「安全窓」の改造工事が間に合わないうちは、バスの車体外側後端部に、蓋付きのモニターをつけ、いつでも車内天井設置カメラの映像を外部からチェックできるようにするのがよい。

 テレビドアホンと全く同じ機能だから、いくらもかからないだろう。当然、音声聴取&交話もできるわけ。

 昔、TV映画の『コンバット』の「丘は血に染まった」の中で、歩兵がシャーマン戦車の車体後部の電話機を取り上げて、車内の車長と交話する、あのシーンを思い出そう。「来てくれて助かったぜ」「どこでもそう言われるよ」。

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 Rob Lee 記者による2022-9-6記事「The Tank Is Not Obsolete, and Other Observations About the Future of Combat」。
   露軍のT-72とT-90は、ディーゼルエンジンである。
 T-80は、ガスタービンエンジンである。これは極寒環境では使い易いのだという。

 いま、戦地では、T-80の遺棄率が高い。これはおそらくエンジンの燃費の悪さに問題がある。燃料を喰いすぎるのと、油種が灯油系で入手しにくいためだろう。
 T-80には、U型と、BVM型がある。どちらもオリックスはカウントしている。なかんずくU型の方が遺棄率が高い。

 オリックスはナゴルノカラバフの統計も持っている。同戦争ではアルメニアは、255両の戦車を喪失した。うち146両は被弾破損である。そのうち83両は、TB2にやられた。

 ナゴルノカラバフでは、アルメニア砲兵は、開戦から1時間にして、その4割が、ロイタリングミュニションおよびTB2によって損耗させられたという。

 ロシア人は気付きつつある。T-72を重APCに改造した「BMO-T」が、これからは必要なんだと。
 もはやBMPでは歩兵を守れないことは明白なので。

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 Jeff Schogol 記者による2022-9-5記事「The US military needs a lot more artillery shells, rockets, and missiles for the next war」。
    2-24以降、米国はウクライナ軍に対して、80万6000発の155ミリ砲弾、10万8000発の105mm砲弾を供給した。

 その他に、GMLRSが補給されているわけである。

 6月時点でウクライナ軍は、1日に6000発の榴弾を野砲から発射していた。これではとても兵站が持続不可能だというので、HIMARSの供与が急がれたわけである。

 1970年にカンボジアに攻め入った米陸軍は、2ヵ月間に58万発の野砲弾を射耗した。

 1916年のソンム会戦では、英軍砲兵は170万発の野砲弾を発射している。それも、たった3週間で。

 朝鮮戦争で、第8軍を率いた陸軍大将ジェームズ・ヴァン・フリートは、1日に1門の榴弾砲から発射して可い弾薬定数を、十倍に引き上げた。中共軍の人海突撃を破摧するためには、そのくらい必要だったのだ。

 結果、米陸軍砲兵は1日に1万4000発を発射した。それに対して支那軍は1日3400発がせいぜいだった。

 ※いわゆる「ヴァンフリート量」だが、質も大事である。このときは107mm迫撃砲弾にVT信管をつけたものが、著効を発揮したのだ。重迫は、歩兵部隊の重火器である。砲兵ではない。こうした論文の統計が、そこをどうカウントしているのかは、不明。

 マシュー・カンシアンは評する。教訓がある。いつの戦争であっても、将軍が事前に予期した以上に、かならず、弾薬は、必要になってしまう。そして最前線の指揮官が発射したいと思うだけの弾薬は、けっして、そこにあることはない。これから先も、そうなるはず。

 榴弾砲のタマは、常に、製造し続けている必要がある。というのは、155ミリ砲弾の貯蔵期限は、20年でしかないのだ。冷戦が終ってもう30年以上過ぎているから、西側諸国の弾薬庫の中には、使える砲弾がなくなってしまっている。これが大問題なのだ。

 ※北鮮の古い弾薬を最新の加農で発射したら腔発が起きると思うよ。その噂が走ると、砲兵たちは上層部には黙ってその弾薬を沼地に捨ててしまう。これはどこの国の砲兵でも同じ。だからウクライナ戦線が北鮮製弾薬で変化することはないと思う。

 ※SNSにすごいクォッドコプターの写真が出ている。宇軍が装備しているのだが、82ミリ迫撃砲弾と思われるものを、6発、いちどに吊るして飛べるらしい。わずか半年でここまで進化しちまった。

 ※次の段階は、鉄道破壊スペシャルの、低速の固定翼の片道自爆機だ。モノコックどころか、機体胴体の構造体じたいが、ぜんぶ「爆薬」でできているような、そんな「V-1号」もどきが、必要とされている。これなら、1トン爆弾と同じクレーターを、1トン未満の飛翔体によって、実現できるはず。

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 George Friedman 記者による2022-8-30記事「The German Weapons Shortage」。
   ドイツの外相は、ドイツはこれ以上ウクライナへは武器弾薬を贈れぬと示唆した。自国用の分が涸渇してしまうので。
 これは今次戦争の開戦と同時に認識されていた問題だった。ドイツだけでなくNATO諸国すべてがそうである。事前備蓄・事前整備が、不十分な水準で、放置されてきたのだ。

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 The Maritime Executive の2022-9-5記事「HMS Prince of Wales has “Significant Damage” Likely Requiring Dry Dock」。
    英空母『プリンスオブウェルズ』は8-27にポーツマス出港、カリブ海で米軍と合同訓練して4ヵ月後に戻るはずだった。だが出港直後から右舷のプロペラが回っていないように見えた。

 どうやら乾ドック入りして修理する必要のある大トラブルが起きてしまったようだ。
 右側の舵、スクリュー、シャフトすべてが損傷したらしい。

 英海軍は故障原因について一切、語らず。同艦は2019-12の就役いらい、故障が立て続いている。

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 Defense Express の2022-9-5 記事「What “High-Tech Decisions” Were Found Inside Modern Russian Weapons」。
   英国の独立系分析集団が、撃墜された露軍の巡航ミサイルの残骸から「基盤」を拾い集め、調べた結論。
 パーツは2000年代から1990年代の西側のチップのリサイクル品。
 したがって世代としては、ビデオゲーム機の「X360」に相当する――とのこと。

 これは「トルナドS」でも同じだった。

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 Michael Birnbaum 記者による2022-9-6記事「Heat pumps take off in coal-loving Poland amid Ukraine war」。
    電気で駆動するヒートポンプ。これがポーランド人にとっては、都市ガス(天然ガス)に代わる熱源の選択肢になっている。

 米国でウェストヴァジニアといえば石炭文化。同じような光景がポーランドにもある。

 家庭では、石炭ボイラーが、給湯と暖房に使われてきた。2021以前、それは徐々にガスに切り替わりつつあった。
 しかし今次戦争で一挙に流れが変わった。ロシアと縁切りすることの優先順位は、ポーランド人の脳内では、特に高いのだ。

 ポーランド国内での石炭価格は、前年の3倍になっている。そして全欧における天然ガスの価格は、10倍に値上がりした。

 ポーランド国内の産炭を、ポーランドの家庭内ボイラーで燃やす。これは、比較的にクリーンだったのである。ところが、ロシア産の石炭の方が安いものだから、いつのまにか、ポーランドは石炭の4割をもロシアに依存するようになっていた。これが、今、大反省されている。

 ポーランドの地元のヒートポンプ業者は宣伝する。電源となる電力は、太陽電池パネル基地で発電されているから、エコなのである、と。

 ワルシャワ空港近くに建設中の「ステイ・イン・ホテル」は、空調がすべてヒートポンプである。冷房も暖房も。

 ホテルの地下に28本の細い「井戸」を、地下165ヤードまで掘り下げている。冬は地中の方が暖かいので、その差熱をビル内にもってくる。熱を運搬する液体の流動のために、循環モーターを駆動する必要があり、したがって電力が要る。その一部は、屋上のソーラーパネルで発電する。

 化石燃料価格が暴騰しているおかけで、このヒートポンプ工事のための初期投資は、4年でモトが取れる見通しだ。これは、昨年までの計画見通しの半分である。