Commander In Ukraine Wants Quiet Electric Bikes For His Sniper Teams」。
   ウクライナ戦線での狙撃手の運用について、義勇ジョージア連隊の指揮官が語る。
 同一射点から5発もしくは10発ほど射ったら、場所を変えないといけない。そこに露軍の野砲弾が降ってくるから。
 この移動のために欲しいのが、音のしない、軽便な「電動バイク」だ。

 ちょうど、ウクライナ国内のメーカー製の、良いモノがあるのだ。ELEEK社製の「アトム・ミリタリー」という商品。
 テルノポリ市の工場で作っている。最高時速は90km。5時間充電すると、150km航続してくれる。載せられる重さは(乗員を含めて)150kgである。もちろんオフロードに耐える。

 非常に静かで、敵兵がすぐ近くに所在していようが、この自動二輪車のモーター音は聞こえない。

 ゴムボートに乗せることができるのも、電動バイクの長所である。

 が、なによりもこの装備が優れているのは、敵のドローンから見つかりにくいという点。赤外線輻射も少ないので。

 ウクライナ軍は、すでに東部戦線でこのバイクを活用している。露軍はこちらの無線通信にジャミングをかけることもあるので、伝令バイクは絶対に必要である。伝令のためにジープを走らせると、サーマルセンサーですぐに敵のドローンにみつかるが、電動バイクならば、みつからないのだ。

 ※この電動バイクでリヤカーを曳かせれば、そこに「Stugna-P」対戦車ミサイルも搭載できるだろう。四駆ATVはいかに小型といってもエンジンから発熱するので、ドローンのサーマルセンサーには見つかってしまう。じっさい、砲撃を受けて丸焦げになっているATVの写真がSNSにUpされている。

 DARPAも2014年から静粛な電動バイクを偵察に使えないか研究しているが、航続距離にこだわると、やはり内燃機関となってしまうようだ。
 ※ここでどうしても知りたいのは、FRPフェアリングで覆った50cc.エンジンでも上空からサーマルセンサーで見つかってしまうのかということ。すぐに陸自は実験すべし。……といってもやるわけないので、民間で実験するべし。カブタイプと、トライヤル車タイプで。

 しかし2016より以降、バッテリーなど電動バイク関連のコンポーネンツの性能の洗練が著しい。それで、各国の陸軍が、電動バイクの採用を真剣に検討するようになってきた。

 ELEEKアトムミリタリーの単価は、4200米ドルだという。
 チト高すぎて手が出ないので、ジョージア連隊では、中共製の安価な電動バイクを使っているのである。

 ELEEK社は、電動バイクを10年間も製造し続けてきた。こんどの戦争が始まると、在庫の電動バイクをすべて、ウクライナ軍へ寄贈したという。
 そして現在、ユーザーの将兵からの改善要望を聴取して、本格的なミリタリー仕様の完成を急いでいる。

 次。
 Zachariah Hughes 記者による記事「Investigation ongoing after bear kills Army soldier, injures another on Alaska base」。
   アラスカの熊アタック事件の続報。
 死んだ1人の他に、もう1名の兵隊も、負傷させられていた(命に別状なし)。どうやら相手は、2匹の子連れの母熊だったようだ。

 訓練は3人グループでおこなわれていた。そのうちの2人が、熊の冬眠穴に気付かずに接近してしまったらしい。

 事件現場だが、イーグル川から遠くないところだという。広大な錯雑地で、遊びで入林する者はまずいない。

 事件当時、3人の兵隊が、熊対策の道具を持っていたかどうか、まだ情報が出されていない。
 しかしおそらくこれは「実弾演習」ではないので、小火器は携帯していても、それに弾薬が付随していなかったであろう。
 3人は、「オリエンテーリング」の訓練中であったと思われる。地図とコンパスだけを頼りに、未知の原野を進む訓練だ。