激戦地では「生石灰」(quicklime)が必要だ。とりあえず敵兵の死体の上からそれをかけておいてやれば、野生動物や野良犬、カラスに、屍骸を食い荒らされないのである。

 Timothy Jones 記者による2022-9-30記事「US Pentagon planning Ukraine command in Germany:Report」。
  『NYT』が報ずるところによると、DoDは「ウクライナ・コマンド」を新設したい。その司令部はドイツ西部のウィスバーデンに置かれるであろう、とのこと。

 宇兵の訓練や、多数の軍需品支援をそこで統括する。
 テクニカル・サポートセンターも併設されるであろう。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2022-10-1記事「Russian Copy of Croatian MV-4 Robot Uran-6 Mine-Clearing Platform Blew Up on Anti-Tank Mine」。
   クロアチアが開発した「MV-4」という無線操縦式のロボット地雷啓開車をマルパクしたのが、ロシアの「ウラン-6」である。2014いらい、チェチェンやシリアでは使われていた。

 それが最近、ウクライナで地雷を踏みつけ、履帯が吹っ飛んでいる写真が出た。写真をよくみると、対地雷ローラーを下げていない。オペレーターが、そこには地雷はないだろうと油断していたのか?

 カタログスペックでは、60kgまでの爆薬の炸裂に耐える車両であるそうなのだが。

 ※これとは関係の無い、「欧州自由ラジオ放送局」が報じている最新動画によると、露軍は対戦車地雷の下に「F1」手榴弾を埋めている。AT地雷を除去しようとして持ち上げると、手榴弾が発火する仕掛けだ。

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 2022-10-1記事「Thai Army tests 300 km-range D11A based on Israeli PULS MLRS」。
   タイ国防軍は、イスラエルのエルビット社製の「PULS」という多連装ロケット・システムを国産化しようとしている。このほど、最初の国内製造品の試射にまで漕ぎ付けた。

 トラックは10トンの6×6のタトラを採用している。

 このロケット発射機からは三種類のロケット弾を射ち出せる。
 距離40km弱の敵に対しては、径122ミリの「アキュラー」ロケット弾。
 距離150km弱の敵に対しては、径306ミリの「エクストラ」地対地弾道ミサイル。
 距離300km弱の敵に対しては、径370ミリの「プレデターホーク」SSM。

 この事業と並行して、タイの工場では、155ミリ自走砲ATMOSや、120ミリ装輪自走迫撃砲「ATMM」も内製化する計画である。いずれもエルビット社の設計だ。

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 J.Stacevicious 記者による2022-9-30記事「Lithuania acquires kamikaze drones for Ukraine」。
   リトアニアの国防省発表。ポーランド製のロイタリングミュニション「ウォーメイト」を2セット買う契約をメーカーと結んだ。買ってから、それをウクライナ軍へ寄贈する。原資はクラファンである。

 国防副大臣によると、2セットの中には、射出システムと、37機のロイタリングミュニションが含まれる。
 引渡しは10月から11月になるだろう。

 「ウォーメイト」は全重5.7kg、レンジ30km、速力150km/時。

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 ストラテジーペイジの2022-10-1記事。
   ウクライナで対地攻撃に大活躍中の国産オクトコプター「R18」について。
 メーカーはアエロロズヴィドゥカという。これは「空中偵察」のウクライナ語だ。

 プーチンがドンバスに侵攻してきた2014年に、DJIの市販クォッドコプターで遊んでいた趣味の連中が奮起し、ドンバスを防衛するために、同社を設立したのであった。

 2015年にクリミアの切り取りは確定したがドンバスでは2015以降も緩慢な戦争が常態化する。おかげで会社は、常続的にハードウェアとソフトウェアを改善することになった。ただし用法はISRを正規軍に提供することに限定されていた。

 有益な学習は、夜間の作戦と、露軍のECMをどのように凌ぐかの二分野で深化した。

 最も単純なジャミング回避法は、真夜中に、飛行をすべてプリプログラムによって実行させ、無線を一切使わないで敵陣地を写真偵察させてくる、というやり方だった。
 ドローンが帰還したあとで、内臓メモリーチップから撮像データを吸い出し、パソコンで解析すればいいのである。

 2017年、アエロロズヴィドゥカは、オクトコプターの開発に着手。
 小型クォッドコプターが持ち帰った偵察情報をもとに、その敵陣を空爆することができる、攻撃用のマルチコプターをこしらえよう、というのである。

 旧ソ連の対戦車手榴弾を改造した投下爆弾「PKG-1600」の吊下能力がなくてはならない。ざっと、1.8kgのペイロードが。

 当初は、454グラムのHEAT炸薬でT-72を破壊できるとは期待していなかったが、実行してみたら、これは旧ソ連設計のMBTすべてに対して有効であった。もちろん、停車中しか当てられないが。

 投下高度は100mから300mである。

 「R18」の初陣は、2019年であった。ペイロードは5kgを実現していた。「PKG-1600」を2発、吊るせた。その状態で40分も滞空できたのである。

 さらに偵察専用機としては、2016年に導入された固定翼無人機の「PD-1」と組み合わせるのがよいということも掴めてきた。やはり国産機で、プリプログラム機能を活用すれば、ジャミングをいなせる。撮像データは暗号化したデジタル無線でリアルタイムに送られてくる。

 2022年にはイーロン・マスクが「スターリンク」を提供してくれたので、「PD-1」からのGPS情報(敵軍の高価値目標の所在座標)を友軍の砲兵へ即座に送達することも可能になった。

 1機のR-18は今、コスト4万ドルで生産されている。

 ところでアゼルバイジャンは、イスラエルのアエロノーティクス社製のオクトコプターである「ペガサス120」を2018年からライセンス生産している。
 「ペガサス120」は「R-18」よりも強力で、ペイロードはなんと75kgもある。
 そのMaxペイロードを吊るした状態で10kmも飛行できるのだ。

 アゼルの生産メーカーは「アザド」社という。ここではクォッドコプターも製造する。

 そもそもアエロノーティクス社が出資して、アザド社は2011年に設立された。
 いらい、アエロノーティクス社製品をアゼルバイジャン内でライセンス生産しているわけである。

 たとえば固定翼無人機の「オービター2」もだ。自重9.5kg。
 完全防水で水に浮くので、パラシュートで水上に落下させるという回収法もオプションになっている。

 イスラム教国ながらアゼルバイジャンは1992年いらい、イスラエルから総額50億ドルもの武器弾薬を輸入している。

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 Zeyi Yang 記者による2022-9-30記事「China is betting big on another gas engine alternative: methanol cars」。
  中共政府の技術系部門は急に、石炭からエタノールを作って、それで自動車を走らせようじゃないか、と言い出した。

 ※2030までのゼロエミッションとか奇麗事に同調するのはいいが、現実的にはせっかく国内に存在する「炭鉱」を利用しないでは国家も国民も生存できない。中共はそれをハッキリと認識したことを今月、示した。この件で注目すべきなのは、彼らは、炭層を「地下ガス化」して水素を取り出す「UCG」技術について一言も触れていないこと。おそらく、誰もやってないからだ。ということは、この分野の「実験」で米国に続く二番手につけているらしいわが国にとっては、UCGに国費を注入して中共に差をつけてしまう大チャンスなのではないか? UCG技術はそのまま他の地下エネルギー資源の採掘技術へ応用も利くので、投下したカネは日本の知識となり、1円も無駄になる恐れはない。

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 Paul Szoldra 記者による2022-9-29記事「How disinformation shut down US special operators
B.S. can really hurt on the battlefield」。
    2006年3月26日、イラク。
 グリーンベレーとイラク政府軍が、マーディ・ゲリラのアジトであった屋敷を急襲。捕虜を引きたて、建物内部を検分し、発見した貯蔵弾薬を爆破して、死体はそのままにして、そこから去った。

 ところが、ゲリラはその屋敷に舞い戻り、死体を再配列し、あたかもそこがモスクであったかのようにインテリアも整え、「米軍がモスクを襲撃して無辜の信者多数を虐殺」という絵をスマホで撮影し、世界に大配信したのだ。

 このディスインフォメーションは有効だった。陸軍が部内調査を終えるまで、それから30日間、米軍は特殊部隊による急襲作戦を自粛するしかなかった。

 教訓。特殊部隊の将校は戦闘のプロではあったが、宣伝戦に関してはアマチュアだった。隙だらけだった。

 さいわい、兵隊たちがヘルメットカムを回していたおかげで、嫌疑は晴れている。