ロシア戦車兵は「屋上屋」を自主撤廃してしまった。被弾時に車外脱出が遅れるからだという。

 雑報。
 ポーランド軍の観測では、露軍はもう「イスカンデルM」を使い果たしてしまった。

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 Kamil Galeev 記者による2022-5-26記事。
    ウクライナの東部戦線に動員されていのは露兵ではない。DPRおよびLPRという、露系住民を徴兵した傀儡部隊である。
 そしてDPRの第105連隊と第107連隊は、露軍から下された命令を拒否した。

 107連隊は、マリウポリで3ヵ月戦った。そして指揮官は、こんどはLPRに所属して東部で転戦しろと言った。ドネツクの住民は怒った。「俺たちをコサック志願兵のように扱うんじゃねぇ」。

 105連隊の構成員は、本業は、大学生や労働者である。志願兵ではなく徴兵である。

 動員されるとき、任務は治安維持だといわれた。第三線勤務だと。ところがマリウポリまで連れて行かれた。

 徴兵手続きにはメディカルチェックがなければならない。ところが慢性病の者も委細構わず徴兵された。これは違法である。

 105連隊は、マリウポリで、4割の損害を出している。すでに出征時の6割に減っているのだ。

 モスクワの報道では、DPRとLPRの損害は「ロシア軍の損害」としてカウントされていない。これもふざけた話だと当人たちは思っている。

 「手続きの不備」「法令違反」を理由とする抗議は、官僚主義組織に対してはとても有効だ。だからDPRはその抗弁を使っている。

 ちなみに親露のチェチェン部隊は、軍閥私兵のようなものでありながら、ソ連に支配されていた間に「法手続き無視」はいけないと考えられるところまでは来た。そこは、アフガニスタンの武装集団との違いであるが、露軍ほどには厳密ではない。だからチェチェン部隊の指揮官相手だったなら、このような抗弁は意味を持たなかったであろう。

 ロシア正規軍の上官相手だと、この抗弁はまちがいなく通用するのである。

 慣習法体系の文化圏(すなわち英米)では、軍隊の中で「人間のロジック」も通用する。しかしその他の欧州軍隊内では、通用するのは制定法のロジックだけなのだ。

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 SOFREP の2022-4-16記事「The Gigantic Punt Gun, Bringing Down 100 Ducks in a Single Blast」。
   19世紀末から20世紀初めにかけて、英国人は「プント・ガン」という、巨大な単発散弾銃をこしらえた。
 およそ鴨猟というものは、1発射ったら、その池にいるすべての水鳥は飛び去ってしまい、2発目以降を射つチャンスは、あっという間になくなる。

 そこで、最初の1発で50羽くらいの水鳥を仕留めてやろうと欲張った結果、ボートの舳先からはみ出すくらいの巨大な単発猟銃が、製作されたのである。

 そもそも雁鴨科の水鳥の銃猟は、英国紳士の「スポーツ」であった。鳥肉を得て生活の足しにしようというよりも、気晴らしのレクリエーションであった。

 趣味で鉄砲をかついで歩く人々には「一網打尽」の欲求はないわけだが、1800年代、水鳥の羽毛が婦人衣料用に良い値段で取引されるようになるや、水鳥猟はマスプロ工業のサプライチェーンに組み込まれた。そうなると、仕事の効率(一網打尽)が追求されるのも必然であった。

 プント・ガンの創始者は、ウィスコンシン州のガンスミスで、ドイツ系の、アウグスト・ヘルフュルスだといわれている。

 その単発散弾銃は、全長が16m(63インチ)、銃身長は117センチ(46インチ)、口径は25・4ミリ(1インチ)あった。全重は11・8キロ(26ポンド)あったという。
 これが、プント・ガンとしては最小モデルで、他の製品はもっと凄かった。

 たとえば、「アイリッシュ・トム」と呼ばれた化け物サイズの巨大猟銃は、1発で100羽の水鳥を捕らえることができたという。しかしこういうのは例外的で、通常、プント・ガンの散弾は、密集して浮かぶ50羽前後に対して有効であった。

 「プント」というのは鳥猟用の平底ボートのこと。台尻をこのボートの構造材に委托することによって、巨大な反動(黒色火薬10オンスで、総量3ポンドの散弾を発射する)は受け止められたのである。

 以下、英文ウィキのプントガンの解説で補う。

 プントガンの口径のいちばん大きなものは2インチ=51ミリあった。そこからいちどに打ち出される散弾の総重量は450グラムにもなった。

 とにかく最初の発砲で水鳥は飛び立ってしまうから、プントを10艘も並べて、一斉射撃するような乱獲にエスカレートしたのである。

 19世紀の猟銃であるから、前装式であった。

 1860年代、水鳥資源が激減したことをうけて各国は、この巨大猟銃の禁止に動いた。

 米国では1900年の立法で、州を越えた野生鳥獣の移動が禁じられ、さらに1918年には連邦法により、市場で売るための狩猟が禁止された。

 今日、プントガンを所持していても違法ではない。しかし、それを使って、渡り鳥である水鳥を射つと、連邦法上の違法行為になる。

 1995年に英国で調査したところ、プントガンを使っている人が50人弱、まだいたそうであるる

 ちなみに1981年の法律により、英国で所有できるプントガンの口径の上限は44ミリだ。