皆様、ありがとうございました。

 管理人さんが目当ての書籍を調達してプレゼントしてくれることになりました。
 他のみなさまのおこころざしのほども、深く感謝いたすのみであります。
 ありがてぇ……ありがてぇ……。

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 Kevin Knodell 記者による2022-10-2記事「Marines make 6,100-mile trans-Pacific flight in Ospreys」。
   ハワイに原隊のある、海兵隊の第268チルトローター・スコードロン。このたび豪州ダーウィンにローテ駐留していたオスプレイ×2機が、6100海里を洋上飛行してハワイまで戻った。

 クインズランド州アムバーレイ空軍基地を離陸したのが9-13。2機のMV-22と、空中給油機のKC-130Jが1機で。

 途中、フィジー、米領サモア、キリバチ共和国に立ち寄り、9-18にカネオエ湾の海兵隊基地に帰還。

 キリバチには中共が外交攻勢をかけていて、2019には台湾と断交した。それでアメリカが手配して今年1月には日本がキリバチに新しく大使館を開設すると発表。7月にはカマラ・ハリスも新大使館の開設と新投資を約束した。

 海兵隊のオスプレイは今年の「バリカタン22」演習で、ハワイから比島まで5000海里を飛べることも見せ付けている。

 ※10月の徳間書店さんからの新刊のタイトルが分かりました。『台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍』で、アマゾンでは予約可能です。台湾が《Z侵略》されたとき、ウクライナの戦訓はどう活かせるか――を徹底的に論じてあります。乞う御期待。

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 ストラテジーペイジの2022-10-2記事。
   民間会社の衛星画像を解析していたチームは発見した。ロシア本国のあらゆる場所から地対空ミサイル「S300」の発射車両がかきあつめられており、それらをウクライナ国境へ集中させていると。地対地ミサイルがわりに用いようというのである。

 ロシアではとっくのむかしに「S400」という新型SAMができあがっているわけだが、2014のクリミア侵略の結果、西側から制裁をくらったために、ロシア軍にはカネがなくなり、「S300」(NATOコードは「SA-10」)は、ほとんどが更新されずにいまだに現役だ。

 「S300」のアップグレードもなされていない。というのは、「S400」のレンジは「S300」の2倍あり、かつまた、射撃統制ソフトが新式だから、「S400」の1個発射大隊は、「S300」の発射大隊×2個分に相当する。そんな古い「S300」を、いまさらアップグレードする予算などつけていられない。

 それで地対地ミサイルに転用されることになった。
 今日までにすでに500発以上の「S300」が対地攻撃に使われた。しかしさらにまだ7000発くらいは、残っているはずだという。

 露軍が「S300」を地対地ミサイルに転用するテストをしているらしいことは、2022-7月にベラルーシの発表で西側にバレた。
 そもそも「S300」は開発の当初から、対地攻撃にも使えるように考えてあった。そのモードにする場合は、ミサイルの落下直前自爆回路を遮断する。しかし誘導は、発射車両のレーダーを使うしかなかったから、いくらポテンシャルの水平レンジが150kmあるといっても、それを精密に落とすことはできなかった。そこでロシアはことし緊急に、GPS誘導回路を組み込んだのだろうと推定されている。

 なお弾頭重量は100~200kgもあるので、着弾するとハイマース以上の大クレーターができる。先日、民間車列を狙った1発の写真はその傍証である。

 ちなみに台湾軍がもっている「ナイキ・ハーキュリーズ」SAMにも、SSMモードがある。もともと1960年代からそういう設計なのだ。

 ※雑報によると、ロシアの退役中将で国会議員のグルレフが糾弾。ザバイカル軍区にて、帳簿上はあるはずの150万着の冬用戦闘服が、どこにも見当たらない、という。

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 Defense Express の2022-10-2記事「The russian Army to Receive New T-80BVMs, No Further T-72B3 Upgrade Expected」。
    ウラルヴァゴンザヴォド〔このヴァゴンとはワゴンと語源が同じ。つまり車両の意味〕工場は、近代化改修した「T-80BVM」を、まとまった台数〔おそらくは10両未満で、たぶん7両くらい〕、露軍に納品したと広報した。乗員保護を強化したという。

 「T-80BVM」には、「ソスナ-U」という先端的な射撃統制コンピュータがとりつけられる。これはフランスのタレス社の集積回路を使ったものである。ところでこの「ソスナ-U」は、従来、「T-72B3」にもとりつけられていた。西側から制裁を受ける前は、ウラル戦車工場は毎年、最多で50両の「T-80BVM」と、最多で170両の「T-72B3」を、露軍に納品できた。つまり「ソスナ-U」のついた戦車を露軍は毎年200~250両も受領ができたのである。

 ところがフランスのこうした長年の悪徳がついに世界にバレてしまい、2022-2-24以降は特殊軍用チップをロシアに売り渡せなくされてしまったことから、ウラル戦車工場では、「T-72B3」の近代化工事をあきらめるしかなくなった。乏しい在庫のチップをすべて「T-80BVM」に使うことに決めた模様である。

 かつてドイツは1944-12以降、パンターとティーガーI/IIの新造を絞って、3突と4突の増産に生産資源を集約する路を選ぶしかなかった。同じことが、2022のロシアに今、起きているのである。

 ※雑報によるとフランスは、デンマーク陸軍へ納品するはずだった「カエサル」SP×12両を、ウクライナに贈る。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-10-2記事「Suspicious drones spy the Ukrainian military training in Germany」。
   10月1日、ドイツ国防省は警報。同国内の「ヴィルトフレッケン」陸軍訓練基地の周辺に、謎のドローンが多数、執拗に飛来していると。

 そこではウクライナ兵が「ディンゴ」APCの操縦訓練を受けている。それをロシアのスパイが覗きたがっているらしい。

 スパイは乗用車を兵舎の近くに駐車し、そこからドローンを飛ばしている。

 ※雑報によると、露軍の捕虜になって先日、捕虜交換されたウクライナ兵たちの証言がすさまじい。なんとメシの時間として毎回「30秒」しか与えられなかったという。しかもわざと、カチコチのパンが出てくる。だから歯を折る者が続出したという。まったく食事を与えないのでは国際法違反だから、30秒に制限して目一杯の嫌がらせを創意工夫しているわけだ。自衛隊は「捕虜にされたときの訓練」を、とうぜんながらやっているだろうね? 新メニューとして「30秒メシ」も加えなくちゃいかんぞ。

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 David Hambling 記者による2022-9-20記事「The Covert Arms Race Between Bombs and Concrete」。
    イスラエルがイランの地下核工場を破壊するのにバンカーバスターが必要だと考えたのは2005年。米国は2009年にそのリクエストに応えて 重さ5000ポンドの「GBU-28」を与えた。これはそれ以前にイスラエル空軍に売られていた重さ2000ポンドの「GBU-31v3」爆弾の四倍の侵徹力があった。

 いまイスラエルは対米要求をさらに引き上げている。
 「GBU-72」をくれと言っている。5000ポンドだが、さらに貫通力を強化したタイプだ。ただし性能の詳細はまったく外部には漏れていない。

 米空軍が最初にバンカーバスター爆弾を導入したのは1985年であった。通常の投下爆弾(汎用爆弾)よりも弾径を細くし、充填炸薬は少ないが、殻が厚い。

 2000年代の前半、米空軍は、「エグリン・スチール」という、専らバンカーバスターの弾殻に用いる特殊な合金を開発した。「エルウッド・ナショナル鍛造会社」の協力を得て。

 「エグリン鋼」は、炭素含有量が少ない。ニッケルも少ない。タングステン、クロム、マンガン、珪素などの元素をそれぞれ微量に含む。

 ながらく、徹甲爆弾用の金属素材としてこれがスタンダードだっが、近年米空軍は「USAF-96」という番号の特殊鋼を調達し始めた。硬さや靭強性は「エグリン鋼」に等しいが、製造コストがより低く、しかも加工しやすいという。

 防弾チョッキのインサートプレートは「ボロン・カーボン」でできたセラミック。やたらに硬いが、至近距離から射たれたタングステン・チップのライフル弾が当たれば、割れる(タマの前進エネルギーはそのかわりに減殺される)。

 地下施設を空爆から防護するための硬化コンクリートも、セラミックプレートに似ている。それは基本的に、割れ易い。コンクリートはそもそも、粘り強い結合をしておらず、引っ張られる力には弱いのだ。

 最新の強化コンクリートのいくつかは、アルミニウムよりも強い。しかし、比較的に割れ易いという特性は、なくすことができない。

 だが、UHPC=ウルトラ高機能コンクリート の性能向上も目覚しい。すでに「1平方インチあたり4万ポンド」の押し圧に耐えられるものがつくられている。多くは、砂利のかわりに強靭な「金属繊維」「特殊繊維」が混ぜられたコンクリートだ。

 繊維が引っ張り力を担任する。それによって「割れ」に抵抗し、もしヒビが生じても、それが拡大するのを阻止する。

 スチールのウィスカーを考えてみよう。これをセメントにまぜればまぜるほど、コンクリートは強靭になる。ところがしかし、もしも重量にして1%よりも多く、繊維を混ぜ込もうとすれば、その繊維素材が互いにくっついてしまう。まずい現象だ。これが、解決至難な、ハードルなのだ。

 1991年1月、米空軍は察知した。バグダッドの周辺に新しい地下の指揮所が建設されていた。それは厚さ数フィートの耐爆コンクリートで囲まれていて、米空軍が持っている2000ポンドのバンカーバスター弾では貫徹は難しいだろう、と。

 そこで5000ポンドの新型爆弾が開発されたのだ。
 フロリダ州エグリン空軍基地内に「空軍弾薬研究本部」があった。そこが1月18日に相談を受けた。

 とにかく時間が無いため、ありあわせの素材として「203ミリ榴弾砲」の砲身を、爆弾外殻として転用することにした。炸薬充填は手作業であった。弾頭部分だけは、ゼロから製造する必要があった。

 1ヵ月もしないで試作品ができた。それを、橇の上に縛りつけ、水平にロケットで加速させてコンクリート標的にぶつける試験にかけたところ、厚さ20フィート以上を侵徹できると確かめられた。

 2月27日、F-111が2機、この爆弾を1発ずつ、イラクの地下指揮所に投弾。
 6秒後、入り口から煙が出てきたので、中味はあらかた片付いたと推定された。

 2012年、米空軍は、UHPC製の防爆壕を貫徹破壊できる新型爆弾の研究開発プロジェクトをスタートした。米空軍はこのために、かれら独自のUHPCをまず製造する必要があった。「エグリン高強度コンクリート」と呼ぶ。

 前後するが、米空軍は2011年に、重さ3万ポンドという「MOP(大型徹甲)」爆弾を受領している。5000ポンドのバンカーバスターでは貫徹できない目標が現れるのではないか、心配だったのだ。

 ちなみに「空気爆発大型爆弾」略して「MOAB」の全重は2万1000ポンドだから、MOPはそれを凌ぐ横綱サイズである。でかすぎるため、B-2爆撃機だけが、これを運用できる。

 トロントにある「先進マテリアル開発会社」のヴァルタノフ博士いわく。UHPCと徹甲弾の勝負は、徹甲弾が「エグリン・スチール」のような「均質合金」の弾殻素材を使う限りは、UHPCの方に分があり、徹甲弾は負ける運命だ、という。
 (その主張の根拠となる数式を、博士が『Aerospace & Defense Technology』誌の2021-2月号に寄稿している。)

 さいきん、中共の研究所が「GFGC」(段階機能性セメント複合材)を研究していることが明らかにされた。
 それは三層からなる。表層は薄い砂利コンクリートのUHPC。中層は分厚い複合素材繊維入りのUHPC。そして最終層はスチールファイバー入りのUHPCだ。

 最終層は特に引っ張り力を強化してあり、固体中を伝導する衝撃波が起こす「スポーリング」(コンクリートの塊が内側壁から剥離して高速で飛び散る現象)を抑止してしまう。

 中共はすくなくも4年間、すでにこの「重層コンクリート構造」による防空壕設計の研究を続けてきていたようだ。

 英国のシンクタンク「RUSI」に所属しているジャスティン・ブロンクいわく。マッハ5で飛翔するハイパーソニック弾に、タングステンの弾芯を仕込み、炸薬なしでバンカーに突入させれば、それは理想的なバンカーバスターになるだろうと。

 敵の指揮所の地下壕を完全破壊する必要はない。入り口にダメージを与え、通気孔や通信線を遮断するだけでも、目的は達成されると。

 ※究極の地下防爆壕構造は、断面が六角形の「コンクリート製土管」を、巨大な集束ケーブルのように束ねて、それを水平に長~く伸ばして埋めてある構造だと思う。つまりおおきなスペースをまるごと包もうとするのではなくて、おおきなスペースを細長く分割して、敵空軍が狙いをつけられないようにしてしまうのだ。この「土管」の下層、もしくは端縁部の内部は、誰が考えたって無傷で生き残るだろう。米空軍は、コンクリートの床の階数をカウントできる、特殊な徹甲弾用のスマート信管をもっているが、六角形土管が積層されている地下構造物が対象となったら、その信管もまた無力であろう。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-10-2記事「Turkey’s newest Ak?nc? UCAV is already on a mission over Syria」。
   バイラクタル社製の最新の攻撃型ドローン「アキンジー」が、北部シリアの上空で作戦飛行を開始した。写真が撮影された。

 アキンジーのエンジンは、「イフチェンコ・プログレス・モトル・シッチ AI-450T」ターボプロップ×2発で、すなわちウクライナ製である。
 最高速力361km/時。巡航速度は240km/時。
 常用高度は9000m。最大上昇限度として1万3000mまで行ける。
 燃料満タンで、航続距離7500km。

 トルコ陸軍はすでに同機を12機、受領済み。

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 2022-9-30記事「Drone crash into powerline “cuts electricity supplies to over 2000 Brisbane residents”」。
   オーストラリアのブリスベーンで、荷物配達用のドローンが送電線を切断。2000戸を停電させ、完全復旧までに3時間かかった。 

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 「Case Study: Multi-Fuel Engine for Long-Range Unmanned Helicopter」という記事。
    ヘリコプター型の無人機「センチネル・ロングリーチ70」が搭載する「DF70LC」エンジンは、70cc.の2気筒で、水冷式。「ヘヴィー・フュール」すなわちJP5〔艦上機用で灯油系〕やJP8〔陸上機用で灯油系〕や「Jet A1」〔民航機用で灯油系〕を、ガソリンと同様に燃焼させることができる。出力/重量比は、抜群である。

 このUAVは、最大離陸重量30kg、最大ペイロード6kg、燃料は10リッター、滞空最大8時間可能、ホバリングだけでも6時間可能。

 ※『道新』の記事によると、デントコーンが高さ2mまで繁茂した畑の中にヒグマがいてもまったく地上からは発見することができず、もし猟銃を発砲してもデントコーンで弾道が邪魔されてしまって、殺せないかもしれないという。現代の「徐州作戦」か!? だからドローンを使って垂直に銃撃する必要があるんだよ。いつまでもしょうもない議論をしていないで、わたしのネットパンフレット『鳥獣から人間を保護する法律が必要だ』を一読したまえ!



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鳥獣から人間を保護する法律が必要だ──「害獣退治庁(仮)」の組織および装備を提言する