トルコは表向きはプーチンを怒らせないよう演技しているが、本音はロシアの破滅のためにはなんでもする。

 Dan Sabbagh 記者による2022-5-15記事「‘War-enabling, not war-winning’: how are drones affecting the Ukraine war?」。
   航空アナリストのアメリア・スミスはSNS上のビデオを見ていて気付いた。ウクライナ軍が飛ばしているBT2に「T253」とペイントされた機体があり、これは、以前にはなかったものである。おそらくは、トルコからウクライナに、最新バッチの製品が届けられつつあるようだと。

 米国の海軍系シンクタンクのサム・ベンデットは言う。露軍は「オルラン10」をたったの40機未満しか、事前に準備できなかった。戦争計画は1年も前から定まっていたのに。あんな広い戦線なのに、それっぽっちで十分なわけはない。

 撃墜した「オルラン10」を分解調査して、ウクライナ軍は結論した。こいつは市販の民生パーツだけを組み合わせて手作り工作してあり、部品調達コストは1機分が3000ドルだろう、と。戦争以前には、1機が8万ドルから12万ドルはするだろうと言われていたのだが、まるで違った。

 しかしトルコの「BT2」も、オフザシェルフ部品のフル活用であることは同様なのである。だからこそ、あんなに安いのだ。

 ある専門家氏いわく。ウクライナ軍は、ぜんぶで6000機ほどの、偵察用のドローンを、戦場で使用中であろう、と。

 ※トルコはいまのところ、口ではスウェーデンとフィンランドのNATO加盟に反対と言っておく。土壇場で賛成すればいいだけだから。

 ※ネアンデルタール人はどうして亡びたかを考えると「人類自己家畜化(self domestication)説」がとても有効だと思わざるを得ない。「新人」は自己家畜化度が進んでいた。ネアンデルタール人はチンパンジーよりはそれが進んでいたが、新人よりはそれが遅れていた。この差が、ネアンデルタール人を、新人と比べてずっと粗暴で、つきあいにくく、新発明のできない集団におしとどめていた。すなわち、いまのロシア人集団である。西側世界が「新人」段階を前進してきたあいだ、ロシア人集団は地政学的な運命から「自己家畜化」に遅れをとり、ネアンデルタール人に近くなってしまったのだ。ネアンデルタール人は個体で比較すると新人よりも身体は巨大で筋力も上回っていたが、とにかく集団で新事業を興すことは苦手だった。だから、頭脳派の新人がネアンデルタール人を「有害な隣人」として、その新兵器と集団戦術を駆使して放逐したように、西側世界はロシア人集団を駆逐して行く。大観するとそういう人類史の流れが見えるであろう。

 ※古代エジプト人は、砂漠によって周辺の外敵から守られ、ナイル氾濫のおかげで働かずして食っていくことができたので、おそらく5000年前に「自己家畜化」の最先端に達した。あのピラミッドも、奴隷を強制労働させて建設したのではあるまい。「自己家畜化」した住民たちが、新案事業として、人間らしい知恵の総力を結集したのであろう。しかしその後、気候が変わり、ヒッタイトなど外敵の侵入を絶え間なく受けるようになると、軍事力の高度化をないがしろにしてきた油断の文化伝統が重過ぎて、彼らの世界は終焉するに至ったのだろう。

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 The Maritime Executive の2022-5-13記事「Royal Navy Tests Out Underway Refueling With a US-Flag Merchant Tanker」。
   米軍の「シーリフト・コマンド」が借り上げているタンカー『Maersk Peary』は、商船構造であって軍艦ではないが、これと並走しながら軍艦(補給艦)が洋上で燃料を受け取るという米英合同実験が成功した。

 英海軍はフォークランド紛争のときも、商船のタンカーを艦隊といっしょに派遣した実績がある。
 だがそれいらい今日まで、商船の軽油タンカーからじかに軍艦が給油してもらわねばならぬ事態は起きていない。そこで、腕を鈍らせないために、こうした訓練も必要なのだ。