ウクライナの間接砲撃ソフトを使うと、口径100ミリの「MT-12」対戦車加農によっても、ボカージュ内のT-72を仕留めることができる。

 Isobel Koshiw, Lorenzo Tondo and Artem Mazhulin 記者による2022-9-10記事「Ukraine’s southern offensive ‘was designed to trick Russia’」。
    ウクライナの特殊部隊の旅団附公報将校が語った。まず「南部で攻勢をかける」というディスインフォメーションを流し、それを信じて露軍が兵力を南転させたところで、北東部に真の攻勢をかけ、うまく行っている、と。

 8-29にウクライナの南部戦区司令官が、いよいよヘルソン方面での攻勢を開始するぞとアナウンスした。

 ついで、南部戦区の司令部ではスポークスマンが、一時的な取材協力拒否を宣言し、ジャーナリストたちがヘルソン戦線に近づくことを禁じた。

 こうした芝居は半年以上前から周到に書かれていたシナリオだった。

 露軍が有力装備をヘルソン州に輸送するあいだ、ウクライナ軍は西側供与の有力装備をすべて東部に集中していた。

 露軍は正規軍部隊でハルキウの南東を守備している。そこは傭兵や地元徴兵には任せていない。

 ウクライナ政府の軍事専門家氏いわく、露軍の退却行動がへたくそなので驚いた。退却は1kmとか2kmとか、ちびちびとやるべきで、しかも敵が前進すればかならず損害を与えられるように工夫しながらするのが作戦参謀の智能の見せ所である。露軍にはそれがない。一挙に50kmも退却してしまうとは。

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 Defense Express の2022-9-11記事「Kadyrov Issued an Ultimatum to the Kremlin: Change the “Operation Strategy” Otherwise He Will “Clarify”」。
   カディロフがクレムリンに最後通牒をつきつけた。ショイグを馘にし、戦争のやり方を変えろ。さもなくば最前線で起きていることをじぶんが説明する、と。

 テレグラムというSNSに11分間のビデオメッセージを投稿し、国防相を名指し非難している。
 今日・明日じゅうに作戦を変えろ。それをしないならカディロフがクレムリンに乗り込み、最前線で起きている事態を政府首脳に説明する、と。

 ※ようするに「俺に全作戦の指揮を執らせろ。見ちゃおれんから。くだらぬ“再編成”はただちに止めろ。ショイグがプーチンに“仕事してます”とPRしているだけで、そのあげくに敗勢が止められんことはもうハッキリしているのだから」と言いたいわけだ。カディロフは、ポスト・プーチンの目が自分にあるとも確信しはじめたのだろう。それで急に、静養するとかなんとかぬかしていたのか。

 カディロフは、最前線の部隊指揮官たちからちょくせつに情報を得ていることを強調している。つまりじぶんはプロ将校団の意見を代表していると。

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 ストラテジーペイジの2022-9-11記事。
   空挺隊員パヴェル・フィラティエヴァは2-24から4月までウクライナ戦線に従軍し、片目が病気になって入院し、そこで141ページの本を書いた。タイトルは『ZOV』という(直訳すると a call になる由)。
 ちなみにロシアでは、たとえ本当のことでも、今次戦争について政府発表以外の「報道」をした者は誰でも刑務所へ送り込むという法律ができている。

 この隊員、5月に退院するや、すぐに原隊に戻りなさいと言われた。彼は志願兵であった。しかし彼は除隊を希望した。彼の部隊長は許可しなかった。

 しかも入院の記録を部隊がなくしてしまい、合法的除隊が難しくなった。

 腹を立てた彼は、自著を書き、それを8-1にロシア版のフェイスブックのようなSNSで発表した。
 彼の見るところ露軍はすでに負けているのである。

 モスクワ政府はこの空挺隊員を事実報道の罪で懲役15年にする意向を示した。国外に協力者があらわれ、彼は8月中旬、フランスで亡命を申請した。

 『ZOV』は内外で反響を呼んでいる。著者は内容を増補しつつある。また複数の外国語版訳が、編集されつつある。いずれ出版されるであろう。

 フィラティエヴァは2007年に徴兵され、入営後に「契約兵」(=志願兵)となり、2010年まで勤務し、任期満了除隊した。

 2021-8、彼は再入隊。ただちにクリミアに送られた。階級は軍曹。所属は第56空挺襲撃旅団。まさか大戦争が起きるとは思っていなかった。

 同部隊は、2022-2-24の開戦の1週間前に、実戦の準備をするように指示され、ヘルソン州の港湾〔巨大河川に面している都市という意味。ウクライナ東部の大都市はすべてこのタイプ〕を占領する作戦に投じられた。

 この出陣準備がまるで非組織的でしっちゃかめっちゃかだったという。
 将校たちは、じぶんの部隊が何をするのか、まるで知らされてはいなかったという。ただ、ウクライナ領土を奪うのだということだけが、伝えられていたという。

 ※ということは米英諜報組織は開戦の1週間前にはキエフ北郊空港の防備を万全にするようにゼレンスキーに助言できたわけだ。末端兵が知った開戦準備の話を、米英諜報機関が承知してないわけがない。

 開戦冒頭から、露軍は通信と補給に難点があることがハッキリしたという。

 著者の部隊はヘルソン市を難なく占領できた。そこではレジスタンスは見られなかった。ヘルソン市には1日いただけで、すぐに部隊はもうひとつの臨河都市であるミコライウの占領に向った。こんどは部隊は激しい抵抗に遭った。

 この作戦中に著者は眼病に罹ってクリミアの駐屯地まで後送されたのである。

 クリミアの病院にて著者は、他の負傷兵たちから、他の旅団ではもっと酷いことになっていた実態を聞かされた。

 彼はそれをメモに書きとめた。それが書籍の中核を成している。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-9-11記事「British parachute unit tested quadruped robotic dog’s potential」。
    英陸軍第23降下連隊は、「ロボット犬」を兵隊と一緒に降下させる戦術を考えている。
 メーカーは「ゴースト・ロボティクス社」で、製品名は「V60型四本足」という。

 このメーカーは2015年から複数のタイプのロボット犬を製造してきた。すべて、悪天候の中で行動できるように設計されている。

 ※雑報によるとバイカル社のウクライナ工場は、従業員300人規模になる。

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 2022-9-11記事「Bulgaria will Export Electricity in exchange for Natural Gas from Azerbaijan」。
   ブルガリアの経済工業大臣がバクーを訪れ、とりきめた。ブルガリアからアゼルバイジャンに余剰電力を売る。それによって、アゼルバイジャンは、自国内の天然ガス発電所の運転を抑制することができ、余ったガスをブルガリアへ売ることが可能になる。
 ブルガリアは、暖房用のガスが得られるので、助かる。

 パイプラインは10月1日につながる。

 ※大敗走の最中にある露軍は、くやしまぎれに、ハルキウ郊外の火力発電所を攻撃し、送電をストップさせた。ブラックアウトによって、ハルキウでは上水も止まっているという。

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 Defense Express の2022-9-11記事「Ukrainian SOF fighters in the Kharkiv Region Won an Interesting Trophy」。
   ウクライナ特殊部隊はハルキウ東郊にて、ロシアの最新式スマート対戦車地雷の未使用品を鹵獲した。
 これは「PTKM-1R」といい、戦車が50m以内に接近すると振動センサーが働いて本体が地面から空中にとびあがり、その戦車をトップアタックするというロボット兵器である。

 この地雷が実戦場に持ち出されていることは、こんかい、初めて判明した。

 この地雷が世界に初めて知られたのは2021-11のエジプトでの兵器見本市である。
 これに先行するモデルは米国の「M93 ホーネット」広域適用弾薬 である。そのコンセプトのパクリだ。

 全重は 15.9 kg。充填炸薬量は945グラム。HEATのライナーは「銅・タンタル」合金。

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 2022-9-11記事「Ukraine’s Intelligence Says russian Pilots Who Bombarded Ukraine Are Planning to Escape to South America Acting Like Nazis to Avoid International Justice」。
   ウクライナの都市空爆を実行したロシア空軍のパイロットたちは、敗戦後に国際戦犯裁判にかけられる危険について話し合っており、機会を見て、中南米へ逃亡して身を隠すという選択肢が真剣に検討されている。

 これはウクライナ国防省の情報部が把握した内情だ。