クリミアの飛行場を一掃したのはイスラエル製のSSMではないのか?

 トルコが盟邦のアゼルバイジャンからLORAシリーズをこっそり入手し、そのままこっそりとウクライナ軍に渡したとしたら?
 イスラエルとしては困ってしまい「パルチザンの仕業だ」説を流布するしかないだろう。

 クリミアに露海軍が居座ることはトルコにとっても不快だから、動機は十分だ。エルドアンもいまやウクライナに肩入れしていることを隠さなくなった。トルコ製の装輪装甲車がとっくに宇軍に引き渡されている。そもそもNATOだし。

 クリミア半島からは傀儡市長とその補佐たちが次々に露本土へ脱出を始めている。これも、トルコの旗幟が鮮明になったからかもしれない。

 ただし、パルチザン説でもストーリーは成立する。飛行場を時限爆弾でコマンドー攻撃できるほどなら、傀儡市町に対する自動車テロも実行容易だから。

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 SOFREP の2022-8-18記事「Chinese Drone Maker DJI is Equipping Both Ukraine and Russia」。
   市販のDJI製品はいまや、ウクライナ軍とロシア軍の双方によって、大量に、活用されている。
 ウクライナ軍は、軽量機として「Mavic 3」を使い、重量級の仕事は「Matrice」シリーズにさせている。

 ドンバス戦区では、歩兵小隊も住民も、ドローンによる情報収集を24時間、途切れなく、続けている。もしも10分間ぼんやりしていると、状況は急変して、たいへんなことになってしまいかねないからだ。

 ドローンは、敵から奇襲を喰わないための、命綱なのである。

 あらゆる伝手をたよって、ドローン資材は入手されている。

 ロシア陸軍のユーリ・バルイェフスキー将軍は、「Mavic」クォッドコプターがピンポイントの正確さを有している、とベタ褒め。それは現代戦のシンボルだとまで持ち上げている。在北京のロシア大使館がこの将軍の発言をわざわざ「ウェイボ」に投稿したが、それは現在は消されている。おそらくDJI社に向けて露政府として秋波を送っているのだ。大量に売ってくれ、と。

 これに対してウクライナの副首相にして、デジタル改革大臣でもあるミハイロ・フェドロフは、DJI社への公開書簡を(ツイッターで)発している。わが国を侵略中の鬼畜外道軍に対して「武器」を渡したりせんでしょうな? と。

 DJI社も素早く反応している。当社の製品はすべて民生品であって、軍用スペックではございません、と。

 すべてのDJI製品には「アエロスコープ」というソフトがビルトインされており、ユーザーはこれを外すことはできない。このソフトによってDJI社はユーザーからデータを収集できる。

 しかしDJI社によると、ユーザーが誰なのか、そのユーザーがどこに居るのかまでは、社としては知り得ないことだという。操縦者のリアルタイムの所在地情報を、ロシア人は欲しがっているのだが、そんなデータはないのだと、CEOのフランク・ワンは「Guancha」の取材記者に対して強調している。

 欧州最大の家電小売チェーンの「メディアマーケット」は、このたび、DJI商品の取り扱いを止めた。理由は説明されていないが、ロシアの協力者がそこからクォッドコプターを調達する工作を阻止するためだと人々は想像している。
 それはDJI社の意向にも合致する。同社にとっては、優良民生品メーカーというブランドイメージが西側で商売を継続するための至高価値になっているのだ。

 米財務省は、「Megvii」や「センスタイム」とともにDJI社もブラックリストに載せている。新疆地区でのムスリム住民弾圧に、商品によって協力しているというので。
 玩具メーカー兼、映画の撮影道具メーカーとして大発展してきたDJI社としては、米政府から制裁をかけられるのがいちばん不本意な最悪事態だといえる。

 クォッドコプターが着陸した場所から30m以内に、その操縦者がいると考えて可い。その位置データがリアルタイムで露軍に通知されでもしたら、ウクライナ軍は大困りだ。

 「アエロスコープ」は、近くで誰か別人がDJIドローンを飛ばしていると、それを操縦者に教えてくれるという機能を備えているのだが、ウクライナではインターネットの環境が悪いため、それは機能していないと、DJI社では説明している。

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 カミル・グリーフ氏の2022-8-18記事。
   一般のロシア人たちの海外旅行をできるだけ不自由にしてやることは、現下、とても良いことだ。海外旅行できるロシア人は、ロシア国内でも一定の政治的な発言力を持っている。その集団に、経済がうまくいっていないと自覚させることが、ロシア国内改革の第一歩となるからだ。

 ……と同時に、20代以下の若いロシア青年が、ロシアを捨てて永久国外逃亡できるような「グリーン回廊」を西側世界が準備してやることは、もっと高踏な大戦略として、有望なのである。ウクライナ政府がこの心理戦略を組み立てられていないことは、残念なことだ。

 なぜロシア兵の大量投降が無いか? そのあとの「帰国」のことを考えれば憂鬱になるからだ。彼らはロシアには戻りたくないのである。その保証をウクライナ政府が与えようとしないのが、阿呆すぎる。

 「ウクライナで投降して捕虜になれば、この戦争が完全に終るまでロシアには帰国させないし、戦死したということにして、密かに西欧以外の第三国地域へ逃亡する手助けをしてやってもいいぞ」と謳う伝単を撒け。

 これで露軍は崩壊する。もちろん全員が投降することなどない。ホンの一部だ。だがその少数の者たちが投降して別IDを得て南米やアフリカであたらしい人生を送っているぞという事実が知れ渡ったときに、露軍内の「団結」はもはや維持できない。

 ロシアは現代まで残っている「植民地帝国」だ。ロシア域内の少数民族自治区は実質、ロシアの植民地である。これをすべて独立させることが、世界のためになる。それをしないかぎり、ロシアは何度でも世界の平和破壊者として復活するだろう。

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 ストラテジーペイジの2022-8-19記事。
  露軍の戦車小隊長が、麾下小隊のいくつかの戦車に、最初から乗員を2名しか乗せていないケースが観察されている。※つまりドライバーと車長だけ。

 露軍の戦車兵は、わずかでも被弾した戦車内には絶対にとどまらない。すぐ車両を放棄する。

 そこで、2名しか乗せていない戦車は、そんな、自車を放棄して徒歩になった小隊僚車クルーのうちの1人が、逃げ込むためのスペースをあらかじめ、空けてやっているのかもしれない。そういう「リザーブ席あり」の戦車が3両あれば、3人収容できるわけである。

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 Defense Express の2022-8-18記事「Data on Production Rate of Onyx Missiles russia Uses for Strikes on Ukraine Disclosed」。
    ロシアは「Onyx」のような超音速巡航ミサイルを、2週間に1本しか製造する能力はない。したがって、いま、オデーサ市の市街などに向けて発射されているペースで超音速巡航ミサイルを発射し続けることは、できない。撃てば撃つほど、露軍の弾庫は空っけつに近づき、それが元通りに補充されることは決してない。

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 Defense Express の2022-8-19記事「What Is the ICEYE Satellite Purchased With Bayraktar TB2 Funds and Why it Really Makes a Difference」。
  TB2を買いなさいよ、と集めてくれた醵金をバイカル社が受け取らなかったので、ウクライナ政府は有り難く、その義捐金で、あらためて、衛星写真を買うことに決めた。

 フィンランド企業が周回させている「ICEYE」偵察衛星群。SARなので全天候。傾斜角97.7度で21機が回っている。この写真が買えるということはつまり、契約ユーザーは、半日も待つことなく、露軍基地が正確に爆破されたかどうかを、戦果判定することができるわけだ。

 いまや事実上、ウクライナ軍は、偵察衛星を持ったと同じことになった。衛星写真を自由に、随意・随時に取得できるのである。

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 Joseph Trevithick, Oliver Parken, Tyler Rogoway 記者による2022-8-18記事「China Shows Off Gyrocopters Armed With Anti-Tank Missiles」。
   CCTVの解放軍宣伝ニュースに、新顔が登場した。2人乗りの「ジャイロコプター」である。対戦車ミサイルらしきものを4発、吊るし、その照準用とおぼしい、ボールマウント(チンターレット状)まで付いている。

 陝西省にあるこのメーカーは、2014-8にプロトタイプを中共軍に提案している。当時はまだATGMは発射できず、小型爆弾を投下できるだけのものであった。しかし2019のパレードでは人目に曝している。軍は確かにこれを採用したのである。

 この複座ジャイロコプター、航続距離は250マイルだという。最大離陸重量は1235ポンド。
 そして支那軍は、インド国境でこれを対戦車任務機に使えないか、検討中であるという。

 武警もジャイロコプターを採用していることが分かっている。安価で手軽な監視手段になるのだろう。

 ※この複座ジャイロコプターには有望な用途がある。アゾフスターリ鉄工所バンカーのような、重囲に陥った味方拠点から、負傷兵を1名ずつ搬出して来るのに使えるだろう。後席を操縦席、前席を患者席とし、その患者席はカプセル構造にし、万一復路の途中で墜落するしかなくなった場合には、そのカプセルを機体から分離して安全に放出できるようにすればよい。なぜ前席かというと、もしプッシャー配置のガソリンエンジンが発火して患者を焦がしてしまったら申し訳なさすぎるからだ(モーターパラグライダーではこのような事故がある)。パイロットならしょうがないが。

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 『エコノミクス』の2022-8-17記事「Armies are re-learning how to fight in cities」。
   マリウポリ市は露軍から7週間、砲爆撃を受け続けた。市長ドゥミトロ・クレバによると、1300棟の多層階ビルが、破壊されたそうである。衛星写真によっても、市街の半分が酷く損壊させられていることが確認できる。2-24前には人口40万人だったこの都市は、今ではその25%未満の住民しか、残っていない

 ※開戦直後に市街戦マニュアルをドヤ顔で発表したイラク帰りの米軍退役将校。まったく役に立たぬにも程があった。詳しいことは10月刊行予定の拙著で語るから、それを待っていてくれ。

 ※雑報によると、ロシアの戦車競技会に乗り込んだ中共製のMBTが、高速走行中に左側第一転輪がボッキリとアームから折れて外れてしまった。

 ※ドイツは、十五榴の砲身から発射することができるサボ弾「VULCANO」というのを持っている。自走砲の「PzH2000」だけでなく、イタリアがウクライナにくれてやった古い「FH-70」でも発射することが可能で、レンジはなんと70kmだという。この砲弾もウクライナに供給することが決まった。