「馬に蹴られて死んだ」と記録されている日本武士は、いない。

 これは何を意味するかというと、「落馬」して死んだと記録されている武士の中には、蹴られて死んだ者が必ず何割か、含まれているのである。
 しかしそれは外聞が悪いから、すべて「落馬」と言い換えているのである。

 「落馬」直後に蹴られるという、複合負傷もあっただろう。

 次。
 Kamil Galeev 記者による2022-6-15記事。
   露軍の地対空ミサイル「S-300」を制御するマシン語プログラムは、独ジーメンス社の「Sinumerik 840D」と「Heidenhahn」社のソフトウェアを使って書かれている。これは少しも秘密ではない。

 ドイツ政府のウクライナ戦争に対する態度が変だと、みんな思っているだろう。
 ドイツ経済とロシア経済は、あきれるほどの相互依存関係にあるのだ。

 プーチンがロシアの軍需産業を再建するときに、ドイツの工作機械と部品が、それを実現した。
 ドイツに次ぐ対露軍事協力者が、じつはフランスである。

 ロシアを他の国になぞらえるなら「鉄道網の発達したブラジル」であろう。
 ロシアでは貨物も旅客もすべて鉄道頼みである。
 ところが新型貨車のためのカセットベアリング(2重リングの中にコロが封入されている)は国産できなくなっており、すべてが西側からの輸入頼みだ。

 西側技術の継続的な輸入なしには、ロシアは、早晩、化石燃料の輸出すらもできなくなる。

 なぜノルドストリーム1のガス送量は40%減ったか?
 コンプレッサーの修理をジーメンスが請け負っていたのだが、カナダが厳密な対露制裁をしている関係で、その修理器材を戻して据えつけることができないのである。

 ドイツ政府はメーカーに対する統制が伝統的に弱い。だからメーカーが勝手にロシアとつるんで、軍需工場用に精密工作機械をバンバン売りまくった。大儲けしたドイツメーカーがドイツの政治家の選挙当落を左右してきた。かくして今のような腐れ縁の関係ができてしまったのだ。

 2014のクリミア占領でドイツはロシアに兵器部品を売りにくくなった。これさいわいとそれにつけこんで儲けようとしたのがフランスだった。だからドイツの次にはフランスが腐っているのである。

 しからばなぜ中共のメーカーは、独仏の代わりにならないか?
 理由は、ロシアの軍需工場も、国家指導部も、それを希望してないから。
 表向きの発言では、ロシアは中共との友好関係を強調する。だがプーチンは、独仏技術の代わりに中共技術を入れるつもりなど、ぜんぜん無い。

 もし、ドイツ製の部品を密輸して「ロシア製です」とごまかしているロシア人がいても、ロシア司法は彼を見逃す。しかし、中共製の部品でそれをやったら、その貿易に関係した者は投獄される。

 これはロシア司法の建前とは関係がない。司法の運用で、そうなるのである。

 カルガとツーラは隣り合った工業地帯だが、カルガは西側部品が手に入らないため、ビジネスが崩壊しつつある。
 ツーラは昔から兵器工廠なので、政府が支えて雇用を保っている。

 この戦争で逆に儲かって景気が好いのは、ロストフ地区の農業だ。

 キミがロシアの労働者なら、軍需工場に就職しているのが安全。民需工場はこれから全滅する。

 戦後のロシアはシナとくっつくのか? そうはなるまい。
 人口の動きが予言的である。人々が皆、ウクライナの東隣にあるクラスノダール(ロストフ地区)に向って移動しているのだ。南西部域である。寒いところではもう生きられなくなると予感しているのだろう。

 ロシアの人口は縮みつつある。その収縮焦点が、まさにウクライナなのだ。ロシア人の集合意識が、ウクライナへの移住を目指している。

 次。
 Kamil Galeev 記者による2022-6-14記事。
   公的空間と私的空間で、それぞれ、どう行動するか。
 これには国民の違いがとても大きい。

 ロシア人は、私的空間での振る舞いで、その人の善悪を判定する。米人はそうではない。

 ロシア人の「正直」は、私的空間での正直さだけが問われる。公的空間では嘘をついても誰もとがめぬ。

 記者は大卒後、数ヵ月だけロシアの公務員であった。
 そこで知った。公務員の上司も、私的空間では政府を平然と批判するのだ。しかし、公的空間でそれをすれば、彼の人生は「詰み」だ。

 だからロシアの公人を、公的発言によって値踏みすることは、誰にもできないのである。公人が嘘をついても可い社会契約になっているので。

 私的空間での嘘も、公的空間での嘘も許さないのは、米国社会が最右翼だ。
 欧州大陸は、地域によって、その程度がいろいろだ。

 次。
 Defense Express の2022-6-16記事「Ukrainian T-Rex: Anti-Materiel Rifle to Help Fight Russians」。
    ウクライナの「XADO ホールディング」社は、ボルトアクションの対物狙撃銃「スナイパーTレックス」を製造している。今次戦争の始まるわずか数ヵ月前に、ウクライナ陸軍に採用され、すでに実戦投入されている。

 重さは25kgある。実包は、ソ連規格の「14.5mm×114mm」弾。
 バレルもサイトもすべて国内製である。

 次。
 Max Hauptman 記者による2022-6-15記事「Ukraine now has killer robots with machine guns」。
   ウクライナのロボット企業「テメルランド」社は、自走台車に7.62ミリ機関銃を載せた「GNOM」という有線リモコン式の移動銃座を開発し、ザポリッジア市付近の戦線に投入するという。

 全重50kg。全長2フィート。
 昨年から試作していた。

 次。
 Svetlana Shkolnikova 記者による2022-6-15記事「Top House lawmaker rebukes ‘too cautious’ approach to Ukraine aid, calls for long-range artillery and sophisticated drones」。
    下院軍事委員長のアダム・スミス(民主党、ワシントン州)が、長距離砲と高性能ドローンを早く贈れと言っている。
 ペースが遅すぎるじゃないかと。これは超党派のコンセンサスだと。

 スミスは、「MQ-1C グレイ・イーグル」を贈るべきじゃないかと言っている。だが補給と訓練がかなり面倒なことになりそうなので難しい。

 榴弾砲×1000、ドローン×1000、装甲車×2000、戦車×500、MLRS×300をくれと月曜日に言ったのは、ゼレンスキーの補佐官のミハイロ・ポドリャクである。ゼレンスキー本人は木曜日に、対戦車ミサイルをくれと言っている。

 オースチン長官は水曜日に、追加の10億ドルの軍事援助を表明。その中に、18門の榴弾砲、2単位の地対艦ハープーンが含まれている。

 次。
 Mallory Shelbourne 記者による2022-6-15記事「New AUKUS Caucus Bill Calls for U.S.-Australia Sub Training Pipeline」。
   米連邦下院の超党派議員は、豪州の潜水艦士官を米海軍の潜水艦学校で訓練してやれるようにする法案を準備した。毎年2名を受け入れる。まず「海軍核推進力学校」に入ってもらい、ついで、「原潜士官基礎コース」に進んでもらい、仕上げとして米原潜に短期配乗させる。

 次。
 Victor Duenow 米海軍中佐による『Proceedings』の2022-6月号記事「Disputing Chinese Sea Control Through Offensive Sea Mining」。
  ※「海軍機雷エッセイ・コンテスト」の一等賞論文。

 FY2020のデータによると、クイックストライク機雷や、潜水艦から放つ自走敷設機雷は、ライフサイクルコストが8500万ドル以下である。

 攻撃的機雷の調達費用は、米海軍の毎年の兵器調達予算の0.125%でしかない。とても安くて済むのである。

 かたや、2019年の統計によると、金額ベースで、中共の貿易の60%は、海上輸送によった。

 珠江デルタ(シンセンなどがある)の諸港と、黄海の諸港を合計すると、中共の海上交易物の92%はそこを通っている(重量ベース)。交易金額ベースだと55%だ。だから、機雷封鎖をするならば、まずその2エリアだ。

 ※重量ベースが重要である。重さあたりの単価が高くない石油がそこから輸入されていることを意味するからだ。

 中共が国内で生産している原油では、全需要の三分の一しか満たせない。輸入が不可欠だ。

 中共が輸入している石油の80%、すなわち中共が消費している全石油のうちの55%は、タンカーによって海港から搬入されて来ている。

 黄海と珠江デルタに「クイックストライク」機雷を撒くだけで、中共は、現在消費しているレベルの石油の半分以上を、搬入できなくなる。

 結論。米「インド太平洋コマンド」は、来る対支戦では、珠江デルタと黄海に機雷を撒くべきである。