さいきん寄付金がすくないと嘆いているわたしが居る。

 Kamil Galeev 記者による2022-5-27記事「How long will this war go?」。
   アンドレイ・イルラリオノフは、2000年代前半にプーチンの経済アドバイザーだったが、プーチンに経済自由化の意思がないと分かって以降は、プーチンの批判者に転じている。

 西側のいろいろな専門家が今次戦争の見通しについてリアルタイムで予言を公開している。
 イルラリオノフは、それを自分のサイトで、経時的にまとめている。これが面白い。
 瞥見しよう。

 2022-3-5にある人が予測した。露軍は3週間で消耗し切ってしまうだろうと。それ以降は効果的な戦闘はできなくなるだろうと。だから3週間後には停戦の話が出てくるはずだと。

 3-10に別な人が予測。あと7日から10日で、戦争の「ホット・フェイズ」は終わると。その後は烈度が下がるだろうと。

 3-15に別な人が予測。ロシアの軍事努力のクライマックスはこれから10日間だ。
 3-15、その同じ人が別なインタビューに答えて予測。ロシア軍はあと10日で、攻撃のための余力をなくす、と。

 これらの人々は皆、予測を大きく外したのだろうか?
 ロシアの当初の戦争プランは破綻した。キエフは占領できず、キエフ政府を転覆させることはできなかった。
 だがロシアの戦争体力は、今も持続している。

 東部戦線を見ると、ウクライナは次々に要地を敵に明け渡している。
 4-1にイジュームを放棄。
 4-18にクレメンナイを放棄。
 5-8にポパスナヤを放棄。
 5-12にルベズノイエを放棄。
 5-20にマリウポリ開城。
 5-23にセヴェルドネツク攻防。

 ざっくりまとめれば、こうだ。
 ウクライナがここまで抗戦するとは2-24以前にほとんど誰も予期しなかった。
 ロシア戦争指導部は、3日間でウクライナ全土を支配してしまう気だった。
 しかし現実は、小さい村をひとつひとつ、占領して行くしかなくなっている。

 専門家の初盤での予測も外れた。
 侵略者側による「三光作戦」モードは、果てしなく終わることがなく、続いている。
 休戦の気運などどこにもない。

 イルラリオノフ氏はこう概括している。
 この戦争は血まみれ戦争であり、このモードのまま、長く続くであろう。
 決定的な転換点はまだ到来をしていない。
 露軍側には、兵力の優越があり、火力も優越しており、イニシアチブがある。
 露軍のほんとうの「数」と「質」は、まだ、世界に対して隠されている。だからオープンソースに頼る予測はすべて外れる。
 ウクライナ軍の「質」も、オープンソースに頼る外野からは、よくわからない。

 記者(ガリーフ)は、イルラリオノフの総括には必ずしも賛成しないが、彼が提示した疑問にはまったく同意である。すなわち、なぜロシアはいまだにウクライナを攻撃し続けられるだけの体力が余っているのか?

 記者なりの答えはこうだ。
 この戦争は、長期の消耗戦争となるであろう。
 ロシアは、投じ得る力がすこしでも余っている限りは、攻撃を持続するであろう。
 この戦争は、ロシア軍の総退却とロシア政体の崩壊によって終止符が打たれる。崩壊過程はあっけないであろう。
 イルラリオノフは、われわれが露軍の何かを知らないと疑っているようだ。記者は、おそらく、そうでなく、われわれはロシア経済の何かをまだよく知らないのだと思う。だから予測がうまく立たないのだ。

 記者にとっての最大の七不思議は、あの2000年代のどうしようもない経済状況下で、プーチンが兵器弾薬をそれなりに生産させ得たということ。そもそもそこからして理解できないのだ。


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