米国はウクライナ軍にM109自走砲をすでに送った模様。

 ストラテジーペイジの2022-5-28記事。
  ドンバス地区は住民が露系か宇系かわからないことが多い。しぜん、航空機による空爆が自粛されている。両軍ともに。

 前にオランダ民航機を撃墜しちまった反省から、「Buk」は分離主義部隊には渡されていない。

 露軍の、地対地ロケット弾「フロッグ7」の改良型である「ルナM」地対地ミサイルは、70km飛ぶ。
 「SS-21」は「トチカU」として今も現役。120km飛ぶ。

 米軍のMLRSに対抗した「BM-30」は1982年からあり、その終末誘導タイプは「トルナドS」として2018年に熟成。

 径220ミリの多連装ロケットである「BM-27」は、1発の全重が280kgで、弾頭重量は90~100kg、レンジは35km。無誘導なので部品調達は中共からでも間に合うのでドンバスでは多用されるはず。

 径122ミリの無誘導ロケット弾は、短射程のものは12km、長射程のものは45km飛ぶ。このモデルでは、射程と弾頭重量とは反比例する。

 2014年以降、ウクライナ砲兵は、露軍の122ミリ多連装に対しても、素早く射点を割り出して報復砲撃できるようになった。そこで露軍は「トルナドG」という、FCSの自動化を進めたラーンチャー・システムを2015年から工夫するようになった。同じ場所で停車している時間を1秒でも短くしなければならないという意識は露軍砲兵にもあるのだ。

 露軍の強力な自走砲としては「2S7」がある。T-80戦車のシャシに203ミリ加農を載せたもの。冷戦終了とともにモスボールされていたのだが2014のドンバス侵略で復活してきた。重さ100kgのロケットアシスト砲弾を55km飛ばすことができる。

 ドンバスと黒海沿岸の最前線では、露軍は長射程の誘導弾の使用が逐次に少なくなり、代わって、無誘導の砲弾とロケット弾を主用するようになっている。またそれが「都市」にではなく、ウクライナ軍に対して集中されている結果として、ウクライナ軍の損害が増えている。

 古い弾薬は危ないということをロシアの砲兵は知っているので、補給されても投棄するようになるだろう。

 次。
 Howard Altman 記者による2022-5-27記事「Captured Russian Weapons Are Packed With U.S. Microchips」。
   露軍の防空コマンドポスト車「9S932-1」(「バルナウルT」の構成要素)や「パンツィール」対空車両、「カモフ52」ヘリ、「Kh-101」空対地ミサイルの内部には、米国製のチップが多数、使われていたことが、戦場から回収した露軍兵器の調査によって、判明した。

 「バルナウルT」の指揮車(レーダー付き)の場合、通信機材内に使われていたチップの製造メーカーは、インテル、マイクレル、マイクロンテクノロジー、アトメルなどに及ぶ。すべて米国企業。

 「パンツィール」の方向探知機の回路には、AMD、ロチェスター電子、テキサスインスツルメンツ、リニアーテクノロジー社のチップが使われていた。
 ※なつかしい名前が出てきた。大昔、青山にあった○キ○ス○ン○ツ○メ○ツで、倉庫から集積回路チップを「品出し」するバイトをしていたことを思い出した。箱からムカデの半切れみたいな黒チップを素手でピックアップして透明のカーテンレールのようなものの中に挿入して行くのだが、わたしはまったくその作業には向いていないということをつくづく自認させられてすぐに辞めたものである。チップの表面に印字されている型番の記号数字を、何故かときどき読み間違えて、違うモノを入れてしまうのだ(当時視力は2.0あった)。許されないミスだが、これをチェックするのは1人の上司の人間の目だけであった。虫めがねも無しでよくわかるなと不思議だった。今は、人の目で読み取ったりはしてないよね、きっと。

 「Kh-101」だと、35個の米国製のチップが使われていた。その製造元は、ロチェスター電子、サイプラス・セミコンダクター、マキシム・インテグレイテド、XILINX、インフィネロン・テクノロジーズ、オンセミなどなど。

 「カモフ52」のチンターレット内に電子光学機材が入っているが、そこには22個の、米国製および韓国製のチップが使われていた。IDT、アルテラUSA、バー・ブラウン、アナログ・デバイセス社、リニアー・テクノロジー、TEコネクティヴィティなどなど。

 ※カモフのエジェクションシートは機能しているのか? ローターが吹っ飛んでいる残骸が見当たらないようだが、ということは、射出シートも作動してないんだろ?

 IDTという会社は、2019年に日本の「ルネサス」が買収されたものである。
 ミクレルは、2015年にマイクロチップ・テクノロジー社が買収した企業である。
 アトメル社は、2016にマイクロチップ・テクノロジー社が買収。
 サイプラス・セミコンダクター社は、2020にインフィネロン・テクノロジー社が買収した。
 アルテラは、2015にインテルが買収。
 バー・ブラウンは、2000年にテキサスインストゥルメンツが買収している。

 これらのチップはいずれも異常に古く、おそらく中共から、リサイクル品としてロシアに流出したものと疑われる。

 この問題の専門家氏いわく。ウクライナ兵から聞いたところでは、露軍が「皿洗い機」や「冷蔵庫」など電化器具からチップを回収しているのは間違いない、と。そしてそれは実際に露軍の戦車のパーツとして利用されていると。

 オンセミ社の公報係は反論している。当社の製品は軍用グレードではないと。コモディティにすぎず、公開市場で自由に調達できるんだと。