T-62が初めてウクライナ軍によって鹵獲された。SNSに写真が出た。

 Boyko Nikolov 記者による2022-9-12記事「Confirmed: 60-year-old ‘Syrian’ T-62 tanks are fighting in Ukraine」。
   7月24日にわれわれブルガリアメディアが推定したとおり、露軍のT-62は、タジキスタン、リビア、シリアからわざわざ引き揚げたシロモノであることが、確認された。ロシアのメディアが認めたのである。

 3年前、われわれは報道した。いま、ウラルヴァゴンザヴォド工場でT-62に増加装甲がほどこされているが、これはシリア戦線で露軍が使うための準備である、と。それが今、引き揚げられてきたのだ。

 T-62は1975まで製造が続けられ、トータルで2万2700両、量産された。

 米陸軍も「オプフォー」用にT-62を確保している。ただしエンジンはキャタピラーディーゼル社製に換装し、無線装備はすべて米式にしているが。

 T-62は「OKB-520」設計局が設計した。全重37トン。
 砲塔正面の装甲厚は214ミリ。砲塔側面は153ミリ。砲塔後面は97ミリ。砲塔天板は40ミリ。
 車体前面は102ミリ。車体上半分の側面は79ミリ。車体下半分の側面は15ミリ。車体背後面は46ミリ。底板は20ミリ。車体天板は31ミリ。

 エンジンはV-55、12気筒4サイクル水冷ディーゼルで、581馬力。

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 Defense Express の2022-9-14記事「Ukrainian Soldiers Seize Several Carriers with Capsules of Fifth Level Armor」。
   鹵獲された露軍の新装備のサンプル。またひとつ。
 「KamAZ-5350-379」という6×6の汎用トラックの荷台に、そのまま載せることができる、薄い装甲の「モジュール・カプセル」だ。「MM-501」という。トラックが安価なAPCに早変わりする。

 全周、それも近距離から7.62ミリのライフル弾で射たれても貫通しない。カプセル内には14名分の腰掛けがある。すなわち1個分隊だ。

 モジュールの前端(すなわち運転台キャビンと荷台の隙間部分)にはエアコンがついているので、密閉状態で気温50度の熱地でもOK。ただし電源は外部(トラックの発電機)から供給されねばならぬ。とうぜん暖房もあり。

 四角い窓も8個ついていて、そこから外は見える。防弾ガラスが嵌っている。サイドに6、背面に2。

 出入り口は背面の観音開きドアである。天井にも丸いハッチが2つある感じ。

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 『The Odessa Journal』の2022-9-14記事「Georgia proposes to hold a referendum and ask if Georgians want war with Russia」。
   ジョージア政府は、国民投票を検討中。このさいロシアと開戦すべきかどうか?
 アブハジアと南オセチアを取り返したいのは山々なのだが……。

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 Dan Vergano の2022-9-13 記事「Ukraine’s Zaporizhzhia nuclear plant is at a crisis point. Here are four ways it could go.」。
    ザポリッジア原発は9-11を以て全基がシャットダウンしているが、炉心が高熱でなくなるまでには10月半ばまでかかるから、それまでは冷却水を回し続ける必要がある。

 ザ原発には4系統の外部電源があった。1系統は、近傍の石炭火発とつながっていた。この火発はすでに石炭が尽きているという。

 4系統すべてが、砲撃や火災によって切断されている状態である。

 ザ原発の6基のリアクターのうち4基は冷え切っているので安全。5号炉はクールダウンの過程があるていど進行しているが、ひきつづき数週間は冷やす必要あり。

 そして最後の第6号炉はシャットダウンしたばかり。

 ザ原発内には20基のバックアップ用ディーゼル発電機がある。いまやこれが恃み。
 ただしディーゼル燃料は5日~10日分しかない。ディーゼル燃料を継ぎ足さないとまずいことになる。

 ザ原発の燃料棒は、2014クリミア侵略より前は、ロシア製を使っていた。2014以降は、西側製である。

 シャットダウンのためには、連日、100トンのディーゼル燃料を継ぎ足す必要があるという。アイランドモード=外部電源途絶モード のときには。
 崩壊熱がしずまるまでは冷却水循環を止められないのだ。

 ディーゼル燃料切れなどで、冷却持続に失敗すれば、圧力隔壁内で、燃料棒のジルコニウム被覆が剥がれてしまい、放射性のガスが発生する。しかしそれは隔壁内に閉じ込められる。

 1979スリーマイル事故のときは冷却水がなくなってしまい、発生した放射性ガスが、冷却水循環系統を通って、汚水タンクから外まで出てきた。〔スリーマイル島原発は加圧水型軽水炉である。設計はバブコック&ウィルコックス。〕

 1991年に、スロヴェニアのクルスコ原発が、ユーゴスラヴィア軍から攻撃されそうになったことあり。
 同原発から数マイルのところで70名が戦死する戦闘があった。
 シャットダウンが検討されたが、けっきょく無事に済んだ。

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 Lauren Puckett-Pope 記者による『Elle』の記事。
   先の女王の喪中、現役の王族は軍服を着用せよ、との、新王の命令である。
 ハリー王子はかつて10年間英陸軍の将校だった。しかしこんどの大葬中、軍服着用は許されない。

 ハリー王子は2020にカリフォルニアに移住したときを以て、現役の王族とはみなされなくなった。よってもはや英国公式行事に、名誉ある軍服着用による出席をすることは、認められない。

 アンドリュー王子は、性犯罪告発があって、軍籍を褫奪されている。しかし軍服着用での葬儀参列が認められている。