最近の写真から推定。ウクライナ空軍はいまや、「スホイ27」からもHARMを発射できるようになっている、と。

 Defense Express の2022-9-9記事「Ukraine Will Get RAAM System from USA」。
   木曜日に発表された米国からの追加援助品の中には、1000発の「RAAM」砲弾が含まれている。
 これは「遠隔対戦車地雷」の略で、155ミリ砲弾の中に対戦車地雷が9発、封入されていて、それが空中で弾尾から放出&散布される。

 この砲弾の最大到達距離は17.6km、最短使用距離は4kmである。発射する砲の型番は問わない。

 地雷の信管は磁気センサー連動である。そして9個の地雷のうちいくつかには「耐磁気攪乱」の装置がついている。太陽風磁気嵐などに反応しない。

 米軍の場合、この砲弾はADAM(エリア拒止型対人地雷、M67/M72)砲弾と混ぜて発射されることで最も効果を発揮する。自動無効化期間もADADMと同じ。すなわち、短いものはADAMの「M741」と同じ4時間だし、長いものはADAMの「M718」と同じ48時間である。

 ADAMは、155ミリ砲弾の中に、くさび形の対人地雷が36個、封入されているもの。地雷は上空600mからばら撒かれるが、その散開密度は三段階に事前指定できる。地面(これには舗装面は含まれない。舗装面に当たれば壊れてしまう)に達すると、地雷は、最大7本の線状のセンサー(トリップライン)を展開する。このセンサーは最長で20フィートある。信管が活性化したあとは、ごくわずかの振動に反応して起爆する。まず本体が地上から2m弱飛び上がり、兵隊の顔面くらいの高度で炸裂。破片は15フィートまで殺傷力がある。

 ※雑報によるとエストニアは、路傍に仕掛けるEFP=自己鍛造弾地雷「PK-14」をウクライナ軍に供給している。弾丸は真横に向かって飛び出し、距離50m先で、アーマー50mmを貫徹する。

 ※雑報によるとノルウェーは、地上設置発射型のヘルファイア×160と、ナイトビジョンをウクライナへ贈る。

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 Phoebe Grinter 記者による2022-9-8記事「Tethered Drone Kit Enables Unlimited Flight Time for DJI M30 Series」。
  ラスベガスの UAV Expo で、お披露目された。DJIの有線繋止型ミニドローンがすごい。

 有線ケーブル給電式でありながら、毎秒5mで水平飛行しても、極細ケーブルが切れることはない。この独特のワイヤー捌き技術を、「V-Line Pro」という会社が開発したのだが、それをそっくり「キット」として付属させた。

 100m上空から、ひとばんじゅうでも、1万2000ルーメンの投光を続けることができる。1点を照らすサーチライトモードにすれば2万ルーメン。

 災害現場などに、救助隊員1名がこのドローンを携行して到着すれば、大型投光車や投光ヘリの応援を待つことなく、即時に現場を明るくできる。

 ※デジタル後進国の日本では軍用のマルチコプター型ドローンはテーザー式がいいのだ――という主張をわたしは2018年からしてきたが、これでもう外国と競える目はなくなった。ダメなやつには何を言っても無駄。たぶん鉄道妨害用システムもどこかの外国軍が先に完成するだろう。

 ※Kitという単語を見てひらめいたのだが、日本の玩具メーカーは、バラバラのドローン部品を箱詰めして売り、買い手が、それをプラモデルのように、じぶんで組み立てて完成させる流儀にしたら、人件費を削減できるから、商品に価格競争力が生ずるのではなかろうか? ちなみに米国では今「ゴースト・ガン」が大問題になっている。「グロック17」や「AR-15」のパチモンなのだが、何の犯歴チェックも受ける必要なく通販で注文ができてしまう。届いた箱の中にはバラバラの部品が入っていて、しかも肝腎の「フレーム」に穴あけ加工がしてない。このようにしておくことで、多くの州の法律上では、銃器の取締りの対象外となってしまうのだという。買い手は簡単に穴あけ加工することができる。それを組み立てれば「一丁あがり」。そしてなんと、すべてのパーツに、シリアルナンバーが打刻されていない。犯罪者たちは爾後はこれを使いなさいとけしかけているようなもんだ。

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 Che Pan 記者による2022-9-5記事「How this leading Taiwanese chip guru made an astonishing U-turn from avid mainland investor to China basher」。
  曹興誠=ロバート・ツァオは、台湾で二番目に大きな半導体メーカーUMCの創業者である。過去20年間、彼は中共のシンパであり、中共国内へ資金も技術も流し込み続けてきた。

 だが8月にとつぜん、曹は「反中共」の立場を表明した。
 「台湾が《第二の香港》に堕すような未来を、見たくない」と言って。

 曹は1947に大陸で生まれ、台湾で育ったという。
 台湾国立大学で電気工学の学士。1972に国立交通大学にて経営科学の修士。政府系研究機関に関わったあと、1980にUMCを起業した。

 いま、大陸で二番目に大きい半導体ファウンドリーが、蘇州の「和艦芯片制造」である。これを創ってやったのは、曹だったのだ。半導体製造に何のノウハウもなかった中共を、手取り足取り、ここまで大きくしてやったわけである。

 この利敵行為は当時の陳水扁政権を怒らせた。検察から起訴されたが、けっきょく、有耶無耶にされている。
 曹は2005にUMCの役職を退いた。そして2011には台湾国籍を放棄して、シンガポールに移住した。

 しかし2020年、曹は、台湾の雑誌『財訊』のインタビューで、大陸にチップ工場を建ててやったことを後悔している、と語った。

 米国系の「ラジオ自由アジア」の最近のインタビューによれば、曹の考えが変わったのは、2019-7-21夜に香港の港鉄道の「元朗」駅で白シャツの一団が市民を襲撃している映像を視たためであるという。

 中共最大のファウンドリーであるSMICを創ってやった別な阿呆な台湾人・蒋尚義(76)も、3月の加州のコンピュータ博物館のインタビューに答えて、いまや後悔していると語った。蒋は2013までTSMC(台湾集積回路製造)の共同最高執行責任者だった。