新「100ルーブル」札を、ロシアのATMから引き出せないという。西側の機械メンテ会社がすでに撤退しているので。

 雑報によれば、冬季五輪のアイスホッケーで活躍したロシア籍のスター選手、イヴァン・フェドートフ25歳が「徴兵逃れ」の容疑でロシア警察に逮捕された。フェドートフはNHLのフィラデルフィア・フライヤーズに所属している。もともとフィンランド生まれ。

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 Howard Altman 記者による2022-7-1記事「Meet The Shadowy Ukrainian Unit That Sabotages Targets Inside Russia」。
    やはりウクライナ軍特殊部隊は越境挺進作戦を繰り返していた。ヘリまたは徒歩で。
 「シャマン」大隊と呼ばれる。
 「シャーマン」は挺進部隊指揮官のコールサインである。
 「シャーマン」=祈祷師 は、ウクライナの土俗として昔からあったものだ。

 この挺進部隊は2014のロシアの侵略開始直後に編成され、すぐに活動を始めた。ずっとやってきたのだ。

 隊員は全員、志願者。
 助かるのは、味方のヘリパイロットたちが優秀且つ勇敢なこと。正確に、プランの通りの場所にやってきてくれる。これが、どれだけ難しいことか……。スーパーパイロットと言ってさしつかえない。

 特殊部隊に入るには隊長との面談テストがある。そのさいにポリグラフも使う。ロシア工作員は潜り込ませない。

 2022初盤のホストメル空港の防御戦闘にも、この特殊部隊は参加しているが、かなりの反省がある。それは今に活かされている。

 痛恨の反省は、最初からそこに陣地を準備して防戦することができたのに、それをしないで、空港から離れた場所で待機していたこと。敵の空挺先遣隊がまずそこに襲来することは外国からの情報で分かっていたのに。

 ミサイルの第一弾が着弾してから、空港にかけつけようとしても、もう道路は大混雑で、地上から車両で進むことはできないのである。

 やっとたどりついたときには、陣地の準備もロクになく、飛行場には「トチカ-U」地対地ロケット弾が落下し、上空からはスホイが投弾してくるという状態。かんぜんに後手に回ってしまった。

 しかし、敵のヘリボーンの襲来には、なんとか間に合った。その前にこっちが布陣できた。
 敵ヘリは44機以上だった。まずいことに、こっちにはMANPADがわずかしか無かった。

 郷土防衛軍〔米国が州兵制度を移植したもの。まず1990年代のポーランドで成功させ、それをウクライナにも持ち込んだ。北欧と違って東欧には住民武装や民兵の伝統がないので、徴兵=予備役制度が消滅してしまう前に、それを米国が植えつける必要があった。ちなみにチェコには州兵の必要はない。市民は誰でも銃を持ち放題なのだ〕の若い兵士たちが、旧ソ連製のMANPADを発射するのを見たが、堂々たるものだった。あの若者たちに、第一級戦功章をくれてやりたい。

 18、19歳の若者が、猛爆撃のさなかに飛行場のまんなかに立ち、数機のヘリと1機のスホイ25を、古いMANPADで叩き落した。殊勲甲だ。

 巨人機「ムリヤ」に放火したのは、退却前の露兵の仕事だ。

 ウクライナの防衛体制に失敗があったとすれば、それはスティンガー・ミサイルがなかったことではない。われわれは、ホストメル飛行場が必ず攻撃されると確信して、あの飛行場をじっさいに使った防御演習まで事前にしていたのだ。ところがウクライナの軍人でない人々が、ロシアが侵略してくるという話を最後まで信じようとしなかった。そんな覚悟が足りぬ「見ざる聞かざる」の人々の態度をロシアのスパイがプーチンに報告したので、プーチンは勝てると確信し、侵略が現実化したのだ。

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 Defense Express の2022-7-2記事「No “russian spirit” on Snake Island, the Pentagon Confirmes, Ukraine Publishes Vivid Video」。
   露軍のとても珍しい行動。撤退後の蛇島を夜間に固定翼機からの焼夷弾投下で空爆した。残した装備品を焼き払いたかったらしい。

 無人となった蛇島をTB2が爆撃し、122ミリの「トルナドG」多連装ロケットを1両、弾薬トラック×4を破壊した。

 ※TB2は開戦から数日にして蛇島上の「ZU-23」を2基破壊するなど、海では終始一貫、大活躍だ。「R-149」という、司令官と参謀が乗る装甲車も1両、早々と島上で爆砕されている。

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 ストラテジーペイジの2022-7-2記事。
   米陸軍は、155ミリ弾(エクスカリバーの新世代)を70km飛ばそうという「ERCA」プロジェクトに10年以上注力してきたが、行き詰っている。新装薬ができない。

 砲弾の「エクスカリバー」は、初期型は20kmしか飛ばないものだったが、最新の「1A-2」弾だと40km飛んでくれる。これは2011年に実験で太鼓判を押された。

 実戦初使用は、2012年。海兵隊のM777から、新型のエクスカリバー弾を、36km先の標的に命中させた。

 この「1A-2」弾でも、装薬さえあれば、60km飛んで命中する。理論的には70kmまで当たるポテンシャルがある。誘導方式はGPS。

 自重4.2トンのM777の砲身は、口径の32倍である。5.1m。
 これを口径の52倍にすることは、自走砲ならできる。8.1m。しかし牽引で軽量のM777には不適格。

 ちなみにパラディンSPはいずれ、58口径長にするつもりだ。9m砲身である。
 今のパラディンは39口径長、6.05m砲身。

 レンジ70km近い砲撃になると、GPS修正が「風」に負ける場合がある。強風が吹いていると、当てられなくなるわけ。これは砲弾である以上、どうしようもない。

 米軍はイラク&アフガニスタンの体験で、自走砲のM-109より、牽引のM777の方が便利だと感じた。

 SPの未来はHIMARSにおびやかされている。HIMARSの最新弾は85km飛んでくれるのだ。
 HIMARSのトラックは、自走で480km航続できる。

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 Stavros Atlamazoglou 記者による2022-7-1記事「Russia has lost more than 1500 tanks in Ukraine」。
   開戦から128日。
 民間のオープンソース分析集団Oryxは、ロシア軍が喪失(放棄&鹵獲も含む)したMBTは800両を超えたと算定。これは英国国防省も同意見。

 ペンタゴンでは、露軍は戦車1000両を喪失しただろうと見ている。

 露兵の戦死者数は、2万に達しただろうというのが大方の西側の見方。
 ウクライナ政府の発表は、露兵戦死35750、戦車喪失1577、等と、数字が大きい。

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 Jakub Palowski 記者による2022-6-29記事「How “Aircraft-Carrier Killer” Became a “Killer of Civilians”: Russian Missiles Strike Ukraine」。
  ショッピングモールに1発当たった巨大ミサイル「AS-4」は、バックファイアーから高度1万4000mで発射されると、いったん高度2万2000mまで上昇し、そこから秒速1kmで、距離数百kmを緩降下して行く。

 もともとは冷戦中の、対空母用だった。

 距離を欲張らなければ、もっと低空から発射してもいい。

 誘導モードは3つ、選べる。米空母に対してはアクティヴ・レーダーか、電波輻射源へのパッシヴ突入。固定施設に対しては、INSのプリプログラム。

 古いやつは弾頭重量が1トンもある。今回はこれをベラルーシ上空から発射したようだ。