航空機用のタイヤは短期消耗品なので常に空港倉庫に多数のストック品がある。これを滑走路障碍物としてまず並べて燃やすことが基本だろう。

 James Beardsworth and Irina Shcherbakova 記者による2022-6-4記事「‘Are There Even Any Left?’ 100 Days of War in Ukraine For an Elite Russian Unit」。
   緒戦の「ホストメル」飛行場は欲しかった。そこが奪取できていれば大型輸送機「イリューシン76」で追加部隊と需品を送り込めたから。

 2008の対ジョージア作戦でも楽勝していた第31親衛空挺旅団が、そこを確保できるはずだった。

 ところがウクライナ兵は飛行場の周りに塹壕を掘って、すっかり待ち構えていたのだ。

 ※この緒戦のキエフ郊外飛行場の攻防に関して、私の最大の疑問とするところは、なんで敵侵攻開始の第一報と同時に、整備格納庫内のアントノフ225巨人機を、滑走路のどまんなかまでトーイングして、トーイングカーもろともそこに駐機させておかなかったのかということ。整備ハンガー内ではハンガー建物ごと燃やされてしまうのは必定なんだから、むしろ、デブリ源および黒煙源として、いつでも滑走路を覆わせるようにR/W中央まで引き出して置いておけば、上空からそれをひとめ見ただけで、敵はその飛行場の奪取(イリューシン76の離発着)を諦めるだろ。念をいれて、傍らに無蓋のトラックを駐車させ、その荷台に砲弾が山積みされているのを現示してもよかった。「爆破準備は整っているぞ」というメッセージだ。こんなの、予算はいくらもかからない。ハンガーの復旧だって早くなるんだ。焦げないから。どうも緒戦のウクライナ軍には「捨て身」の発想が不足していた。スイス軍にはそれがある。

 第31空挺旅団の捕虜へのインタビューから判明したこと。彼らの飛行場突入から24時間以内に援軍が追加されてくるはずだった。飛行場に。ところが3日経っても、彼らは孤立して単独で闘わされていた。

 2月25日、ウクライナ軍はヤル気を出した。空港の建物を連続2時間、猛砲撃したのだ。これで、空港敷地内を占拠していたロシア空挺旅団の重装備、とくにAFVが全滅した(ターレット吹き飛び現象がここでも起きたという)。

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 Gidget Fuentes 記者による2022-6-8記事「Status of 5 Marines Unknown Following MV-22B Osprey Crash in Southern California」。
   加州のキャンプペンドルトンから海兵隊員5人を乗せて離陸した「MC-22B」が、加州南部の砂漠に墜落した。水曜日の午後。

 この5人は全員、お客ではなく、クルーだったようである。しかし詳細は未発表。

 墜落は現地の午後12時25分だった。まっぴるまである。

 ある地元報道によると、この機体には放射性物質が積まれていたという。その関係の警報が発せられていると。
 しかし軍は、その報道は誤報だと言っている。

 ことしに入って海兵隊のオスプレイが墜落したのはこれが二度目。一度目は3月にノルウェーの軍事演習中に「MV-22B」が墜ちている。そのさいは海兵隊員4名死亡。

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 ストラテジーペイジの2022-6-9記事。
   中共は、民間フェリーやRoRo船を徴用して台湾侵攻に使えるじゃないかと思いついたのであったが、いろいろ実験してみて、これはマズいと悟ったようだ。

 民間船が台湾軍の地対艦ミサイルによって打撃された場合、ダメコンはほとんど不可能だと分かってきた。
 また、ちょっと天候が悪くなると、民間の輸送船は使えないということも分かった。

 同様に、民間のばら積み貨物船やコンテナ船も、台湾侵攻作戦にはとても使い難いと認識されている。

 なんといっても今の民間船は、省力化が進みすぎているのである。ホンの数人でオペレートしている。ダメコンどころか、その前の、「自前警備」もできやしない。

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 Howard Altman 記者による2022-6-8記事「Sea Mines Could Prevent Ukraine Grain Shipments For Months」。
   浮流機雷はトルコ沖にもルーマニア沖にもやってきている。
 3月にはエストニア船籍の貨物船『Helt』が黒海で触雷して沈没した。

 黒海の南西部の浮流機雷は沿岸国が見つけ次第に安全化しているものの、ひきつづき存在している。要注意。

 アフリカで消費される小麦の4割は、ロシア産とウクライナ産である。それが滞っているので、アフリカの小麦価格は23%値上がりした。

 ラトビアの首相いわく。ロシアは小麦の安全な輸出を名としてオデッサ沖の機雷の撤去をウクライナに求めているが、それではオデーサの防衛はどうなるのだ? 話にならない、と。
 現実的に考えられるのは、NATOがオデーサまで商船護衛艦を派出することだと。

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 George Hand 記者による2022-6-8記事「Is the famous TB2 Bayraktar the best drone in Ukraine?」。
   ドローンの性能を比較評価する着目点は多数ある。巡航時の騒音。ダッシュ時の騒音。構造体の長期耐久性。フル兵装時の滞空時間。などなど。

 記者は10項目を立てて比較してみたが、ウクライナ戦場で使われているUAVのうち、やはりTB2の綜合評価が最も高い。

 しかしバイカル社がこれから売り出す「アキンジー」は、すべてのスペックに於いてTB2を凌いでしまう。レンジ275kmの地対空ミサイルを放てるというだけでも、もう本格的な敵地攻撃機に使えるのである。

 ※いちばん知りたいステルス性が謎。外見からはとてもTB2よりレーダー反射が小さいとは思えない。