ケルチ橋上のタンク貨車はジェット燃料を積んでいたらしく、その燃焼熱により、レールもボギー車軸も曲がってしまった。そんな証拠動画がSNSに出ている。

 Defense Express の2022-10-10記事「russian Missile Attack Was Prepared a Week Ago ? Ukrainian Intelligence」。
   ウクライナ軍情報部は、7機の「ツポレフ160」ジェット重爆撃機が、コラ半島(スウェーデン国境に近い)のオレニア空軍基地から、はるか南方、ヴォルガ河沿いの「エンゲリス」空軍基地に、10月2日から10月3日にかけて移駐していることをつきとめている。

 この「Tu-160」がウクライナ東部国境付近から多数の空対地ミサイル「Kh-101」を放ったのが今回の空襲である。

 したがってキエフ空爆がケルチ橋の報復だというのは大嘘で、1週間以上も前から計画していた大規模空爆作戦を、露軍は計画通りに実行したに過ぎない。

 ※先週、ウクライナ戦争の総指揮官に唐突に空軍大将が任命された理由が、これで分かった。陸軍の残弾が涸渇したから、こんどは空軍の豊富な弾薬在庫を使いましょうというわけだ。その残弾のありか(ロシア各地に散在する空軍用の弾薬庫)に詳しいのはとうぜん空軍大将しかいないから、専ら、《弾薬補給出納係》として、無名の大将が指名されたという次第だろう。これより、露空軍が、惜しげもなく空対地ミサイルを射耗するフェイズに入る。まあ、長くは続かないだろう。しかしこのことは、もはや北方での対NATO戦争は、非核戦争に関する限り、ロシア政府としてはまったく考えなくなったことを意味する。こうなると、欧州北方域の反露諸国としては、もう「SAM」資産はぜんぶウクライナにくれてやってもいいはず。そういう流れになるだろう。

 次。
 The Kyiv Independent news の2022-10-11記事「Forbes estimates Russia’s Oct. 10 missile strikes cost $400-700 million」。
    ロシアは10月10日、84発の巡航ミサイルと、24機の特攻ドローンを放った。これは金額にして4億ドルから7億ドルになるはずだと、『フォーブズ』が試算している。

 射耗されたミサイルには、「Kh-101」「Kh-555」「カリブル巡航ミサイル」「イスカンデル」「S-300」「トルナド-S」が含まれている可能性がある。

 前回のミサイル大空襲は6月25日から6月26日だった。60発から80発のミサイルを飛ばした。『Forbes』は、そのコストを1億5000万ドルから4億ドルだったと見積もっている。