プーチンが北朝鮮からストック弾薬を大量調達する方法は簡単だ。「オファーを断るなら、韓国へ闇ルートでロシア産の核物質を売り渡す」と脅すだけでいい。

 韓国も核武装をしたくてたまらない国だ。もし、個人ルート/闇法人ルートで濃縮ウランや精製プルトニウムをロシアから取得できるものなら、必ずそれを取得し、しかも米政府に対しては、韓国政府は、その行方について、しらばっくれ続けるだろう。

 このようにして中東と極東に核兵器が拡散すれば、米国はそれが惹き起こす混乱への対処に外交資源を割くしかなくなり、「対露」には集中が不可能になる。

 いまさら韓国が核武装したところでロシアにはどうでもいい話。それよりむしろ、米国を疲れさせ、中共を牽制し、北鮮には弾薬在庫を吐き出させしめ、プーチン権力が時間稼ぎできるメリットがまさる。これによって、プーチンには、得することしかない。
 だったら、これをやらない理由はないよね?

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 2022-10-20記事「Swedish speed cameras increasingly stolen, possibly for Russian drones」。
    ことしの8月末からこのかた、スウェーデンの各地で、路傍に設置されているスピード違反取締り用の無人撮影機が100基以上も破壊される事件が相次いでいる。
 どうやら、ロシア人がそこから赤外線カメラを回収して、無人偵察機「オルラン-10」に組み込んでいるらしいと分かってきた。

 このスピード取締り装置は、1基が25万クロネ(2万2700ユーロ)もするのである。

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 AAMER MADHANI 記者による2022-10-20記事「Iranian troops are in Crimea backing Russian drone strikes, US says」。
    NSCのジョン・カービィが定例記者会見で木曜に指摘。
 少人数のイラン人部隊がクリミアに入っている。そしてロシア人につきっきりで、国産の特攻ドローンの操縦法を指南しているところだと。

 ※雑報によると、IRGC(イラン革命防衛隊)が、国産の「Meraj-521」という、「スイッチブレード300」の類似品を、訓練に使い始めた。弾頭重量は500グラム~1kg、滞空5分~15分可能、最大特攻レンジは5kmだそうだ。

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 Daniel Flatley 記者による2022-10-20記事「US Charges Seven in Plot to Buy Chips for Putin’s War Machine」。
   5人のロシア人と2人のヴェネズエラ人がFBIにより訴追された。うち2名は欧州にて逮捕されたことがわかっている。

 一味は、大量の半導体をロシアへ密輸しようとした。

 また一味は、数億バレルのベネズエラ産原油を、ロシアと中国へ密輸出しようとした。買い手はロシアのアルミニウム精錬会社だが、その会社は北京の石油系大企業の支配下にあるものだという。

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 Scott Savitz 記者による2022-10-20記事「Beware the Explosive Vessels」。
   水上をふつうに航走する、いっけん商船だがじつは爆薬が満載された「自爆船」を突っ込ませることにより、敵軍の港湾修船施設を破壊しようという試みは、WWII中に、英軍が仏海岸に向けて何度か実行している。もちろん操船員は爆発の前に離脱するのだが、離脱に失敗して戦死してしまうことはちょくちょくあった。

 水上を走らせる自爆船のメリットは、潜航艇タイプの自爆兵器よりもはるかに簡単に、大量の爆薬を運び得、且つ、作戦距離に事実上、制限がないことである。

 ケルチ橋は、この手で破壊したのだろう。

 1917年のハリファクス港(カナダ海岸はNYCよりも英国との距離が近いので、米国の援助物資はそこから発送されることが多かった)における、貨物船に満載された砲弾の自爆事故は、直径1マイルの陸上の建物を壊滅させ、60フィート高の津波を沿岸住宅地まで襲来させた。しかもこの貨物船のサイズは、今日最大の貨物船の2%くらいのちっぽけなものだった。

 ※1隻の弾薬運搬船の「爆破工作」で港湾施設が壊滅してしまうと知られたのは南北戦争中のはず。詳しくは拙著『封鎖戦』を読み直して欲しい。



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