道路面に穴ができていないのでトラック爆弾だったわけはないという当然の疑問が出てきた。

 Isabel van Brugen 記者による2022-10-12記事「U.S. Drone Could Be Behind Crimea Bridge Explosion」。
    Molfar という軍事研究者集団が提出した推定。ケルチ水道横断橋を10-8に吹き飛ばしたのは米国製のUUVではないのか。

 FSBの主張。爆発は爆装トレーラートラックによる。工事用のポリエチレン・シートのロールが積荷であるように偽装し、その中に爆発物を隠していた。

 ※トラックだったら「自爆」ということになる。それでどうしてFSBは「容疑者」を逮捕できる? ウクライナ軍にしても「必死自爆作戦」なんか自慢できるわけがねえ。世界が引いてしまう。要するに、辻褄が合わなすぎる。

 だが監視ビデオ画像を見れば誰でも気付く。
 橋の路面に穴があいていない。複数の爆発があったように見える。橋の背後でも爆発している。

 ※放射状の灰白色のヨゴレではなく、表側が、一面に黒ずんでいるのが、不審である。ただ、橋桁の裏側には、さらにヨゴレも黒ずみもない。これをどう説明するか? 消去法で考えてみると、こういう可能性もあろう。爆発したときにコンクリート小片および「土くれ」になってしまって海中にほとんど証拠を残留せしめない特殊な船殻素材で「全没艇」をつくる。この無人自航の全没艇内に、レバノン海兵隊ビル爆破に使ったタイプの特殊な爆薬を10トンくらいも充填して、深夜に道路橋の、太鼓橋になっていない低い部分の真下に進入させ、沈底もしくは投錨せしめる。その橋に貨物列車が通りかかる時刻を待ち、列車が真横に来た頃合に視発リモコン信号によって発火させるのだ。あるいは爆薬は「気化爆弾」とし、水中のタンクからまずガスを海面上へ放出させてからおもむろに点火するのでもいいだろう。そのばあいでも、念のため、水中タンク(全没船殻)はきっちりと小爆薬によって自爆処分し、証拠を確実に消す。

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 Edward White & Gloria Li 記者による2022-10-10記事「Tesla hits China sales record as Beijing praises Musk’s Taiwan proposal」。
   9月の中国におけるテスラ車の販売成績は8万3000台。前月より8%多い。過去最高である。

 しかしライバルのBYD社は9月に20万1000台を売り上げた。大きなバッテリーを搭載しているので、テスラ社より遠くまで航続できる。

 ※イーロン・マスクは自社株価防衛の瀬戸際に立っているということ。

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 Maria Merano 記者による2022-10-10記事「Tesla Model S and Model X vehicles approved for tax exemption in China」。
   中共の工業情報技術省が、優遇減免税の適用対象車を発表。テスラの「モデルS」と「モデルX」がそこに含まれている。

 ※これが中共によるマスクに対するご褒美なのだという論者あり。

 ※もしマスクがツイッターを買収したとしたら、ツイッターがデータを置いている巨大サーバー基地がマスクの自由になってしまうことになる。プーチンのお友達、熊プーの手下だと疑われる男に、巨大サーバーの自由アクセス権なんか渡せるわけがあろうか? おそらく米連邦政府はあの手この手でマスクの買収活動を邪魔するであろう。

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 Lawrence Chung 記者による2022-10-12記事「Taiwan denies US has plan to evacuate chip engineers and destroy TSMC facilities in event of attack from mainland China」。
   もし中共軍が台湾に攻め込んできたら、米軍は、TSMCのエンジニアを全員、台湾国外へ連れ出すとともに、チップ工場を破壊して、中共による活用を阻止するのではないかという憶測(『ブルームズバーグ』の金曜日報道)を、台湾の国防大臣は否定した。

 国家安全保障会議の陳明通は説明した。TSMC工場を中共が占領してもチップを製造することなどできない。最先端チップ製造は、そんな簡単な世界ではないのだ。

 たとえばの話、オランダのSSML社がTSMCに対して提供している「焼付け」のシステムが稼動しなくなれば、1個のチップもできないのである。

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 Minnie Chan 記者による2022-10-13記事「China is working on ‘invisible’ missile launchers for ‘future combat’」。
    CCTVによると、「東風17」ミサイルの発射車両を、衛星の目から隠すための、先端的な研究が進められている。レーダーでも赤外線でも、上空から見えぬようにするのだという。

 ※雑報によると、「シャヘド131」に使われているガソリンエンジンは、中共の「MDR-208」そのものであるか、そのコピー品である可能性が高い。「MDR-208」はふつうに通販されており、1個2900ドルで誰でも買える。メーカーは、北京に本社がある「北京マイクロパイロットUAV制御システム」社。

 ※雑報によるとロシアの「ランセット3」ロイタリングミュニションがウクライナ軍のトラックに突っ込むビデオ映像が、SNSに投稿された。

 ※ロイタリングミュニションとATMの最大の違いは、前者は、水平軸線を選ばないことである。たとえば、森林中に1本の細道があって、その細道が敵方から見て左右方向に走っているのならば、ATMではその道路上の戦車にはまったく照準ができない。そもそも発見もできない。ところがロイタリングミュニションならば、上空から細道上の戦車をいともたやすく発見することができ、しかもまた、その細道に軸線をピタリと合わせておもむろに緩降下して、直撃ができる。というわけで、ロイタリングミュニション時代には、戦車は、森林内であったとしても、ぜったいに、路上(や、林縁の外側)で停止していたらダメである。そういう時代になったのだ。戦車の頭上が森林の樹冠で覆われていても、それで戦車の対空防護が万全になるわけではない。が、すくなくとも低速のロイタリングミュニションの大きな主翼が樹冠にひっかかる可能性はある。そうなれば直撃は免れるわけだ。

 ※雑報によると、10-10にクリチコ橋に落下した空対地ミサイル「Kh-101」の残骸から回収したチップの製造DATEが2019-3月製だとわかった。ミサイルはロットの古いものから使用するのが原則。このミサイルは月産3基である。そこから推定し、露軍は「Kh-101」をあと数十発、発射すると、弾切れになる。在庫がゼロに近づいているのだ。

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 Defense Express の2022-10-13記事「russian Mobilized Troops Received ‘Demodernized’ AK-12 Rifles as They Arrived in Ukraine」。
  第49諸兵科連合軍の、500名の徴兵は、ソ連時代の鉄帽と防弾ヴェスト、ならびに2011年設計の初期型の「AK-12」を支給された。

 この型の自動小銃は、信頼性が低くて不評で、ロシアの特殊部隊ではAKMに交換してしまっている。

 2021年にカラシニコフ社の新CEOに就任したレピンによると、ロシア国防省は22年3月に「AK-12」の改善命令を出した。
 これは、AK-12の売り物だった「2発バースト」機能を廃止しろ、という意味である。

 ちなみにそのセレクターはフレームの左側でも操作できるようになっている。

 AK-12は、過去2回、モデルチェンジされている。2018と、2020に。それぞれ、互換性はない。

 AK-74以降の露軍の小銃は迷走し続けている。
 2016に「Ratnik」のテストにAK-74が不合格になった。

 そこでAK-74の改善型が「AK-12」の名前で2018年に納品された。

 さかのぼると、AK-74が1990年代前半に「AK-74M」に進化し、さらに90年代後半から2010年代にかけては「AK-100」と変わり、さらにその後「AK-200」と称していた。

 AK-12の2011年モデルと2018年モデルは、レシーバーからしてまったく別物。その上にサイトもすっかり異なっている。

 露軍はこの2018年モデルの「AK-12」を、AK-74の補備用として採用した。
 さんざんモデルチェンジしてきたように見えるけれども、ぶっちゃけ、AK-74との違いと言ったら「二点バースト」機能以外には、ほぼない。

 ※初期の「M-4カービン」に無駄な対抗心を燃やしちまったということ。

 AK-74のセレクターはシンプルそのもので枯れたデザインなのだったが、「2点射」をつけくわえるためにこのセレクターを改変せねばならず、その結果は、ユーザーに大不評だった。

 2011モデルのセレクターは、親指で操作する。
 しかるに2018モデルのセレクターは、人差し指を使う必要があるのだ。

 このほど「AK-12」から2点バースト機能が取り除かれるというのだが、そうなると単純な疑問。「AK-74」と何が違うんだ?

 ともあれ、とっくに軍内でダメ出しされていた2011年型の「AK-12」をあらためて支給されてウクライナの最前線までやってきたロシアの新兵諸君の感想を待とうではないか。

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 ストラテジーペイジの2022-10-13記事。
   野砲・戦車を中核とした大隊規模のBTG。このコンセプトはWWIIの独ソ戦中に自然発生的に両陣営で発明された。WWII後には米軍も採用した。
 ソ連軍は、1980年代のアフガン介入でも、それ以降の小戦争でも、BTGで問題なかった。それがついに2022年に、通用しなくなった。

 2022以降と以前とでは何が違うのだろうか?
 BTG戦法は、敵軍に、有力なATW手段が無いことが大前提だったのである。砲兵や歩兵が、味方戦車の援護に信頼を寄せている場合、BTG内は団結と士気が保たれる。将校と下士官の資質が低くても、戦車の防護力が、それをカバーしてくれていたのである。

 ところがウクライナ軍は濃密なATW手段を有し、それを果敢に用い、露軍AFVは紙細工のオモチャのように破壊されると知れ渡った。これで、露軍BTG内の規律と団結と士気は、まったく保てなくなってしまった。兵隊たちはウクライナ軍と接触するや、すぐさまAFVを放棄して逃げようとする。それでも、将校と下士官がしっかりしていれば、兵隊たちを統率できるのであるが、露軍は将校と下士官の質を重視する軍隊文化をもっていない。そもそも下級指揮官にじぶんで何かを判断させようとしない。よって、これも大きくは、軍隊文化の敗北なのだ。

 T-72が防護力に関して完全な欠陥戦車であることが、大きな敗因のひとつには違いないが、その欠陥がこれまで半世紀間も放置されてきたのは、やはりロシアの軍隊文化のせいである。欠陥品を欠陥品と認めることもできず、国産のダメ兵器をダメ兵器と指摘することもゆるされず、嘘宣伝で真相をごまかし続け、誰も上級の幹部には逆らえないという文化が、今まさに、ロシアを滅ぼそうとしているのだ。

 露軍の大ジレンマは、燃料補給のためのタンクローリーを、自軍のどこに位置させるかであった。この運転手たちは徴兵だから、戦意はゼロ。けっきょく部隊の最後尾をついてくることになり、最先頭の戦車では直衛ができなかった。ウクライナ兵は道路脇に潜んでタンクローリーが通りかかるまで待ち、RPG1発でタンクローリーを炎上させる。それで徴兵のドライバーは国境まで徒歩で逃げ戻ろうとする。先頭の戦車は燃料切れで立ち往生するしかなかった。

 ソ連軍は1920年代に従軍司祭を廃止しているが、2010年、それを復活させている。これがどうも「ザムポリト」の代用だったらしい。つまり政治将校代わりに、部隊の士気の実態を、上級部にチクる目付役らしいのだ。

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 Thomas Newdick 記者による2022-10-13記事「This Drone-Versus-Drone Kill In Ukraine Could Be An Air Combat First」。
   史上初めて、空中観測中の敵ドローン(おそらくDJIの Mavic クォッドコプター)の後上方から、こっちの偵察ドローンが近づいて体当たりでローターを破損させて撃墜してしまうという、ドローン同士の《空戦》が発生した。そのいちぶしじゅうは、こっちの偵察ドローンのビデオカメラが録画していた。

 ※敵ドローンはホバリングして砲兵観測中であった。今回は偶然、同じ地点を注視/観測していたために、鉢合わせとなったのだろう。ふつうはこんな小さなものを空中では発見できない。Mavicはロータープロペラがローター軸の上端で回る型だったので、こっちのドローンが同じタイプであったなら、後上方からゆっくり近づいて接触してやれば、自動的に《撃墜》できるわけ。しかし、彼我どちらかの機体が、軸の下端でローターブレードが回るタイプであったなら、接敵流儀も全く変えなくてはいけない。下手をするとこっちが壊れて墜落するだけとなってしまう。いちばん厄介なのは、こちらのマルチコプターが、ローター軸の上下両端でプロペラが回転する「串型」タイプだった場合だ。これだと「と号」戦法は必然的に相撃ち墜落を結果してしまう。



ウクライナの戦訓 台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍