思い出そう。プーチンは99年にロシアの4都市でFSBにアパートを爆破させ、自国民を殺し、それを口実にしてチェチェン戦争を再開した。大成功だった。

 そしてその秘密を知るFSB職員がロンドンに逃げると、そいつもVXで毒殺しようとした。

 頭のおかしくなった老人が、過去の成功をもう一度、と考えるのは不自然だろうか?

 とうぜんドュギンはこの「ファルス・フラッグ」を連想した。独裁者に尽くしてやったのに、却って使い捨ての駒にされた可能性があるのだ。心臓麻痺に陥ったとしても無理なかろう。

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 Amber Wang 記者による2020-8-22記事「Chinese military rockets used in live-fire drills around Taiwan may change face of war, observers say」。
   今回の中共軍のミサイル演習は、中共製の「終末誘導ロケット弾」の有望性を示した。これはSSMよりずっと安い。しかも精度が十分だとわかった。

 CCTVもさかんに動画で宣伝している。
 注目されるのは、PCL-191という、多連装ロケット砲。

 2019の軍事パレードで初めてお披露目されたもので、径37センチのロケット弾ならば8連射できる。この場合のレンジは350km。
 そしてその同じランチャーから、2発の、径75センチの「火龍480」戦術弾道ミサイルも発射することができる。こちらのレンジは500kmだ。

 PCL-191を最初に装備した部隊は、台湾の対岸に布陣する「第74砲兵群」で、2021年のこと。この時点では、まったく同じ車体から、径30センチのロケット弾を10連射できるようにもなっていた。

 これら、終末誘導式のロケット弾は、製造コストが、旧来のSSMの三分の一だという。

 PCL-191は、台湾本島内の飛行場を火制する主役となるであろう。

 ※だいたい射程が330kmくらいあれば、福建省の海岸から、台湾東部海岸まで届いてしまう。プラス20kmあれば、発射地点はもう思いのままだ。まさにそのスペックを狙って開発されているものだろう。

 ※そして、支那本土東岸から、尖閣の魚釣島までの距離も、330km。陸幕が長年、長距離ロケット砲ではなく、何の役にも立たない2種類の自走砲の開発などに有限資源をすっかり無駄遣いしてしまった結果として、今日、南西方面ではわが国が圧倒的に不利な態勢に陥ったのである。その責任を誰も取っていない。これを一行も批判できぬ《保守》メディアは、なかば《共犯者》のようなものだろう。

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 Defense Express の2022-8-22記事「When Will Ukraine Get the Anti-Tank Loitering Munition Switchblade 600」。
    いったい「スイッチブレード600」は、いつになったらウクライナへ届けられるんだ?
 なんと、あと30日しないと、さいしょの10発もペンタゴンに納品されぬそうである。そこからウクライナ軍の手に渡るのは、もっと先の話だ。

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 Patrick Benham-Crosswell 記者による2022-8-5記事「Deleting Warrior saves lives: APCs vs IFVs」。
    英陸軍は、ウォリアーIFVのアップグレード予算の要求を引っ込め、装軌IFVのリプレイスを、装輪のボクサーAPCにさせることに決めた。

 「ウォリアー」は米陸軍の「M2 ブラドリー」の同類だが、お客の歩兵が車内から小銃で射撃できるようなポートはひとつもついていない。砲塔は2人用。

 ウォリアーの機関砲の俯角は、マイナス8度。これは、距離20m以上あるなら、敵歩兵の籠もる塹壕を火制できる可能性があることを意味する。
 ぎゃくにいうと、敵兵がまだ中で生き残っているかもしれない散兵壕や陣地帯に、ウォリアーは20m以内に近づくわけにはいかない。前進を遠慮しなければならない。だったら何のための高額な砲塔なのだ?

 IFVの「有人砲塔」はすべてにおいて中途半端で、しかも異常な金喰い虫であった。
 安価なAPCにRWS(リモコン銃塔)を載せておくのが、これからは正しいのだ。

 APCは、行動を逆に消極化させてしまう高額な有人砲塔などがついていないおかげで、オールラウンドプレイヤーなのだ。必要な火力支援を他から得つつ、大胆に敵に向かって前進できる。

 APCは、もし敵MBTに遭遇したら、発煙してとっとと後退すればいい。IFVは、なまじいに対戦車交戦能力が付与されているおかげで、そのシンプルな判断ができない。こちらからは敵のすべてが見えているわけじゃない。こっちがATGMの発射準備をしている間に、別な敵のMBTから主砲で撃たれたら、敵の戦車砲弾の方が一瞬早く、こっちに届いてしまう。

 イスラエル軍には、ブラドリーのようなIFVは無い。米国から貰おうとしたこともない。彼らの結論は「ナメル」APCだ。そこにはトロフィーAPS(ミサイル自衛システム)だけが載っており、有人砲塔など無いのだ。