最新の ★《続・読書余論》は 大久保潤・篠原章 著『沖縄の不都合な真実』2015年刊・ほか です。

 復帰五十年記念には、この名著をとりあげるとしましょう。文字通り不都合すぎて、公刊当時の書評者たちはさぞ困らされたであろうと思われます。今でも破壊力あり。

 《note》 https://note.com/187326mg/  を ごらんください。

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 ELENA BECATOROS and JON GAMBRELL 記者による2022-5-11記事「Ukraine shuts off Russian pipeline amid talk of annexation」。
    ウクライナ東部にある、天然ガスパイプラインの加圧ステーションにて、ウクライナの技師たちが、ガスの流れを止める作業をした。その土地は、露系の分離派が支配していたところである。

 止めた理由として、この分離派武装集団がステーションの仕事を妨害することと、配管からガスを勝手に盗んでいることを挙げている。

 このステーションを通過するガス量は、平時であれば、ウクライナ経由で西欧まで通ずる全パイプラインの三分の一である。ロシアはただちに、他の三分の二のパイプラインでガスを通すように切り替えた。だから西欧側では影響は起きていない。

 ※どうもハッキリとしないのだが、開戦前の分離境界よりもさらに東へ押し返しつつあるということなのか?

 水曜日、ウクライナ軍のSAMは、オデッサに向かって飛んできた露軍の巡航ミサイルを1基、撃墜した。

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 Jonathan Landay 記者による2022-5-11記事「Ukraine diverts some Russian gas flows, claims battlefield gains」。
   天然ガスに圧力をかけてパイプライン内の流れを維持するポンプ施設をBCS(ブースティング・コンプレッサー・ステーション)という。
 水曜日にウクライナがガス圧をゼロにしたのは、Poltava 地区の Kovalivka 村にあるBCSだという。

 これはウクライナ軍が露軍を地上で押し戻していることと関係があり、戦勢が逆転した兆候だという。

 ※雑報によると、蛇島沖でたてつづけにBT2から爆撃を受けた2隻の高速艇は、BT2を視認してジグザグに回避運動中であったことが、無線交信記録の翻訳で分かった。露兵たちはBT2のことを「バイラクタル」と呼んでいることもわかった。どちらも、1発喰らったところで、自航不能となったこともわかった。

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 Theresa Hitchens 記者による2022-5-10記事「In a first, NRO and British MoD to make sat launch from UK soil」。
   歴史的事業になるだろう。英国はこれまで、英本土から宇宙ロケットを打ち上げたことがなかった。
 このたび、米NROと英国防省が共同で、キューブサットを英本土上から軌道に投入する。「ヴァージン・オービット」社の、空中発射方式によって。

 ロケットの発射母機は、ボーイング747型を改造した「コズミック・ガール」。軌道投入するキューブサットは2個で、どちらも英国防省の実験衛星。このミッションを「プロメテウス2」と称する。

 衛星の寸法は、「靴箱」ぐらいである。

 米NROはこれまで、ニュージーランドの射場から宇宙ロケットを打ち上げたことがある。これからは英国領空も使えると期待する。

 2機のキューブサットは、50km~100km間隔で並走する。高度は550kmのLEOである。
 衛星は、エアバス社が設計し、英国のベンチャー企業が組み立てた。

 1機の衛星は180度広角レンズで地球を見張る。もう1機は、その僚機の周辺を警戒する。

 ※もし英本土から宇宙ロケットを打ち上げることができていたなら、映画の『007は二度死ぬ』が日本を舞台にすることもなかったと思われる。英国はユーラシア大陸の西端、それもかなりの高緯度に位置するために、南東に向けて宇宙ロケットを発射することが、政治的、技術的に、至難だったのである。

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 Tyler Durden 記者による2022-5-11記事「Iran’s New Home-Grown Satellite Snaps Image Of US Fifth Fleet’s Headquarters」。
   イランが3月に軌道に投入した国産偵察衛星が高度500kmから写したカラー画像が、初公開された。米海軍の第五艦隊の司令部が俯瞰撮影されている。

 「ヌール2」という衛星である。仕切っているのはIRGC(イラン革命防衛隊)。空軍ではない。

 ちなみに「ヌール1」号は2年前に打ち上げられている。

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 雑報。
  戦車を一発で撃破できる「スイッチブレード600」は、まだウクライナには渡っていない。

   火曜日、アラスカ州のアンカレジの山奥で少人数で訓練していた陸軍部隊が、熊(ブラウンベアかブラックベアのどちらか)に襲われ、兵士1名が死亡した。

 ※武器の問題ではなく、シチュエーションアウェアネスの問題か。ちなみにソ連の宇宙飛行士の地球帰還カプセルの中には、スラッグ弾を発射できる特製の単発猟銃が備品として付属していた。シベリアの糞田舎で地上スタッフがかけつける前に、熊等に襲われる可能性があったのである。たしかライフル弾も射てるバレルも併設。

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 Minnie Chan 記者による2022-5-11記事「Chinese media unveils details of US-inspired military logistics system」。
   中共は米軍に倣って、5方面の地域コマンドごとに補給処のネットワークを整備した。2016以降。そのセンターは武漢にある。
 統合作戦を念頭し、システムアナリシスを導入したという。

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 Niamh Cavanagh 記者による2022-5-10記事「Why Russia’s air force failed to dominate Ukraine」。
   ロシアは、数日にしてウクライナ全土を手に入れるつもりでいたので、開戦劈頭から初盤にかけて、ウクライナのインフラを意図的に空爆しないようにした。これが、けっきょく、祟ったかもしれない。

 ロシア空軍は、ロシア陸軍の奴隷であることは間違いない。
 つまり、空軍だけでうまい作戦(航空撃滅戦など)を組み立てたりしてはいけない。
 CASに徹することを義務付けられている。

 しかしCASの前提となる、圧倒的な地上部隊によるスチームローラー攻撃が同時に伴わなければ、どうなるのか? それを支援するつもりだったロシア空軍機も、MANPADから易々と返り討ちにされることになるのかもしれない。

 やはり、最初は徹底して、対航空基地戦をするべきだった。ウクライナ空軍の基地を連打連撃することにより、制空権を握るべきだった。ロシア空軍としてはそうしたかっただろう。しかし、陸軍が、それをさせてくれなかった。

 いまもって、「制空」は不徹底なまま放置させられている。ロシア空軍としては不満でしかたないだろう。

 かたわら、地上軍が向かう先の都市爆撃に、使用し得るありったけの空軍機が、投じられている。これ以上の軍事資源の無駄遣いがあろうか。

 陸軍の司令官としたら、前進や都市制圧に苦しんでいるのだから、使える空軍機はぜんぶ、CASに使いたい。とうぜんそう思う。前進できなければ懲罰が待っている。
 そしてロシア軍の構造上、空軍側は、その陸軍側からのCAS要請を、断れないようになっているのだろう。

 断れないが、消極的抵抗はできるだろう。それが、稼働率・出撃回転率の低調を説明するかもしれない。制空戦のために機体とパイロットを温存している可能性は、ありそうだ。陸軍側へは「もう限度ギリギリまでCASしていますから」と申し開きをしつつ……。


★《続・読書余論》大久保潤・篠原章 著『沖縄の不都合な真実』2015年刊・ほか

(管理人Uより)

 最近たびたび話題に上がるスゴい人Kamil Galeevさん。こんな顔だよ、というメールをお問合せフォームより頂きました。こんな顔なんだ。
 S様、メッセージありがとうございました。