最新の ★《続・読書余論》は、 小林幸雄著『図説イングランド海軍の歴史』2007年刊・ほか です。

 《note》 https://note.com/187326mg/  を ご覧ください。

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 Andreas Kluth 記者による2022-8-4記事「Don’t Let License Plates Start a New War」。
   アレクサンダル・ヴチチ大統領は《セルビアのプーチン》と呼ばれている。じっさい、プーチンの舎弟のようにふるまっている。このたび隣国コソヴォと戦争再開するかのような緊張を演出して、苦境のプーチンを援護射撃した。つまり世界の関心をバルカン半島へ移してやろうというわけだ。

 ここで戦争が再開された場合、NATOはコソヴォの側に立ち、ロシアと中共はスラブ系(且つギリシャ正教会)のセルビアに味方する。

 1990年代、セルビアの独裁者ミロシェヴィッチは、イスラム教徒が多いボスニア国内のセルビア人を助けるという名目で軍事介入。と同時に、当時はセルビア領の一部であったコソヴォに住む多数派のアルバニア人をエスニッククレンジングしようとした。
 NATOがセルビア空爆に踏み切ったのは1999であった。

 ミロシェヴィッチは国連により戦犯裁判にかけられてジェノサイドの罪で死刑になるはずだったが、裁判が結審する前に獄死した。

 NATOの平和維持軍は今もコソヴォに駐留中である。

 そして今、セルビア人の「三分の二」が、ロシアのウクライナ侵略を支持している。

 コソヴォがセルビアから分離独立すると宣言したのは2008だが、セルビアはそれを承認せず、却ってコソヴォと西側の連絡を遮断しようとした。

 セルビアがロシアと異なるのは、EU加盟を望んでいることだ。
 しかしEUには独自の規定がある。公然と領土係争しているような国の加盟は無理である。

 コソヴォ国内に住むセルビア系住民は、セルビア政府が発給するIDカードと自動車ナンバプレートを使ってきた。コソヴォ政府は、新法を立て、それらを、コソヴォ政府が発給するものに切り替えさせようと考えている。
 これにセルビアが怒って、また戦争を始めようとしているのである。

 ロシアはすかさず宣伝で加勢し、コソヴォ政府はセルビア人を虐殺しようとしているぞ、と煽っている。
 セルビア議会内では一議員が、こうなったらセルビア軍がバルカン半島を「非ナチ化」する戦争を開始しなくてはなるまい、と叫んだ。まさにプーチンのレトリックだ。

 欧米の助言により、コソヴォ政府は、自動車ナンバーの切替えの件は9月まで延期すると表明した。
 しかし発砲を伴う暴動は、もう起こっている。

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 The War Zone の 2022-8-4記事「Rare Russian ICBM Carrier Training Vehicle Had A Nasty Accident」。
    露軍には、「トポル」ICBMの運搬発射台トラック「MAZ-7917」の《教習車》がある。ダミーのミサイルを搭載して路上教習するのだが、そこで一般車両と交通事故を起こした現場写真がSNSに出ている。

 ちなみにダミー・ミサイルは《水タンク》構造になっていて、中味は大量の水、もしくは砂である。

 露軍はBMSという、もっと洗練された教習用トラックも作っている。こちらは「重回収車」の機能も兼備する。

 教習車の全重データはない。しかしシャシであるMAZ-7917は、それだけで33トンある。全長は19m、旋回半径は27mという。

 交通事故の詳細は不明なるも、おそらくは、乗用車は先に他の何かと接触事故を起こし、そのはずみで《教習車》の正面に飛び出し、教習車と正面衝突して止まったのであろう。

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 日本国内用のドローン操縦訓練&射爆訓練ができる「フライト・シミュレーター」が開発されるべきだ。地方在住者は奮起せよ! そしてわたしを副社長にしてください。

 日本の通産省の役人は、日本国内から《DJI》のような世界的企業を生み出す方法をまったく考えることができない。まあ、考えることができるくらいならじぶんで起業しているであろうから、それはある意味、尤もである。

 ところでわが国の近未来の防衛を考えるときに、誰も自由にドローンを飛ばせない日本の法環境ははなはだ不利である。
 ガチガチのドローン規制のために、操縦経験者の裾野が広がらず、この分野を得意とするソフトウェア開発者が生まれない。
 それでは、将来の有事のさいに友邦からドローンの現物を援助してもらったとしても、誰も使いこなせないし、今ウクライナの民兵がやっているような、「爆撃機への改造」など思いもよらないではないか。

 そしてわたしが提唱する「ドローンによる敵後方兵站妨害」戦術も、わが国に関しては構想倒れに終わってしまうであろう。敵国だけが実践するようになるであろう。

 それではいけないから、バーチャルな「ゲーム」によって環境を一変させるべきだ。
 VRのシミュレーターでいいのだ。
 現実の日本そっくりの《仮想空間》の中で、ハイブリッド・ドローンを操縦し、高架線にかからないように夜間に鉄道線路上に磁気地雷を敷設して、また戻ってくる。

 あるいは敵のAFVや塹壕陣地に改造爆弾を投下する。

 これをリアルに誰でも《練習》できるようなソフトウェアは、できるはずである。現実世界で実機さえ飛ばさなければいいのだ。
 もちろん、実際に入手可能なドローンのスペックと応答性を、仮想空間内でも再現しなければならない。起き得る通信障害もできるだけ本物らしく再現できることが望まれる。

 だが、最初は、チャチなものでいいのだ。昔のワイヤーフレーム「なんちゃって3D」式の。

 そこからスタートしておいて、だんだんに流行らせて行けばいい。天象、地形、植生、すべてにおいて、みんなで、そのディテールを補正し、充実させ、数年で大成させればいい。

 このようなプロジェクトなら、田舎に住んでいるプログラマーでも参画ができる。それで儲ける方法も考えようじゃないですか!


★《続・読書余論》 小林幸雄著『図説イングランド海軍の歴史』2007年刊・ほか