Quadmovr + BoraWrap = anti drone / personal Jabo (Jagdbomber) ?

 戦争が長引いているのと、FEBAがどんどん東へ移っているので、露軍がますます市販のクォッドコプター型ドローンから手榴弾を投下できるようになってきた。まっ昼間に高度50m未満からウクライナ兵の塹壕めがけて投弾している動画がSNSに出ている。リリースの瞬間に4秒延時薬に着火する方法なので、それより高度が高いと、まずいのだろう。

 今展開している事態は、WWI の軍用航空機の黎明期と同じだ。
 初めは偵察だけ。
 ついで、偵察機から爆弾が投げ落とされるようになる。
 その次のステップは、その爆撃機を味方歩兵の頭上から駆逐する戦闘機(パーシューター)の登場だ。

 前に紹介したQuadmovrは水平時速200kmなので、クォッドコプター・キラーに使えるだろう。
 市販のドローンでは、このスピードから逃れることは不可能だ。

 ただし体当たりによる1対1交換では、コストが不利になりかねない。
 そこでBoraWrapとの結合が考えられなくてはならない。

 カタログデータによれば前に紹介した「BoraWrap150」の総重量は290グラムだそうなので、Quadmovrの弾頭部に内臓ができるはず。レーザーで照準して縦長にコードを発射するようにすれば空中のクォッドコプターを確実に絡め落とすことができるだろう。

 さらにその先がある。ボララップは「.38スペシャル」空砲を用いている。これを「ショットシェル」や「12ゲージ散弾」にして Quadmovr と結合させたらどうなる?
 対人ヤーボのできあがりじゃないか !?

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 SOFREP の2022-5-28記事「Game Changing Weapons: US Making Preparations to Send HIMARS or MLRS to Ukraine」。
   バイデン政権は、いよいよHIMARSとMLRSの両方を、ウクライナ軍に援助すべく、検討を進めているようだ。

 以前から米軍の州兵がポーランドの演習場にHIMARSを持ち込んで実射訓練しているので、ついでにウクライナ砲兵を教育訓練してやるのは、雑作も無い話。

 ※ただ従来は2つの懸念があった。ひとつは、ウクライナ軍が調子に乗って露領の都市を無差別砲撃し始めると米国の評判が悪くなってしまう。もうひとつは、こうした最新システムをロシア軍に鹵獲されてしまった場合、NATO軍のシステムの弱点が研究されたり、露軍のMLRSの「改善」にヒントを与えてしまう恐れがあった。さいわいというか、ロシアにはいまさらHIMARS用ロケット弾の現物(不発弾を含む)を入手したところで、チップ不足で内製化はとてもできまいと想像できるようになってきた。

 米連邦議会が先に追加で決めた400億ドルの対宇軍事支援予算のうち、200億ドルは武器弾薬援助にあてられ、50億ドルは黒海の通商阻害にともなう食糧危機の対策のために使われ、80億ドルは一般的経済援助に使われ、10億ドルはウクライナ難民の救済のために使われる。

 MLRS/HIMARSから発射できる多連装ロケット弾の種類は以下の通り。
 M26 は最も基本のロケット弾で、32km飛ぶ。
 M26A1/A2 は45km飛ぶ。
 M30/31は、70km飛ぶ。GPSで終末誘導される。
 HIMARSにはこれらを6発搭載できる。

 HIMARSにATACMSを搭載する場合、トラック1両に1発だけ搭載できる。その射程は300kmである。

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 Emanuel Fabian 記者による2022-5-27記事「IDF drills for multi-front war, including 1,500 rockets a day fired from Lebanon」。
   イスラエル軍は、イランが後援しているレバノン内のヒズボラがロケット弾で総攻撃してきた場合の防衛演習を6月3日までの1ヵ月がかりで実施し、その反省点を抽出中。

 想定では、1日に1500発のロケット弾が、イスラエル北部の80箇所に落下する。その場合の死者は300名以上になるだろうと見積もられた。

 ヒズボラが蓄積しているロケット弾と地対地ミサイルの総量は15万発。そのうち射程の長い物は、イスラエルの南端まで届いてしまう。

 2006年にはヒズボラはじっさいにイスラエルの町に1ヵ月間で4000発のロケット弾を撃ち込んでみせた。市民44人とイスラエル軍将兵121人死亡。

 イスラエル軍が反撃してレバノン南部を「敵地爆撃」したので1ヵ月で終わったが、そうでなければもっと長引き、もっと撃ち込まれていたかもしれない。

 今日なら、ヒズボラは、1日に1000発~3000発のペースで、連日、ロケット弾攻撃できると見積もられている。

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 Fermin Koop 記者による2022-5-26記事「New method can cleanly extract lithium and other valuable minerals from water using magnets」。
   磁力を帯びたナノ粒子を使うことによって、鉱業廃液の中からリチウムを回収するという技法が、米国の科学者チームによって創案された。

 アルゼンチン、ボリビア、チリを、「リチウム・トライアングル」と呼ぶ。新大陸における主産地なので。

 現行の、リチウム鉱石水溶液からリチウムを取り出すプロセス(イオン交換膜法)は、エネルギーも水も、やたらに投入する必要があって、しかも、有毒の廃液を大量に産生してしまう。

 しかるに、2040年のリチウム需要は、今の40倍になっていると見積もられるのである。

 新しい技法は、北米の油田やガス田から副産物として吸い出した廃水中に含まれるリチウムを、吸着して集めることができる。いままでは、まったく回収など考えられなかったものである。

 しかもナノ粒子は触媒のように繰り返し使えるから環境を汚染しない。

 そしてこの技法は、地熱発電所の熱水にも応用ができるという。