謹告。このたびユーチューブに作品をUpしたので、5分間ほどお時間がある方は、お楽しみください。

 タイトルは《「働かなくとも食べられる社会」を求めて 第一回》です。

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 ストラテジーペイジの2022-5-16記事。
   米国は200両の「M113」APC(おそらくA3型で15トン前後)をウクライナに供与したが、これは米陸軍と予備軍においては現用品なので、まだ数百両を送る余裕がある。

 装軌式のこの装甲車、6000km走行するごとに、履帯を新品と交換しなければならない。2条1セットで、1万ドル以上かかる。最高速力も、道路上であろうと、65km/時までしか出せない。

 ロシア軍の「BMP-3」は19トンである。100ミリ低圧砲と30ミリ機関砲付き。この100ミリの砲身からレーザー誘導弾も発射できる。※だからびっくり箱になる。

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 indomilitary の2022-5-16記事「BMPT Terminator ―― Become an MBT Protector, Born to Face War in the Cities」。
   ロシアはウクライナ戦線に、約9両の「BMPT」を持ち込んでいるという未確認情報がある。

 T-72のシャシに、市街戦用の火器として、30ミリ連装機関砲、同軸7.62ミリ機関銃、30ミリ擲弾発射機、4基の対戦車ミサイルを、七つ道具のように乗せたもの。

 配備が開始されたのは2005年。
 露軍の目論見では、市街戦に投入するMBT×1両につき、このBMPT×2両を「護衛」に付ければいいんじゃないかというものだった。

 郊外ではこの比率は逆転させ、MBT×2とBMPT×1がチームになる。

 ロシア以外では、カザフスタン軍とアルジェリア軍が、BMPTのユーザー。

 BMPTは5人乗り。V-9エンジンで1000馬力。全重48トン。

 ※T-72の既存車体を安く再利用するという着想はよかったが、武装を欲張りすぎて48トンにもなっていたのか。それで1000馬力では、ウクライナの地質では使い物にならんわけだ。割り切りが悪すぎる。たんにT-72の主砲を重機関銃に替えて、車内に補助乗員を随意に2名追加できるくらいの、余裕があるコンセプトにしておけば、成功したかもしれない。すくなくともびっくり箱にはならずに済む。

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 Kamil Galeev 記者による2022-5-16記事。
   4月20日のこと、ロシアの国会議員、セルゲイ・レオノフは、ウクライナ人の捕虜に強制献血させろ、と発言した。
 この議員の所属する政党は、この前死んだジリノフスキーの党だと知れば、納得の発言だろう。
 ジリノフスキーが欠け、政党の存在感が無くなりつつあるので、必死なのだ。

 名物男だったジリノフスキーの葬儀には、プーチン、メドヴェジェフ、キリレンコ、ショイグ、ナリシキンらが参席した。
 棺の脇には「死骸警固兵」が佇立する。これは国家的葬儀での栄誉礼のひとつだ。
 死人にさいごの挨拶をしに近寄る者が死人を冒涜しないように、佇立しているのである。

 ところがプーチンが近寄ったときだけは、この棺衛兵は、その場所からどかされた。
 さすがである。
 プーチンは、誰一人信用しない。あらゆる兵隊がじぶんに害を為す可能性があると恐れているのである。

 ところで世間はジリノフスキーの生前の演技に騙されていただろう。彼は意図的にピエロを演じていた。
 ジリノフスキーは文系のインテリである。アジア・アフリカ諸国研究所というハイランクの教育機関でトルコ語を専攻した学究なのだ。

 ロシアでは、若い学生が、政府の安全保障系の専門エリートとして立身を夢みるならば、東洋文学や東洋史を専攻するのが、近道なのである。あるいは南欧語の言語学の専攻……でも可い。通訳級の外語専門家に、まずは、なることだ。

 ポルトガルはアンゴラとモザンビークに植民地をもっていた。だから、アフリカに干与したいロシアは、ポルトガル語の専門家も必要とするわけである。イゴール・セーチンを覚えているか? 2008~2012の副首相だが、彼はポルトガル語を専攻していて、プーチンから抜擢された。

 プーチンを権力者に押し上げた功労者のひとり、セルゲイ・ドレンコも、やはり、スペイン語とポルトガル語の言語学専攻学生だ。

 もともと中東語だとかスペイン語(植民地宗主国語)だとかの学問と、ロシアのエリート社会が、重なっていたわけじゃない。両者はまったくの無関係であった。

 ところが、冷戦中の国家の要請が、非エリート階層出身の外語学生たちに、中央エリート入りの道を与えてくれたのである。その伝統は、今もある。

 1990年代以降、東洋関係語、アフリカ関係語の語学生は、エリートの卵である。彼らが体制に反対する理由がどこにあろう? だからロシア人の身体検査をするときは、まず学生時代の専攻を洗え。

 では、1990年代以降、不満を抱いているインテリは誰か? ロシア支配域内の非ロシア民族出身者で、じぶんの出身民族の文化や歴史を研究した学生である。かれらは絶対に中央では出世できない。それで、地元で権力者になりあがっていることが多い。

 ロシア圏域の政治が、「人民」によって変わるなどとは、絶対に思うなよ。
 この圏域の政治は、エリートが握っている。エリートだけが変えてしまう。

 エリートは、人民によっては、けっして、おびやかされない。エリートは、「対抗エリート」によってのみ、地位をとってかわられる。90年代の特殊語学生は、モスクワにおいては、「対抗エリート」のホープ層だったのだ。

 ロシアがこれからどうなるか知りたいか? だったら、次の「対抗エリート」に浮上しそうな層を調べなさい。「人民」を研究しても無駄である。

 地方のボスや、地方の利権集団を調べることも、有意義である。西側に出て目立った活動をしているプーチンのとりまき連中は、ざんねんながら、「次の対抗エリート」ではない。そんなのに注目するのは、無駄骨だ。プーチンが失脚すれば、彼らひとりひとりは、只の落ち武者。

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 台湾メディアによると、プレデターもどきの国産無人機「騰雲二型」が、佳山基地をとびたって台湾東沖で3時間飛行し、テストに成功した。
 ※この「二型」というのは「2号機」の意味らしい。「一型」は2022-2-18に台湾国内の湖に墜落して全損しているのである。

 なお台湾は米国から「MQ-9B」(非武装型のスカイガーディアン)も、買うことができている。それと併用して行くつもり。

 ※米国企業が「Wolverine」という、クォッドコプターながらマジックハンドがついていて、物(小型爆発物や、偵察ロボット)を投下したり、ぎゃくに地面から物(同じ重量の墜落UUVでもOKらしい)を掴み上げたりできる軍用級のUUVを完成している。これを台湾語に訳すと「金剛狼」になるらしい。なぜこのドローンが、対宇援助用に量産させられていないのかは、謎。やはり部品のサプライチェーンが詰まっているのか。


YouTube チャンネル云那さん

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