日本の原発技術者たちには「政治的課題」を解決しようという意欲・視点がない。だから自民党から見放される。

 日本の原子力エンジニアは何をすべきなのか? 「政治的課題の解決」である!

 どうして、票田に関連施設を抱えていない大多数の自民党議員たちが、原子力を見放しているのか、原発村の技術者たちがわかってないのは、困ったことだ。

 ロシア制裁と戦乱にともなう地球的なエネルギー危機は、おそらく2年~5年スパンの嵐となって、わが国を襲うであろう。

 しかるに日本の原子力村ときたら、あいかわらず「20年~30年スパン」の事業案しか、呈示し得ないのである。おまけにそれは社会の危機を解決してくれるものではなくて、ただの「一里塚」。

 そんなものしか呈示し得ないことに開き直り、国が30年スパンで予算をつけたり汗を流すのは当然だとまで錯覚している集団なのである。

 彼らには、日本の「政治的課題」の解決に、貢献する意思がないようだ。いままでとは全然別な角度の提案が必要なのだ。それが無い。
 だから自民党の方から、原発を見放すようになる。しかたのない流れではないか。

 プライオリティーは「廃棄物」の未来活用だ。これは「処分」ではダメだ。それは政治家に大荷物を与えるだけ。庶民の気持ちも明るくならない。政治家から見て、何の魅力もない。そんなものが「正答」だと思い込んでいるところに彼らの脳内の限界がある。

 「活用」でなかったら目はないのだ。「活用」は、一挙に社会問題を解決するレベルである必要はない。庶民の気持ちを明るくするものなら良いのだ。それなら政治家にとってマイナスの荷物とはならない。それであれば、票田的に無縁な政治家も、協賛する気になる。

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 2022-5-13記事「Tidal blade facility to be at leading edge of green energy testing」。
   荒海の潮流の力を受けて駆動する75トンのタービン発電機。それも、寿命20年間を目指す。その応力耐性試験が英国で始まる。

 これは英国政府の肝煎りでスコットランドの海岸が選定されている。エジンバラ大学が全面関与。

 潮流を受けるブレードの長さは50フィートもある。

 ※潮流発電は、外海に設置すれば、海象の猛威に負けて、見込みより早く壊れる蓋然性は高い。しかし、この案件は庶民の心を暗くしない。失敗したとしても、政治家たちにとって大荷物になるわけではない。したがってどの政治家も、これに賛成することで得点が稼げる。

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 ストラテジーペイジの2022-5-15記事。
   露軍の野砲兵は、6門で1個中隊。それが3個中隊で、1個砲兵大隊を成している。
 しかし宇軍の砲兵はそんな部隊編制を守る必要がない。

 1門だけで行動することができ、それがスタンダードになるかもしれない。まさに、あたらしいトレンドを創っている。

 2014に目を醒まされたウクライナ軍の砲兵部隊は、「対砲兵」の腕を磨いた。ロシアはかならず次の侵略をしてくると分かっていたからだ。
 それが今次戦争では著効を発揮している。ロシア軍砲兵が、「対砲兵戦」を嫌い、都市砲撃に熱中している理由の一つでもあるだろう。

 宇軍の砲兵は、たった1門で移動し、陣地進入し、2発ばかり射撃したら、すばやく陣地を変換してしまう。「放列」を布置しないわけだ。そんな流儀に対して、露軍は「対砲兵戦」を組み立てようがないだろう。たった1門では「段列」も空から見極められない。

 じつはウクライナも国産の155mm榴弾砲を生産している。「2S22」という装軌のSPで、今年から部隊配備が始まったという新品だ。
 その製造拠点であったハルキウ・トラクター工場は、開戦初盤から露軍の砲撃の目標にされて痛めつけられた。しかしウクライナ側は、生き残った機械をルーマニアに移転して、そこで3月に生産を再開した模様。戦時の工場疎開をやってのけたのだ。

 ※これが本当ならルーマニアにも工場投資の価値がある。デュアル能力工場を扶植することで、NATOの弱い翼を強化して、ロシアの滅亡を早めてやることができる。

 西側で最軽量の牽引十五榴であるM777は、イギリスで設計された。わずか4トンである。※FH70は10トン弱だった。隔世の観あり。

 しかも照準システムがコンピュータ化されていて、初弾を正確に発射するまでの時間が、ことのほか短い。だから米海兵隊も愛用中だ。

 ウクライナ軍が開戦後に援助された多連装ロケットは、いまのところ、すべて122ミリのソ連規格で、ポーランドおよびチェコ共和国からのプレゼントである。ゼレンスキーは米軍規格のMLRSかHIMARSをさらに要望しているようだ。

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 Jedrzej Graf 記者による2022-5-13記事「Hyundai Rotem: we propose a digital Wilk MBT and a Polish Korean Wheeled Armored Vehicle」。
  ヒュンダイロテム社がポーランド軍に韓国戦車を売り込み中。

 K2戦車の120mm砲は韓国内製。サスは油気圧。
 韓国でも採用されたばかりなので、これから30年、メンテナンス体制が維持されることは約束できる。

 K2は、ポーランド、ノルウェー、エジプトに提案されている。

 ノルウェー版には、イスラエルの防護システムと、コングスベルグのリモコン銃塔が付く。
 無線機はノルウェー製を積む。

 エジプトは、1000両のM1戦車を擁しているが、その他にT-55/62やM60も合計1000両くらい、抱えている。それを更新したがっている。

 韓国はポーランドに対し、製砲技術、油気圧サス、自動装填装置の技術移転をしてもいいという提案付き。
 その移転は15年以内にできるだろうという。

 以上、エンジンとトランスミッションはどうするつもりなのかについて、一言の説明も無し。