トルコのバイカル社はすでに、日本の海自に対して、艦上機型すなわち翼端を畳める「TB3」を提案したという話。

 日経がソースだともいうのだが確認できない。
 戦後、プロペラ機を艦上機にするのは歓迎されていない。甲板員が危険すぎるので。
 TB2のエンジンのレイアウトは、地上整備員の危険が最小になるように巧妙に考えられているのだが、それでも危ない。フネの上はいかにも狭いので。

 設計図とサンプルだけ買って、ホンダジェットのエンジンに換装するというのはどうだろう? ターボファンにできるなら、艦載案は、アリだろう。それがダメなら、「陸攻」にするしかない。九州の陸上基地から発進させるのだ。

 陸幕がぼやぼやして何もしようとしないのであるから、しかたなく、海自の陸攻にするのだ。

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 Michele A. Flournoy 記者による2022-5-23記事「How to Prepare for the Next Ukraine」。
   「アマチュアたちは戦略を語る。プロたちなら兵站について考究する(Amateurs talk strategy. Professionals study logistics)」と言ったのは、WWII後に統合参謀本部議長になったオマー・ブラドリーである。

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 Gabrielius Landsbergis 記者による2022-5-22記事「We must help Ukraine avert a global food crisis before it’s too late」。
    ウクライナの鉄道の軌条間隔が旧帝政ロシア時代当時の規格のままで、西隣のポーランドやルーマニアとは異なっているために、鉄道で西側市場へ穀物を輸出しようとすれば、船荷に比べて運送コストがやたら高くなってしまうという構造がある。国境で、貨車のゲージをいちいち変えるか、さもなくばバラ荷を積み換えねばならぬため。

 さらにまずいことに、ポーランドとリトアニアも、鉄道ゲージが異なっている。だから、ウクライナの穀物を、ポーランド経由でリトアニアの港まで鉄道で運び、そこからばら積みの穀物運搬船で世界市場に売るというオプションもまた、非経済的になってしまうのだ。三回も貨物の積み替えを強いられては、価格でもスピードでも競争にならない。

 ベラルーシの鉄道を経由してバルト海の港まで陸送する場合は、ゲージは一貫している。しかし、ルカシェンコなんかに世界の穀物市況を左右させる力を与えてしまってよいわけがあろうか。

 トラック輸送はさらに非現実的だ。ウクライナ国内にはディーゼルトラックも燃料も払底している。戦時なのだ。

 というわけでウクライナの穀物農家がオデーサ港を輸出起点として使い続けられるかどうかが、これからの世界の食糧事情を左右する。もし露軍がオデーサを使えなくすることに成功すれば、アフリカでは間もなくして貧民が何百万人も餓死するようになるだろう。先進国でも食費が暴騰するのは避けられない。

 したがってオデーサを攻略・妨害せんとする露軍を、世界が一致団結して撃滅することが、世界人類を死と貧困から救うのである。

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 SOFREP の2022-5-22記事「Kugelpanzer: The Mystery German Armored Vehicle That Still Baffles Experts」。
   クビンカに1つだけ現物があった、クーゲルパンツァー。 ※ころがり球体戦車。
 今はモスクワの博物館に移管されているようだ。

 何の史料があるのかしらないが、この記事によると、クルップ社がこしらえたことは確かだという。時期は、WWII中であるとも。

 25馬力。
 外鈑は厚さ5ミリ。
 全重1.8トン。
 径1.5m。
 乗員は1名もしくは2名が、鞍状の椅子にまたがったようである。

 ロシアの『ポピュラーメカニクス』はこう解説したことがあるという。単気筒のバイク用エンジン(2ストローク)で25馬力。ここから推定して速度は8km/時しか出せなかった。

 正面にスリットがあるので、おそらく7.92ミリ軽機を突き出したのだろう。

 この実物は1個しかない。そして、1945に関東軍から奪ったものではないかという説あり。

 ※満洲では四研が「北満試験」という耐寒テストをしていて、そこに試作戦車が全部あつまっていたのを、ソ連軍がごっそり押収している。だからクビンカには「特内火艇」まである(あった)わけ。

 ソ連軍が鹵獲したあと、駆動機構は除去されたのだという。

 ※この記事によって、クーゲルパンツァーに関しては今以てなにひとつわかっていないのだと承知できた。ロシア人がテキトーな推理をしたのが、ひとりあるきしているようだ。もし本当にクルップ社が製造したのなら、ドイツ国内に必ず写真が残されたはず。それが無いというのが、ものすごく怪しい。

 ※防研史料『大正15年度~昭和元年度 陸軍造兵廠歴史』に「廻転爆弾」の記述が見える。大阪砲兵工廠で試製したもの。近接戦闘用爆弾として自力転動をなし、所望の地点に於て弾体を炸裂せしめ、敵の人馬を殺傷せしむ。S2-2に陸軍秘密特許。S2-3に製作。長田野演習場(信太山演習場とも)で発射試験。動力は「噴気薬」を使うものだった。この噴気式がうまくいかなかったので、次に電動式にしようとして、モーターを作る前に試作を放棄したのが、クーゲルパンツァーなのではないか? 鹵獲時に内燃機関が入っていたのなら、それを捨てるはずがないではないか。WWI中の菱型戦車すら、まるごと保存しているのがロシア人だぞ。

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 Kamil Galeev 記者による2022-5-23記事「Why didn’t China attack Taiwan? (a hypothesis)」。
   内戦が領土拡張に結びつくことがある。明の遺臣の国姓爺は台湾に逃げて、そのさい、オランダ人を駆逐した。結果的に支那領土が広がったのである。

 競争に負けた逃亡者が、新領地を増やす。これは地球生物の歴史でふつうにあったこと。

 英本土でスチュアート朝の宗教政策にいたたまれなくなったピューリタンは新大陸へ逃れた。結果的に北米に英国の新領地(ニューイングランド)が増加した。
 さらに内戦でスチュアート派が凋落すると、スチュアート派の一部は北米のヴァジニア植民地に歓迎され、ヴァジニア邦のエスタブリッシュメント層を成すまでになっている。

 ある史家にいわせると、合衆国の北部と南部が相容れない理由は、英本土における反スチュアート派とプロ・スチューアート派というもともとの対立が、ルーツにあるからだ、と。