リムパックはムリパック

 Paul HANDLEY 記者による2022-7-15記事「Himars precision rockets shift the balance in Ukraine: experts」。
    HIMARSのロケット弾は、旧来のSSBMよりも低い抛物弾道で、且つ高速に飛翔するため、ロシア軍の既存のSAMでは迎撃できないのである。

 ロシア軍の弱点は、トラックの数が絶対的に足りないこと。そのために弾薬集積処を、鉄道駅のすぐ近くと、最前線近くの都市の2点だけに、まとめて置こうとする。分散化することができないのだ。トラックが無いのでは。
 そこをHIMARSの精密ロケット弾で爆破されてしまう。

 ATACMSの対宇供給を米国が渋っている真の理由は、米軍用のATACMSじたいに数量の余裕がない。他国に贈与してやれるほどは抱えていないのだ。

 セントアンドリュース大学(スコットランド)の戦略学教授オブライエンの指摘。ウクライナ軍にこれから必要なのは、むしろHIMARSを露軍の空爆から防護するためのSAMシステムであると。
 長射程の打撃手段と、それを防護する高性能SAMとは、常に相ともなっていなくてはダメなのだ、と。

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 AFPの2022-7-17記事「IS ex-bastion in Syria hosts Jackie Chan film shoot」。
   シリアの首都に近い、ハジャルアルアスワド市は、2018いらい廃墟である。映画プロデューサーのジャッキー・チャンがここに乗り込んでアクション作品を撮影するという。

 タイトルは『ホーム・オペレーション』。2015にイエメンからシナ人がエバキュエートされた。そのときの中共軍の活躍を大いに顕彰し、習近平によろこんでもらおうという内容である。

 イエメンでロケするのが理想的だが、同地はあまりにも危険で、誰も映画など撮影できるところではない。

 なお、映画の中では「イエメン」とは言わず、架空の国「ポマン」の出来事ということにする。

 撮影はすでに始まっている。エキストラはシリア人をかきあつめた。
 ジャッキー・チャン自身は、シリアに乗り込む予定はない。

 撮影初日には、在シリアの中国大使も見学した。

※おそらく中共の映画プロデューサーたちが今、最も熱心に検討しているのは「山上事件」の映画化だろう。どうせ日本国内では誰も製作なんかできない。だから中共で先につくって配給すれば、超話題となり、日本市場からもガッポリと興行収益を稼ぐことができるだろう。ストーリー的にも、これ以上に盛り上げられる話があろうか? ヤクザ映画のノリにしてもいいし、曾我兄弟、忠臣蔵に仕立ててもいい。朝鮮カルトを叩けるところも中国人にとっては痛快だろう。主人公は勿論、若かったときのロバート・デニーロっぽいのを使う。将来の大スターだ。ところであの犯人は漫画の『男組』の最終話を読んでいたんだろうか? 年齢的にちょっと遅いかな?

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 Mac Caltrider 記者による2022-6-10記事「John Wayne and ‘The Longest Day’: 5 Things You Probably Didn’t Know」。
    ジョン・ウェインには軍隊の経験は皆無だった。
 しかも『ザ・ロンゲスト・デイ』に出演したとき、彼は54歳。
 彼が演じた実在の空挺部隊中尉はD-dayとうじ27歳。ちょっと無理な配役だった。

 しかしウェインの権力は絶大だった。ディレクターのモード・スペクターに強いて、とりたい役を取った上、クレジットでは彼ひとりだけを別枠で表示させた。

 『スターウォーズ』にも出ているキャリアの長い名優、クリストファー・リーは、この映画のオーディションに落ちた。なんか軍人らしく見えないね、といわれてしまった。
 ところがリーこそはWWII中にほんとうにD-Dayに参加した、しかも、特殊部隊員だったのである。

 教会の鐘楼に落下傘がひっかかって、死んだふりをしていたが捕虜になった、第82空挺師団の二等兵。史実の彼は、ひっかかって2時間後に捕虜にされたものの、その4時間後になんとか脱走して、また友軍に加わっている。

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 Daniel Strohl 記者による2019-6-17記事「How Ford’s flathead V-8 helped save lives as an aerial minesweeper during World War II」。
    フォード社はサイドバルブのV-8エンジンを1932年に採用した。
 これは車両だけでなく、飛行機にまで使われた。

 1939年にWWIIが始まったとき、ドイツが仕掛ける磁気機雷に英国はいきなり悩まされた。
 しかし、この磁気機雷のセンサーは、方位磁石の針と基本的に同じ原理だと分かったので、人工的に艦船の通過に似た磁場を作り出して掃海する方法が編み出される。

 RAFは飛行機によって磁気掃海する機体を考えた。ウエリントン双発爆撃機に、バルサ材で径51フィートのリングをとりつけ、その中にアルミ線のコイルを入れたのだ。

 35キロワットを発電するためのエンジンが別に必要だった。そのために、フォードのV8が利用された。

 掃海飛行は、高度35フィート未満では機体が爆発に巻き込まれて危険。かといって60フィート以上では磁界が弱くて掃海にならない。その中間高度を維持して洋上をゆっくり飛ぶのだ。しかも3機編隊で。

 改良型では、95キロワットを発電できるデハビランド・ジプシーというエンジンが使われるようになる。

 英軍はかくして、1940-8までには、ドイツの磁気機雷をあしらう方法を完全にマスターした。