最新の ★《続・読書余論》は、ブリチェット著『アメリカ憲法入門』1972年刊・ほか です。

 《note》 https://note.com/187326mg/  を ごらんください。

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 Defense Express の2022-7-31記事「Why russians Squirm Insede the T-72B3 and Abandon Them on Battlefield so Often」。
  露軍はすでに250両以上の「T-72B3」をうしなっている。そのなかには2011年型と2016年型が混ざっている。
 また100両以上は、半壊か無傷の状態でウクライナ軍に鹵獲されている。

 ふたたび、元戦車教官のミコラ・サラマハ退役中佐に語ってもらおう。

 2016年型はマイナーチェンジされているのだが、砲塔内部のレイアウトに手をつけてない。これが欠陥のおおもとなのだと中佐は言う。

 2011年型では、「TPN-1」という古い夜間用照準器が、主照準器の左側についていた。
 その夜間用照準器が、2016年型では、「ベラルーシ=フランス」製の「Sosna-U」という新型に置換されている。

 T-72の正面写真で見ると、砲塔のむかって右側がガナー席になるが、その頭上、よりセンター寄りに小さい窓付きボックス、より右寄りに大きな窓付きボックスが並んで載っている(さらに隣の右端には可視光サーチライト)。この大きい箱がサーマルサイトなのだ。

 この製品は性能は良いのだが、取り付け位置がぜんぜんよくない。ガナーは、戦場、とくに後方を広く見渡すのと、照準をつけるのとを、同じ表示装置を覗きながら切り替えられない。

 なにしろ、主照準器の「1A40」は、アナログなのだ。それとデジタルの「Sosna-U」はひとつのモニター画面には同居させられない。

 またウクライナ兵が、遺棄された露軍のT-72の車内を捜索しても、テクニカルマニュアルが出てこない。現代兵器の細かいところをマニュアル無しで全部頭の中に入れられるわけがない。

 T-72B3は、主砲を2発射つのに、インターバル時間が20秒から25秒かかる。
 それに対してT-64BVやT-80は、30秒あれば3発射撃可能である。

 おそらく未教育の戦車兵たちは、じぶんが乗っているT-72を戦場に遺棄して逃げ出すチャンスを、待ち構えているのだろう。わずかな被弾・不具合などのきっかけで、彼らは、T-72を捨ててしまう。これさいわいと、鉄の棺桶から逃れ去るのである。

 ※雑報によると、生きて虜囚の辱めを受けることを選んだ結果として案の定、50人ばかり皆殺しにされて拷問の証拠を隠滅されてしまったアゾフ大隊の収容所の爆破跡を見れば、側壁に破片の穴がないので、ロケット弾が落ちたというのはロシアの大嘘であるのは確定した。では何を使ったかだが、気化爆薬の類ではなかろうか。チェチェンの市街戦でビル攻略に昔から用いているので。

 ※SNSに、ウクライナ兵が長い竿を振り下ろし、非舗装の路上に散布されたロシア製の蝶々地雷(PFM-1)を叩いて爆破処理している動画が出た。破片についてはまったく心配する必要がないらしい。

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 Defense Express の 2022-7-31 記事「The Future of Ukraine’s T-64 Tanks, How Many of Them Remain In Service」。
   いま、ウクライナ陸軍はT-64BVを600両ほど維持している。この戦車戦力は今後、2個の戦車旅団に集めるか、古い「機械化歩兵旅団」に分属させるか、どちらかだ。

 ミコラ・サラマハ退役中佐いわく。この戦争はあと半年か1年続くだろう。T-64BVは2017年に近代化工事されたものなので、まだ寿命がある。さらに改修されて、あと10年か15年は現役だろう。

 しかし、戦後はチェコ共和国と、ウクライナ軍用の戦車の生産に関して協力することが望まれる。
 というのもウクライナ人は新AFVを独自に設計することはできても、それを製造するアセットが当分は足りないからだ。

 以下、付表の数値紹介。

 2-24開戦前、ウクライナ軍の戦車戦力は……。
 T-64 BV/BM ×620両。
 T-64 BM BULAT ×100両。
 T-72 A/M ×133両。
 T-80 BV ×34両。
 T-84 OPLOT ×5両。

 これらの戦車のうち400両をすでに損耗。かわりに露軍からT-72×186両鹵獲。友邦から300両貰い。T-80を露軍から60両鹵獲している。

 2-24開戦前、ウクライナ軍の装甲車戦力は……。
 BMP-1 ×213両。
 BMP-2 ×890両。
 BMD ×105両。
 MT-LB ×45両。
 BTR-80 ×102両。
 BTR-70 ×215両。
 BTR-3 ×60両。
 BTR-4 ×105両。
 BRDM ×432両。

 これらの装甲車のうち1300両をすでに損耗。かわりに露軍からBMP-1を30両鹵獲、友邦から100両貰い。BMP-2を露軍から70両鹵獲。BMDを露軍から100両鹵獲。BTR-80を露軍から50両鹵獲、友邦からは35両貰い。M-113 を友邦から316両貰い。

 ※どなたか『物質文化』という学術雑誌の54号をお持ちではないでしょうか? 1990年か91年の刊行物です。その中に日本の中世の鏃の金属素材について書かれている記事があるそうなのですが、そのコピーを見たい。


★《続・読書余論》 ブリチェット著『アメリカ憲法入門』1972年刊・ほか