露式の「F1」手榴弾を、ほぼ着発にできる工夫を、誰かが思いついたらしい。

 昨日初見のSNS動画で承知した。
 これまでは、ドローンから投弾した瞬間に安全スプーンが外れる仕組みであったので、4秒以内に地面に到達させねばならぬ関係上、投下高度が制約され、敵から気付かれ易かったと思しい。

 しかし誰かがうまい方法(棒アイスの木ヘラのようなものをつけてある)を編み出したらしく、これを使うと、もっと高いところから落としても、安全スプーンは着地するまで外れない。それから4秒して起爆する。

 しかし多数回、繰り返しているうちには、つい手元が狂って装着作業中に爆発……という事故を、ぜったいに起こすと思うぞ。投弾前に不時着したらアウトだろうし。

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 雑報によるとウクライナにポーランドから12.7ミリ狙撃ライフルが援助されているようだ。防弾ヴェストのインナー・プレートに大穴が開いている画像が公表されている。それで、2018年の「ZMT WKW-50 LARGE-CALIBER SNIPER RIFLE」という古い記事でスペックを確認する。

 ポーランドには「WKW TOR 12.7」という対物狙撃銃があったのだが、それを洗練し、軽量化したのが、「ZWT WKW 50 大口径狙撃銃」だ。
 対人だと1700mまで。地上の敵飛行機だったら2000mまで狙える。
 自重14kg。ボルトアクションで、7連発。

 また雑報によるとリトアニア製の「EDM4S スカイ・ワイパー」という個人携行型の「対ドローン砲」を110個、ウクライナは調達し、35の部隊に配備するであろうという。

 そこでメーカーの宣伝ビデオを見ると、これはマイクロ波を指向的に1マイル以上照射するもの。小銃のように人が構えて照準をつける。DJIドローンであればこの電波を浴びることでリモコン操縦者とのリンクが切断され、ドローンは自動着陸モードに入ってしまう。空港警備用に販売されている。

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 Defense Express の2022-6-12記事「How Much the russian Artillery Outnumbers Ukraine’s In Density And Amount of Systems」。
   ロシアの富豪、アレクサンデル・レベデフが所有する英国の新聞『インディペンデント』の記事によると、ウクライナ対ロシアの砲兵戦力の比率は1対20、弾薬量になると1対40だという。

 また、『ガーディアン』紙がウクライナ軍の情報部長にインタビューした記事では、砲兵戦力の比率は、1対10から1対15というところだという。

 さらに『NYT』の記事によると、米国が1日に5000~6000発の砲弾を製造できるのに対して、ロシアは6万発を量産できるはずだという。

 『ミリタリー・バランス』によれば、2021年時点で、ロシア軍は152ミリ野砲を2028門、203ミリ野砲を160門、持っていた。122ミリ野砲は245門である。

 ※砲熕火器は152mm加農に集約統一し、122ミリや203ミリはロケット弾で置き換えるという大方針だろう。合理的だ。

 同じ『ミリタリー・バランス』によると、ウクライナ軍は、122ミリ野砲×421門、152ミリ野砲×742門、203ミリ野砲×13門だった。

 比較するとざっと1対2ではないか。
 自走砲の数を比較すると、637両対2119両となるが、それでも10倍の差にはならない。

 すべての口径の多連装ロケット弾を比較すると、ウクライナ1680台、ロシア3547台である。

 米国は、M777用の砲弾を22万発、供給した。1門あたり、2000発になる。

 問題は、旧ソ連系の口径の砲弾なのだ。これがあと10日くらいで、ウクライナ軍の分は尽きてしまう可能性がある。旧東欧のNATO諸国からは、使える口径の砲弾が援助されてはいるものの、それも限りがある。

 というわけで、ウクライナ軍が155ミリ砲弾や、西側規格の多連装ロケット弾をくれくれと懇願するのには、理由があるのだ。

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 Defense Express の2022-6-12記事「40 Units of the US Lend-Lease Wabtec Locomotives Might Pull Military Aid In Ukraine Soon」。
   米国のウェブテック社が製造している鉄道用機関車×40両が、レンドリースでウクライナ国鉄に供与されることが、期待されている。

 ウクライナは2018年にGEエヴォリューション社製の「TE33AC」機関車を輸入している。

 戦争前、ウクライナ国鉄は、30両の「TE33AS」機関車を運用していた。メーカーの「GEトランスポーテーション」は、今のウェベックだ。

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 Kathrine Nitter 記者による2022-6-12記事「Want to Keep Plastic Out of the Ocean? Burn It Like Coal」。
    ベトナムの大手製紙会社SINTEFが、リサイクルできないプラスチック類を、セメント・キルンの燃料として、石炭のように燃やすという技法を実験して、好ましい結果を得た。

 ベトナム最大の製紙会社「Lee & Man」は、毎日150トンの、リサイクルに適さないプラスチック廃棄物を出し、それを地中に埋設処分しているが、地中からじわじわと海に漏出して行くのではないかと疑われている。

 実験では、プラごみを天日で干して均質化してから、石灰焼成プラントに放り込んだ。

 第三者機関に頼んで炉の排ガスを分析してもらったところ、ダイオキシンなどの有害ガスの発生量は、ベトナムの規制法の上限内に収まっていることがわかった。

 この方法を使うことで、ひとつのセメント工場は1年に1万トンの石炭を節約できるだろう。
 そして同時に、プラスチック廃棄物を出している工場としては、年に1万トン、その地中投棄量を減らせるのである。

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 Thomas Newdick 記者による記事2022-6-13記事「New KF51 Panther Tank Packs Big 130mm Gun Aimed At Aging Leopard 2」。
   パリの「ユーロサトリ」にラインメタルが社内開発している「KF51 パンター」が出展された。130ミリ砲搭載の次世代MBTとして提案。

 全重65トンなので「レオ2」最終版の「2A7V」よりも5トンは軽い。
 エンジンは同じ1475馬力ディーゼル。

 130ミリ砲は有効レンジが5割増しだという。
 同軸機関銃は12.7ミリ。
 車内から「HERO 120」というロイタリングミュニションを放出できる。
 また自車防御用の謎のSAMも搭載。

 乗員は「レオ2」より減らして三名にする。しかし車内にはさらにもう1名、乗せられる余裕もある。そこにはたとえば、戦車小隊長が同乗する。

 将来は、この砲塔を無人化。さらに、車体も無人化する方向で研究するという。

 ※わが国の防衛費が2倍化するのがほぼ確定的なので野党議員さえも防衛省に擦り寄るようになった。これに浮かれて《未来の無い新装備》の開発などに有限資源(人と時間)を無駄遣いしてしまうことのないように祈りたい。有人戦車はオワコンである。
 冷静に考えれば、核攻撃の惨害から国民の生命を守ることが第一でなくてはならぬと分かるはずだ。西日本各地でのトンネル式弾薬庫の新設・充実は、それに資するだろう(東京はJR山手線を地下化すればいいだけなので都に任せて可)。究極災害時には、トンネル式弾薬庫が北欧式の耐核シェルターになってくれる。トンネルの支線からは新世代の地対艦ミサイルを、じかに発射できるようにもするべきである。スイスが「対地」でやっていることを、わが国は「対艦」で真似するわけだ。次に原発敷地内に「フラックタワー」を建てる。それを防衛費から支出するのだ。併せて、先島群島内の諸道路の部分的な直線化(非常時に救恤用のC-130が使えるようにする)。これだけで4兆円なんてすぐだろう。