クオッド仔豚ぁ

 Nicholas Slayton 記者による2022-5-15記事「Ukraine is now using Russia’s own tanks against them」。
   敵から取った駒をこちらの駒にして使えるルールがあるボードゲームとして「Uno」がある。それと同じ現象がウクライナでは起きている。

 NYTの記者がハルキウからリポートしてくれた。トラクター工場にて、鹵獲した露軍の戦車を工員たちが修理し、それを次々にウクライナ軍の装備にしているのだ。

 ついでに、遺棄された敵車両内に作戦文書などの情報が遺留していないかも捜索する。
 また、破損が酷くて再生できない車両は、部品取りに回す。

 工程の最後に、カモフラネットを被せ、テストドライブしてから、味方部隊へ引き渡す。

 良いコンディションで鹵獲した敵の戦車は74両にのぼるとウクライナ側では言っている。それに対して、戦場で破壊されたウクライナ軍戦車も70両以上はあるはずという。

 ※雑報によると、アルメニアに停戦監視のために配備されていたと思われる露軍のAFVが、塗装を上塗りされて、あらためてウクライナ戦線に持ち出されていることが、確認されている。APCも底をついているのだ。

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 2022-5-10記事「Teledyne FLIR Defense Introduces New Laser Target Designator Payload for Small (Group 1) Unmanned Aerial Systems」。
   米国の「テレダインFLIRディフェンス」社は、マルチコプターに吊るすことができる重さの、本格的なレーザーデジグネーターを開発完了した。商品名「ストームキャスターDX」。NATO規格に合わせてあり、これで将来は西側軍の戦術ミサイル等を誘導できる。

 このメーカーは「テレダイン・テクノロジーズ」社の子会社。
 とりあえず「FLIR R80D スカイレイダー」という既存のマルチコプターに取り付けてみた段階だ。

 デジグネーターの重さは1250グラム。

 ※アゾフ製鉄所など南部都市を囲んでいる露軍を排除できないのは、そちら方面ではウクライナ軍の後方連絡線が細くて、航続距離の短いマルチコプター型爆装UAVの大量投入に至っていないからだろう。固定翼型自爆UAVの「スイッチブレード」の投入が待たれていると思うが、この記事のようなシステムでも、いいのだろう。ただし、今次戦争には、こいつは間に合いそうにない。

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 2022-3-24記事「UAS Unveiled with Integrated EOD Ground Robot」。
   マルチコプターによって、地上走行型のロボット車を吊るし、それを敵地に降ろしてやる。そのようなシステムが完成した。

 母機のマルチコプターは「ヘヴン・ドローンズ」社の「H100 ロボ」。吊るされる無人車は、「ロボティーム」社の「マイクロ・タクティカル・グラウンド・ロボット」。

 ※塹壕や地下陣地に籠もっている頑強な敵歩兵を排除するためには「蛇型ロボット」が必要だと私は思っているのだが、小さいロボットはすぐに電池がなくなるので、長距離を移動させることができない。敵前までの移動を、別手段でさせる必要があるのだ。こうした「親子式」の運用が、その解決法になるだろう。

 ※非力なクォッドコプターで、重い爆弾を運搬させる方法はあるか? ある。ペイロードと同じ浮力のアドバルーンをつけて放てばよいのだ。爆弾を投下する瞬間に、バルーンも切り離す。あとは、本体のクォッドコプターだけが、飛んで戻ってくる。