27日に宇軍の「ミグ29」が露軍の「スホイ35」を空戦で撃墜したと。場所はヘルソン。

 Jeff Schogol 記者による2022-5-26記事「How Ukraine is using artillery to stop Russian forces in their tracks」。
   NYTの分析によると、5月11日にシヴェルスキー・ドネツ川を渡河せんとした露兵550名のうち400名が、ウクライナ砲兵から叩かれて、川の両岸で戦死してしまった。ほとんど「全滅」である。

 5-14に衛星写真を見たプロいわく。露軍はポンツーンの位置に車両を蝟集させすぎている。

 さいしょに失敗をしでかすのは誰でもよくやることだが、現在進行中の苦戦から教訓を学習してすぐにそれを現地で活かさなければいけない。その知恵のサイクルがまるで見られず、作戦そのものを漫然と失っている。

 宇軍はM777を90門受領しているが、この5-11砲撃に大量のM777を使えたかどうかは、タイミング的に疑問がある。おそらくは新兵器の勝利ではなく、露軍の渡河作戦が素人レベルだったため、自滅したのだ。

 宇軍は、カナダ、イタリア、ギリシャ、ノルウェー、ポーランドからも野砲を供給されている。
 ※SNSによるとイタリアのFH-70から発射している155mm榴弾はノルウェー製である。

 ※またSNSの動画によると、露軍は、水平射撃も可能な珍しい120ミリ迫撃砲(長砲身で2脚付き)を引っ張り出して来ている。こんなものがあったとは知らなかった。後から持ち出しているところをみると第一線兵器ではないのか。

 ※この記事で得られた豆知識。米陸軍の野砲兵教育センターはオクラホマ州のフォート・シルにある。陸軍砲兵隊員のあだ名は「レッドレグ(赤脚)」である。その守護聖人は「聖バーバラ」である。

 露軍の大隊戦闘グループは700~800名。それが3つで1個旅団を構成している。
 5-14の渡河点の拙戦で1個大隊戦闘グループは事実上、全滅した。ということは、それが所属した旅団は、もはや旅団としては働けなくなったのである。

 3月にはキーウ北方の幹線道路上に多数の露軍戦車が密集して、宇軍砲兵に好目標を呈示し、自滅している。
 戦車が道路の外に出たがらないというのは不思議な話に聞こえよう。だがドンバス地方はドネツ河の支流が網の目のように八達している盆地で、この支流のために、装軌車といえども路外を行けば「渡河、また渡河」の繰り返しを強いられてしまうのである。

 ※上海クリークの拡大版か。

 晴天が続くと水無しとなる小谷も多い。そこは茂みを為しており、宇軍の対戦車チームが隠れ潜むには絶好の凹地である。そこ以外はどこまでもまっ平らの大平原が続いているから、戦車は遠くから動静を見られてしまう。誰もそんな地形を戦車で進みたくはないのである。

 1943年の赤軍は、この地を三度の強襲によって奪回した。ものすごい損害が出た。今日、そのような損害を、ロシア軍は甘受できはしない。

 次。
 Lori Ann LaRocco 記者による2022-5-24記事「These ports are causing the most congestion in the global supply chain, new CNBC charts show」。
   いま米本土の貿易港で最も滞貨の山ができてしまっているのは、オークランド港である。

 次がLA港で、コンテナの山。
 船から卸されたコンテナを貨物列車に搭載するまでに6日以上、かかっている。パンデミック前の3倍の日数だ。