スイス陸軍がモスボールしている「レオ2」をポーランドにくれぬか、というリクエストを、スイス政府は、拒否した。

 Jeff Schogol 記者による2022-6-13記事「Russia is hammering Ukraine with up to 60,000 artillery shells and rockets every day」。
  ドンバスでは露軍は1日に6万発の砲弾とロケット弾を発射していると、ウクライナ軍の匿名高官が『NYT』に語った。

 M777は、108門がウク軍に渡されている。

 ゼレンスキーの要求。MLRSは300両くれ。榴弾砲は1000門くれ。戦車は500両くれ。装甲車は2000両くれ。ドローンは1000機くれ。

 ※東部戦線の全線で大砲撃しているのかと思ったらそうではなく、ひとつの拠点都市にぜんぶ集中されているのか。敵のその動きはとっくに分かっていたのだから、守備隊は北ベトナム兵のように地下トンネル網をいっしょうけんめい掘っとかなきゃダメだろう。そして移動できる部隊は南部へ移して、相手が集中していない戦線で逆浸透。ベトナムに学べ。

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 Kamil Galeev 記者による2022-6-13記事。
   N.クロトフという、ロシアのVTB銀行の重役だった人が回顧して綴った『ロシア外国銀行史』という一級一次資料には、旧西ドイツが冷戦中にいかにしてCOCOMを破って西側の先端技術(ソフトウェア)をロシアへ売り渡していたかが証言されている。

 ドイツとソ連の商業協力は1922年に遡る。独ソ戦中は中絶したが、戦後すぐ復活した。1960年代にはハンブルグの商社が、ソ連には売ってはいけないはずの米国製コンピュータを、ソ連に船荷のコンテナで転売してやっていた。

 1980年代にはドイツ商社のこういう活動が米政権を怒らせていた。

 ソ連には、技術のアウタルキーはなかった。冷戦中も一貫して、西側のハイテク品を輸入することが必須だったのである。それで、技術が成り立っていたのである。

 Kamaz といえばソ連随一のトラック・ブランドだが、じつはKamaz工場は、ソ連が国内で必要とする消費財なら何でも手がける生産拠点として、米・西欧・日本から設備を買い集めて建設されているのだ。

 ほとんどが輸入品でできた工場だった。トラック製造の工程管理は「IBM370」。アメリカがコンピュータを売ってやったのだ。

 これではいかんとレーガン政権が1981年に、対ソ輸出品の規制を強化した。しかしソ連は抜け道を探し、西欧と日本からスペアパーツを調達し続け、それで軍用トラックを量産していた。

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 ストラテジーペイジの2022-6-14記事。
   ロシアの空襲パターンは、イスラエルの真似だ。
 イスラエル空軍機は、最近は、シリア上空までは飛ばない。その手前のレバノンやヨルダン上空、ときにはイスラエル領空から、空対地ミサイルを発射するようにしている。

 しかし「スホイ25」のようなCAS専用機とAHは、敵軍に肉薄しないわけにいかない。だから、この2機種が今、ウクライナ戦線で、SAMによくやられる。

 露軍はこのごろでは、終末誘導機能付きのロケット弾を落とす場所を選ぶようになった。弾薬集積処と、NATOが弾薬を補給してくる経路、たとえば鉄道線を狙っている。

 露軍もスパイ網をもっている。スパイが、どこにNATOの弾薬が溜まっているか、通報している。

 北欧と東欧諸国は、妥協なくロシアを弱めたい。スターリン時代の死人だらけの世紀の記憶が生々しすぎるので。ところが独仏伊米はゼレンスキーに手打ちを促している。ゼレンスキーは断固拒否。
 東欧中の例外がハンガリー。プロ・ロシアの大統領を選出したので、NATOの中では浮いている。

 ウクライナはファビウスの対ハンニバル戦略を再演するしかないだろう。カルタゴ軍はイタリア本土まで攻め込んで来ていて圧倒的であった。しかしその補給線を執拗に叩くうちには弱った。

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 Thomas Corbett and Peter W. Singer 記者による2022-6-13記事「China’s ‘Particle Beam Cannon’ Is a Nuclear-Power Breakthrough」。
    中共の科学院の現代物理学研究所(CAS・IMP)は、粒子砲(陽子加速器)を完成した。これと新型原子炉を組み合わせれば、既存原発の使用済み燃料をリサイクルして、電力価格を下げられる。

 ビスマスのまわりを包んだ「ウラン238」あるいは「トリウム232」。これをターゲットとして、加速した陽子をぶつける。

 するとターゲットは核分裂し、中性子を放出する。その中性子が使用済み核燃料に吸収されて、別な、原発燃料として使える核分裂性の物質に変わる。

 この反応は自己的に終了するので、連鎖反応が暴走することはない。

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 Craig Singleton 記者による2022-6-13記事「China’s Crisis of Confidence」。
   熊プーのさいきんの発言からは、彼が掲げた中共の持続可能な経済成長計画に、熊プー本人が自信をなくしていることが伝わってくる。

 中共は、米国の競争相手としては、今後、脱落する可能性がある。

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 ブルームバーグの2022-6-14記事「Russia hides budget spending but shows how ruble hit oil revenue」。
   ロシアは国防費など毎月の政府支出の細目はもう公表しないことになった。

 しかし歳入についてはまだ公表をしている。5月の石油とガスの輸出税の収益は4月の半分に減った。
 これにはルーブルの為替価値を高く維持したのも響いている。

 非エネルギー分野からの歳入は計画通りだが、インフレが経済活動を落ち込ませている。

 ※雑報によると2021-12-31時点でロシア国内の1240万人が貧困ライン以下だったが、2022-3-31時点では、それが2090万人に増えていると。

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 Caitlin Doornbos 記者による2022-6-13記事「Russian fuel and supply challenges in Ukraine cause Pentagon to consider at-sea delivery needs in potential US conflict with China」。
   ベラルーシからキエフにいたる幹線道路上に発生した「40マイル渋滞」は、1ヵ月以上も解消されなかった。結局、退却することによって燃料不足が解消されている。

 1億5000万ガロンもの容量を誇ったハワイの「レッドヒル」地下燃料庫が廃止と決まったので、南シナ海に対する米海軍の液体燃料補給は当面、細くなる。