最新の ★《続・読書余論》は、『日本は世界第5位の農業大国』『永田鉄山 軍事戦略論集』・ほか です。

 《note》 https://note.com/187326mg/  を ご覧ください。

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 John Daniel Davidson 記者による2022-7-29記事「Pay Attention To The Dutch Farmer Protests Because America Is Next」。
   なぜオランダの農民は怒っているのか? EUと政府の気候対策とやらで、酸化窒素の環境放出を減らすためとして、必要な肥料も買えなくされ、家畜頭数は削減を迫られているから。
 この蘭政府と同じことをバイデンの民主党も狙っている。今日のオランダの騒動は、明日のアメリカの騒動なのである。

 ※世界でいちばんひとりあたりカネを稼いでいるのはオランダの農民である。騒いでいるのは「富豪」たちなのである。生産品はほとんど輸出されている。国家にとっても稼ぎ頭の輸出産業を政府が締め付けたら反発を食らうのは当然だ。しかしオランダの立場は弱い。海面レベルが上昇すれば、EUで最初に国が消滅してしまうのだから。富豪農民は、資金があるうちに、国外脱出しろということだね。海に沈みそうにない北国の山の手で、大消費地の近くでもあるような地域に。

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 Anne O. Krueger 記者による2022-7-28記事「Sri Lanka debt crisis is a lesson for all countries」。
    10年前、スリランカの経済はめっちゃ調子よかった。成長率6.5%は世界一だった。それを緩慢な人口増加率の中で達成していた。2019においてもなお成長率は3%を越えていた。

 ところが2019年に政権交替が起きた。この政権は大規模な減税を打ち出した。
 結果はすみやかにあらわれた。2020と2021の政府予算は大赤字。その額はGDPの10%以上だった。
 それまでずっと5%だったインフレ率が、5月には39.1%、7月には54.6%になった。

 追い討ちをかけたのが、2021春に発表した「肥料輸入の禁止」。
 そんなことをしたらコメの収量は20%減るし、茶の輸出も激減するのに。

 新コロのおかげで、海外からの観光客も絶えた。これもあって、同国は外貨が用意できなくなってしまい、必要なものを輸入できなくなった。

 2021年末にはこの国は経済的に終わっていた。5月、デフォルト宣言。

 破綻の淵から立ち戻り、まともな安定成長ができるようになっている先例がある。2002年以降のブラジルだ。IMFに言われる前にやらなくてはいけない「痛い改革」をさっさとやれ。ブラジルを見本にせよ。それ以外に、抜け出す道はないのだ。

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 Sasa Dragojlo 記者による2022-7-26記事「Crashed Plane was Flying Arms for Polish-Owned Bosnian Company」。
   7-17にギリシャ国内のカヴァラ市に墜落した、ソ連時代の古い輸送機「アントノフ12」。乗っていた8人が死亡した。積荷は、セルビア製の兵器だった。行き先はバングラデシュ。その商談をまとめたのは、ボスニアに拠点を置く、ポーランド資本のの武器商社「メタレクスポルト-S」であった。

 積荷は11.5トンあった。セルビア製の弾薬。

 最終的な書い手はバングラデシュ国防省。
 弾薬はサラエボで搭載された。サラエボには、「メタレクスポルトS」の子会社の「BA メタレクスポルト」がある。

 このアントノフ機の運航会社が「メリディアン」というウクライナの企業であったことから、仕向け地はウクライナだったのではないかと人々は思った。しかし、違うという。

 この弾薬売買の商談は2021年にまとまっていたのだ。つまり今次ウクライナ戦争が始まる前。

 弾薬の詳細。60ミリの訓練用の迫撃砲弾。82ミリの訓練用迫撃砲弾。82ミリの照明弾の迫撃砲弾。

 この弾薬の工場出荷価格は60万2790ドル。
 このような小口の荷物を飛行機でバングラデシュまで運ぼうとしたのには合理性がある。今、欧州からコンテナ1個をバングラまで海送すると、15万ユーロもかかってしまうのだ。そんなカネはバングラには無い。小型輸送機で運べるなら、バングラにも払える運賃でおさまるのだ。

 墜落した機体は製造されてから50年も経ていた古いものだった。1973年以降は製造されていない型式である。
 墜落パイロットからの無線連絡によると、双発エンジンのうち1基が火災になったらしい。そして、緊急着陸は、間に合わなかった。

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 AFPの2022-7-27記事「Bangladesh to buy Turkey’s Bayraktar TB2 combat drone」。
   バングラデシュの新聞が報じたところによると、バングラ陸軍は「TB2」を買おうとしている。

 トルコとバングラは1981年から軍事協力関係あり。これまで装甲車、野砲の弾薬、多連装ロケット砲などを売っている。

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 Defense Express の2022-7-29記事「Military Expert Explained Why russians Failed With Their “Terminator” Tank Support Vehicles」。
    ロシアが持ち込んだ10両の「ターミネイター」は、けっきょく、うまく働かなかった。
 その理由を、元戦車隊教官であった、ウクライナ軍の予備役中佐が解説する。

 基本コンセプトが悪い。1人のガナーが、2種類の自動火器を担当する仕組みなのである。これでは七つ道具の持ち腐れだ。しかも、射撃中には弾種の変更ができない。すなわち、徹甲弾とHE弾の切り替えが不可能なのだ。

 これならBMP-2のほうがよっぽど便利である。その自動火器は、AP弾と榴弾をワンタッチできりかえられるから。

 というわけで多くの「ターミネイター」が宇軍の砲撃で損傷したのを理由にはるか後方の整備工場まで戻されたようである。前線の兵隊は、BMP-2を選好し、「ターミネイター」にはダメ出ししたという格好だ。

 ※雑報によるとマケドニアからT-72がウクライナへ搬入されつつある。同国は30両弱を保有しているが、ぜんぶくれてやる気だろう。

 ※SNSに興味深い動画がUpされた。道路から100mくらい離れた畑の中から地雷が、路上の数十m虚空へ飛び上がって、その弾道飛行の途中で自己鍛造弾を下向きに射出。道路を通過走行中の露助のAPCがみごとに天板を貫かれている。なんという兵器なのか、まだ名前が出ていない。

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 2022-7-28記事「Boots complete drone delivery of prescription medicines in UK first」。
   英国の無人機ベンチャー「ブーツ社」。このたび、処方医薬品を届ける無人機の飛行テストを、ポーツマスからワイト島まで、成功させた。

 より正確には、ポーツマス軍港のすぐ近くの海岸にある陸軍のベイカー駐屯地から離陸した。そしてワイト島のセントメリー病院に着陸した。

 このUAVは電動で、離着陸は4軸串形ローターを使って垂直に行ない、途中の巡航はプッシャープロペラを回して主翼の揚力で飛ぶ。最大離陸重量85kg。ペイロードは20kgである。

 ※まさに敵地の鉄道線路内に磁気地雷を置くために設計されたような機体ではないか! ……と思ったら、ポーツマスとワイト島は目と鼻の先だ。しかし、カーゴベイ内に「燃料電池」を予備バッテリーとして搭載し、飛ぶほどにそれは軽くなるようにし、地雷の積荷を10kgに制限すれば、敵地内に80kmくらいも入ってまた帰って来られるのではないか?

 この機体を設計した会社は「スカイリフト」社という。

 ※別記事でたしかめたら、ワイト島までの飛行時間は30分だった由。


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